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『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

一所懸命・一生懸命の“ひとり茶事”

2024-11-23 06:20:05 | 懐石

きのうは
月一の『ひとり茶事』に
三ツ星懐石店に
出向いてきた。

毎月、通っているので、
親方、女将さんとも
すっかり馴染みになり、
常連さんのお仲間入りに
なったかもしれない。





先付は
『帆立の黄身酒盗和え』

朱いクコの実も
酒に漬けられたものだった。

帆立に合間って
鰹の腸(わた)も
深みのある味だった。





吹き寄せは、
『鯖河豚の唐揚げ
 海老の含め煮
 カリフラワーの甘酢煮
 蜂蜜漬け髙田梅の天麩羅
 エリンギの卸し酢』





煮物椀は
『牡蠣真蒸の霙(みぞれ)仕立て』

熱々の真蒸を頂くと
牡蠣の風味が鼻孔から抜け、
これまた、熱々の椀つゆが
それを追い掛けて
陶然となった。

紅葉麩と黄柚子の
コントラストも、
ついこないだ
紅葉狩りで眺めた景色を
彷彿させた。





続いては、お造り。

皮付き金目鯛は、
透明な淡いピンク色の身に
ほどよく脂が乗っていて
旬の旨味を感じさせてくれた。

それに比する処の鮪の赤身は、
鮮やかなガーネット色で、
しっとりとした食感と共に、
濃厚な味わいが口中に拡がった。

透き通るような鯛の白身は、
ほんのり薄紅色がまだらにあり、
ぷりっとした弾力と
繊細な旨味で愉しませてくれた。

紋甲イカは、
ねっとり絹のように滑らかで、
その光沢は新雪の肌にも似ていた。

これらの彩りが
土味のある鳴海織部に盛られては
まさに、目でも舌でも楽しめる
一皿となる。



***

蒸し物は
『豚角煮の東寺蒸し』

湯葉を使ったものを
「東寺蒸し」というが、
京都には生麩を扱う専門店が
いくつかあった。

碗ごと蒸してあるので、
熱々で供され、
塗りの木匙で葛餡とともに
とろとろの湯葉と
ほろほろの角煮をすくう。

一碗を平らげると、
カラダが芯から温もり
薄っすら汗ばむほどだった。

まさに、
晩秋から初冬にかけての
温かいご馳走である。



***

つづいて
『白子の素揚げ』が
出汁のきいた土佐酢で
供される。

白子の「白」と
紅葉卸の薄桃色、
パプリカの黄と赤、
獅子唐の緑が
縁に山道のある黒小鉢に
映えていた。

カリ、トロリ・・・
とした、これまた熱々の
佳肴である。

臭みも全くなく、
河豚のそれにも
匹敵する旬の味わいである。



***

〆には
『豆ご飯』

お新香・味噌汁と共に
しみじみと美味しく頂いた。



***

仕舞には
『白玉善哉』と『お薄』が
供された。

口中を甘くしてから
抹茶でそれを濯いだ。

自服以外に
薄茶を頂くのは、
まさに、月一の
この機会だけである。

なので、
いつものように、
一碗に感謝し
「一期一会」の今を
マインドフルネス精神に則り、
利休居士が戦国武将たちに立てた
「この世の別れ」の茶のように
心して喫した。






 

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【生きる事は食べる事】

2024-10-26 05:27:48 | 懐石

きのうは、
月一の【ひとり茶事】を
三ツ星懐石店で
堪能してきた。

本物のプロの
職人やシェフたちの
妙技を味わい、
こころを和ませ、
且つ、豊かさを味わうべく、
毎月、馴染みの
懐石、フレンチ、鮨店と
定期的に訪れている。

加齢と共に
運動も出来なくなり、
もっぱらゴロゴロとして
漫画読み、YouTube視聴のみでは
残り少ない人生に
彩りが淋しいものである。

そこで、
満腹の為ではなく、
その技芸も味わえる満足の為に、
一流料理人の元を
訪れている。

それも、馴染みになれば、
気心安く、口福の時を
楽しめる。

***



付きだしは、
「ホタテの菊花巻き」

張られた三杯酢が
とてもマイルドで
最後に飲み干せるものだった。

 



吹き寄せは、
「鮭の玉素焼き、海老含め煮、
出汁巻玉子、もずく酢、丸十檸檬煮」

丸十とは、
薩摩芋のことである。

 



煮物椀は、
「零余子(ムカゴ)真蒸と
白玉の豆乳仕立て」

紅葉麩と青柚子、
錦霰(にしきあられ)により
深まる秋の風情が
一椀の中に見事に描かれていた。

ほっこりした真蒸に
もっちりした白玉。
はんなり味の吸い地は
とろりとした飲み口だった。

椀底まで吸い切ると
思わず、
「ほぉ~ッ
と、香しい吐息が漏れた。

 



つづいては、お造り。
紅葉鯛に中トロ、
烏賊、雲丹。

目にも鮮やかな
黄交趾(こうち)の蓋物に盛られ、
鮪の真紅、雲丹の橙(だいだい)が映え、
恰も、紅葉の山里を
彷彿させるものだった。

 



強肴(しいざかな)は
赤絵の蓋物での
「鰈の蕎麦粒蒸し」

旨味の濃い鰈が
蕎麦掻きのような生地で被われ
蒸しにかけられ、
熱々の葛餡が張られている。

時折、蕎麦粒の
ぷつんとした歯応えがあり、
また、その香ばしさも感じられた
面白き逸品だった。

 



揚げ物は、
「海老団子と獅子唐、パプリカ」

熱々で、
カリリ、フワリとした
二段階の食感は
食楽のひとつで、
揚げ物ならではの
お楽しみでもある。

 



〆は、
「舞茸ご飯に
えのき茸の味噌汁、お新香」

ご飯にたどり着くと、
ホッと安堵するのは、
なぜだろう・・・(笑)。

家庭でも
何万、何千回となく
食べてきているから
なのだろうか・・・。

試しに、手元のスマホの
電卓で66年×365日を
概算してみたら
「24.090回」となった。

なるほど、
生まれてから、
それほどの回数も
ご飯を食べてりゃ、
ホッともするわいなぁ・・・(笑)。

 



茶懐石でもあるので、
主菓子には
「南瓜羮と無花果の甘露煮」

 



お仕舞いに
お薄が共された。

左手の掌(たなごころ)に
碗の高台を受け、
右手の五指は直角に張って、
茶の湯の作法に則り
諸事万物に黙礼して後
喫した。

今月も、無事、
店主、女将、半東さんの
おもてなしを受けて
『ひとり茶事』を
恙(つつが)無く
やらせて頂く事が出来て
お礼を申し上げた。

来月の予約も
させて頂き、
お三方のお見送りを受けて、
市中の山居を後にした。

来月は、
その一週間後に、
上洛して、
『美濃吉』『たん熊』『錦水亭』で
本格「京懐石」を
堪能してくる。

【生きる事は食べる事】
でもある。

ならば、心して、
有り難く
深く味わわねばなるまい。



***

きのうから
竜王戦「第三局」が
京都の仁和寺で始まった。

勝敗は、今日の夕方頃になりそうだ。

きょうは、これから、
山のガッコの文化祭を見に行く。

なにせ、全校生4人で、
その全員の母子共々に
カウンセリングをやっているから、
SCは関係深い学校人でもある。

また、文化祭を直接見て、
各人の努力の跡を認めて、
カウンセリングでも
しっかり誉める材料にしたいとも
考えている。

ポジティブ・ストローク
(肯定的評価)は、
その子の「自己効力感」を
増進させるものである。

幼少期から誉められて育てられた子は、
確固たる「自己肯定感」が身に付き、
しっかりしたアイデンティティを
早くから確立することができ、
「自分のやりたい事」を
確実に遂行していく、
という自己実現の道を
歩むものである。



*

リク坊の
「七五三」の写真が
送られてきた。

まだ、四つなのに、
前倒しで、撮ったようだ(笑)。

この子も
褒められて育ってきたので、
どんなパフォーマンスも
自信に満ちた表情でやり、
終わってから、必ずや
「楽しかった」
と言うから、大したものである。

先日の
結婚式での「乾杯の音頭」も
テーブルに戻ってくると
「楽しかった」
と言っていたので
ジイジは感心したものである。

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【郷に入らば郷を味わえ】(笑)

2024-10-04 06:45:28 | 懐石

腺窩性扁桃炎も
抗生物質が効いてくれて
治まりつつあるようで有難い。

きのうの朝方は
それでもカラダがしんどくて
鎮痛剤を呑んでの出勤だったが、
フルタイムを勤務しても
退勤時には疲弊も体調悪化も
しなかったので、
これはトンネルを抜けたか・・・と、
嬉しく思った。

きのうは
ご新規さんがキャンセルになったものの
5人のJCのうち3人もが
希死念慮があり、二人は
要医療ケア一歩手前の
プチ・デプ(ちょい鬱)で
推奨している生活改善療法
(日光浴・補液・軽運動・温浴)を
継続して実践してくれないので、
この気候変動が激しい外的環境も
ストレスになっており、
セラピストの方が心穏やかではない。

さるドクターも仰っていたが、
医者やクスリが治すのではなく、
患者さんの「治そう」
「生活を改めよう」という
治療意欲がなくては
手助けしたくとも稔らない、
というのに、尤もだな・・・と
痛感している。

そしたら、
自分の組織検査結果「良性」の
「お礼」のメールを差し上げた
Tちゃん先生から返信を頂いて、
我が事への注意も喚起されていて
アタタタ・・・。゚(;´д`) ゚。
と思わされた。

「何事もなく安心すると、
この病気を通して
神様に教えて頂き、
見直した食生活も、
段々と以前の通りでも大丈夫のように
思えてくるかもしれません。

『大酒大食するは絶食のもとぞ』
というみ教えの通り、
何事も過ぎれば、良いものも
体に毒になってしまい、
内蔵も疲れてしまうと思います。

どうか、喉元過ぎれば…
となりませんよう、
身体に負担のかからない食生活を
維持していただきますように、
よくお願いさせて頂いております」

きょうは、オフ日なので、
これから、『ひとり快気祝い』の
第二弾に、オープンしたばかりの
フレンチのデジュネ(ランチ)に
予約してある・・・。

(^▽^)>テヘヘ…♪

(美食はしますが・・・
大酒・大食はしませんので・・・)
神様、許してつかぁーさい・・・ (´人`)

きのうも
11月末の上洛での
教え子たちとの会食会や
自分の「ひとり懐石」の
予約を京都の店にしたばっかである・・・。

 (´д`|||)

ま、ふだんは
夕餉の残り物・余り物の
粗食の手作りベントを
有難く頂いているわけだし・・・。

たまの職人仕事を味わうのは
人生の「ハレとケ」のメリハリ、
「気晴らし」「気養い」としても
大事な「3R」(リフレッシュ・
リラクゼーション・レクリエーション)
という事にしている(笑)。

*

ポリープ切除の三日前に
ギター練習でこしらえた
指先の血豆がカサブタになり、
今朝方、きれいに落ちていたので、
これをメルクマールとして
術後の緩下剤『モビコール』の服用を
今日で止めにした。

思えば、血便が出て
切除を終えるまで、
丸々2ケ月半ほど
毎朝、服用していたので、
楽々ゆるゆるのお通じがあったが、
いきなり、それをやめて
大丈夫かしら・・・という、
一抹の不安もあるが・・・。

術後二週間が過ぎて、
まったく血便が観られないので、
切除部の「人工潰瘍」も
キレイに元通りの上皮細胞に
復元してくれたもの
と信じている。

*

今朝方、カミさんの車が
出発した跡の庭に
二階の廊下から
オレンジの点が見えたので、
何か知らん・・・と、
怪訝に思って、よくよく観たら、
早成りで熟した柿がポトリと
落ちたものだった。

昨日、嵐山のペンションに
宿の予約を入れたばかりなので、
(そうだ・・・。
 落柿舎(らくししゃ)にでも
 行ってみっか・・・)
と、ふと脳裏に浮かんだ。

在京中は、観光シーズンを避けて、
夕刻の頃に、フミを抱っこして
家族三人で人気のない嵯峨野を
よく散策して歩いた。

その原風景が彼に残っているのか
後年、リク坊をつれて
ちょいちょい嵐山に行ってるようだ(笑)。

*

公けには
コロナ明けだそうで、
インバウンドも回復し、
京都のホテル・宿は軒並み
11月末のシーズンオフにも関わらず
変動相場で3~5万という価格帯で、
高けぇなぁ・・・と、感じた。

こういう時は
ペンションが安上がりなので、
検索してみたら、
渡月橋の近くの一軒が
朝食付きで10100円という
廉価だったので、さっそく予約した。

電話口の御主人の対応も
物腰柔らかで、
「お待ち申しております・・・」
という好対応だったので
これはアタリだなと感じた。



対して、
夕餉の懐石に選んだ
近所の「熊彦」は
40年ぶりに訪れるが、
電話対応が、待たされるわ、
温かみのない口調だわ・・・で、
『船場吉兆』みたいに
この老舗も慣れっこに堕したか・・・
と、懸念された。

京都には、
観光客ズレしている店が少なくなく、
前の客のキャンセル料理を出されたり、
蟻が徳利に入ってたり、
ギューギューに詰め込まれたり・・・
という不快な思いをした店も多々あった。

なので、
老舗「たん熊」の嵐山店も
大丈夫かいな・・・と、
電話対応で不安がらせるようだった。

40年前は、
金光第一高の理科会で
京都習いの「ごはん食べ」の
幹事を仰せつかってたので、
フレンチやら懐石やら、
散策を兼ねて、定期考査中の
息抜きの愉しみとして出かけていた。

理科会は
物・化・生・地の先生方が
7名ほどおられたので、
毎回、賑やかに
散策と昼餐を楽しんだ記憶がある。

京都お生まれの先生からは
東北出身の自分がいつも
「散策会」を企画してたので、
「せんせ。よう、いろんなとこ、
知ってはりますなぁ・・・」
と、感心もされた(笑)。

マンション管理組合の
理事も務めたことがあるが、
京都人は金閣も清水も
行ったことがない
という人が普通だった(笑)。

そんなものなのかなぁ・・・
と思ったものである。

なにせ、自分とカミさんは
東北人なので、
在京中は外国暮らしをしてるような
高揚感があり、毎週末は
「中年・修学旅行生」のように
ありとあらゆる処を
視尽くして廻ったし、
食べ尽くして廻った(笑)。

閑話休題。



40年前の『熊彦』と
玄関の様子は同じだが、
内部は改装されたようである。

当時は、わりとキチャナイ
(古びた?・・・笑)
玄関口の椅子席での
安価な松花堂弁当だったが、
「玉〆炮烙焼き」という
茶碗蒸しの大仰版(笑)が
名物として出てきた。

今回は、一人旅なので、
弁当よりは豪華な、
それでも最安価な
懐石のコースにした。



果たして、
月一で通っている
地元の三ツ星懐石と
どっちに軍配があがるか・・・
サービスも込めて
判定してみたい。

*

『錦水亭』にも
在京中に、存命だった父が
母親と孫の顔を見に来た折、
昼餐に出向いたことがある。

平成元年生まれのフミが
1歳頃だから、
そうすると35年前くらいになる。

長岡京市は
筍の名産地で、
『錦水亭』も筍料理が売りだが、
シーズン外は通常の懐石もある。

やはり、日本料理は
関西が本場で、
なかでも「京料理」は
千利休が居た地でもあり、
茶懐石・会席ともに発展した
歴史的な地なので、
【郷に入らば郷を味わえ】(笑)
である。













 




 

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楽あれば苦あり//美味あれば醜味あり

2024-09-14 07:15:46 | 懐石

きのうは
三ツ星懐石店で、
月一の「ひとり茶会」を
愉しんできた。

幸いにして、
朝方には夏風邪も
ほぼほぼ全快しており、
まずまずの体調に
復調してくれた。

オフ日の朝は、
モビコール(緩下剤)入りの
バナナシェークのみとしてるので、
お昼にもなると
おかながグーと鳴り出した。

外は残暑なんていうもんじゃない
35℃の猛暑。

熱中症対策を厳重にすべく、
素肌にポロシャツを着て
前ボタンを全開して、
ネックアイスバンドに
脇下・短パンのポッケにも
アイスパックを挟んで
車を出した。

きちんとした懐石店や
フレンチレストランには
それなりの身なりをして
出向くのが礼儀というものだが、
常連の甘えでもって、
サンダルを突っ掛けて
まるっきりのビーチスタイル(笑)。

Tシャツじゃなく
襟付きのポロシャツなのが
唯一の礼節だろうか・・・(笑)。

そんなラフスタイルでも、
いつものように
女将と親方が
笑顔でお出迎え頂く。

**

「暑いですねぇ・・・」
の御挨拶から始まり、
三席カウンターの定席で
親方が手際よく
先付けを作って供して下さる。

珍しく手加減が狂ったのか、
まな板から半月盆に供する時、
ドン! と音がしたので
「失礼しました・・・」
と小声で仰られた。

冷房はあるものの
火を使う厨房内は
さぞかし暑かろう・・・と、
察せられた。

その中で集中して調理し
神経を使っておもてなしを
しなっきゃならないのが
客商売である。



*

先付けは
『チーズ豆腐・スモークサーモン・
 オクラの酢出汁』

親方に拠れば、
クリームチーズを牛乳で溶かし、
寒天・ゼラチンで固める
簡単なレシピだとの事。

なので、今度、さっそく
家でも創ってみようと
思わせられた。

ただし、
一朝一夕ではない
料亭の絶妙の出汁加減には
家庭ではなかなか
遠く及ばないものである。



*

吹き寄せは
手提げ皿に
初秋らしい
『生麩田楽・焼き栗・海月酢・
 サワラの芋サラダ焼・
 海老とキャビア』

まずは、目で楽しみ、
そして、熱々の田楽から・・・。

モチモチした生麩の食感に
やや焦がした田楽みその
悩ましいほどの香りが立って
「・・・・・・」
言葉が出ない。

焼きたての田楽豆腐が
落ちに登場する
落語の『味噌蔵』が
脳裏に浮かんだ。

それから、
冷製のクラゲ酢で
高ぶりを醒まし、
またまた、熱々のサワラへ。

洋風のポテトサラダを
纏わせての焼き物は珍しい。

和洋折衷の妙味・佳味である。

そしてまた、
冷製の海老とキャビアへ。

仕上げは
はんなり甘味のある
走りの焼き栗。

下には
極小粒の黒胡麻が
飾りに付いていた。



***

いよいよ、“懐石の華”
『椀刺し』に・・・。

『銀杏真蒸の菊花仕立て』

茶懐石の煮物椀としては
最高水準の
見栄えと味であった。

外は猛暑で
夏の名残り著しいが・・・
碗の中は、まぎれもなく
秋の風情。

これぞ懐石の愉しみである。

高橋親方の味は
ピュアで全く濁りがなく
そして研ぎ澄まされている。

それは、腕と人間性の
相乗効果なのかもしれない。

人をして
幸せにしてくれる
見事な料理である。

だからこそ、
茶懐石の本場の京都から
帰福して来、三十年も
通い詰めている。



*

お造りは、
秋らしい彩りの織部角皿に
『烏賊・雲丹・鯛・鮪』

先月の盛夏中には
ギヤマンに盛られていたが、
緑釉に茶がかった織部模様は
さすがに初秋に相応しい。

これは、女将のセレクトだという。

ウニは単品で味わった後、
烏賊や鯛とも
抱き合わせてもみた。

セルフィーユと烏賊を合わせると
フレンチっぽくもなった。

穂紫蘇に鯛も面白い。

大根のツマでなく
プチマリンという
海藻を原料としたツマは
プチプチとした食感で
それ自体楽しめる。



*

茶懐石では
「強肴(しいざかな)」になる
蒸し物は、
『秋鮭の信州蒸し』

茶蕎麦を鮭の身で巻き
蒸しあげた、珍しい逸品だった。

親方に問うと、
オリジナルではなく、
古典的「秋のレシピ」だそうな。

「けっこう手間がかかるんです・・・」
と苦笑されておられたが、
初めて味わう「出会い物」の妙に
感心もし、
「懐が広いですねぇ・・・。
 まだまだ、何かありそうですねぇ・・・」
と、名人の隠れたレパートリーを
今後も引き出そうと挑発してみた(笑)。



*

焼き物は
『鴨』

バルサミコ酢の香りが立つ
熱々のタレが敷かれていた。

南瓜と獅子唐の素揚げと
交互に鴨の滋味を堪能した。



**

『お芋ごはん』と『滑子汁』
で料理は〆となった。

茶事の懐石では、
ご飯と味噌汁は
最初に供されるが、
「会席膳」としての「懐石」では
お仕舞いにくる。



*

ここで
コースのデザートになる
主菓子(甘味)が供される。

『胡麻羊羹』である。



*

そして、
口中が甘やかになった処で、
お薄が・・・。

茶の作法に則り、
碗を掌(たなごごろ)に受け、
この一碗を無事
喫する事が出来る事に
謝し奉り、頂戴した。

おもてなし頂いた
ご主人、女将、半東の
皆様にも感謝申し上げた。



*** 秋の「箸置き」

退店時に、
「来週。大腸ポリープの
 摘出手術で、入院なんです・・・」
と、親方・女将のお二方に告げると、
お顔を曇らせて同情下すった。

「前後の二、三日は、
 おかゆ暮らしなんで、
 今日、御馳走を頂けて
 良かったですぅ・・・」
と、お道化ると
笑っておられた。

帰路、ふと、思ったのは・・・
こんなにも美味なるご馳走を
時々、頂いてるから、
あの死ぬほどマズイ
『ニフレックス』(大腸洗浄剤)を
2ℓも呑まなくてはならないのかなぁ・・・
と、《宇宙のバランスの法則》を
恨めしく思った・・・(笑)。

世の中、何でも
プラス・マイナス・チャラ・・・
なのかもしれない・・・(笑)。

酸いも甘いも
体験し尽くすのが、
生きてる意味なのかもしれないが・・・。

マズイ物を
大量に無理くり摂取させられるのは、
難行苦行もいいとこで、
この世の生き地獄である・・・(😿)。













 

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「初来福」御母堂 歓迎茶事

2024-08-10 05:37:26 | 懐石

きのうは東京から
ナッちゃん・アキちゃん夫婦と
お母様・オトちゃん(孫犬)御一行が
帰省・初来福され、
夕餉の晩餐を共にさせて頂いた。

帰福後、三十年来通っている
常連の三ツ星懐石店で、
家族一同、手厚いおもてなしを受けて
歓談と口福のひと時であった。

日中はカウンセリング仕事の為、
カミさんが裏磐梯にエスコートし、
イタリアン・レストランで
ランチをして、観光や
広々とした大自然の中で
ドッグランを満喫してきたという。

***

いつもは
月一の「セルフヒーリング」と
「料理勉強」の為に
“ぼっち昼餐”に通っているが、
家族五人での会食もまた
賑やか華やかで、いいものである。

 



*

先付けは、
平目の柑橘酢仕立てに
自家製の焼き唐墨。

ほどよい塩味と
香り豊かな唐墨は
イタリアンではボッタルガ、
フレンチではブタルガである。



**

青交趾に盛られた八寸には、
ナンテンの若葉から透いて見える
烏賊の黄身焼きや
鰆の玉素焼きの
色合いが目にも美しかった。

小茄子の田楽、
揚げの志野田巻も
しみじみとした佳味だった。

かくばかりに、
目にも舌にも楽しめるのが
まさに、日本料理の身上である。


*

いよいよ懐石のハイライト
『椀刺し』の煮物椀は
枝豆真蒸に南瓜のすり流し。

青葉を模った生麩に
青柚子のあしらいが
いかにも盛夏らしい。

家族一同、
その絶妙なる出汁加減に
ホーッと息を漏らしながら
悦に入っていた。



***

お造りは、
袖烏賊・帆立・鯛・鮪。

どれも甘味、旨味があり、
また、包丁の冴えが
感じられる食感であった。



***

強肴は、
鰈と生湯葉仕立ての東寺蒸し。

カミさんは
「百合根が入ってたぁ・・・」
と、嬉しそうだった(笑)。

新鮮な魚介を
酢の物、造り、蒸し物・・・と、
調理し分けて
その持ち味を楽しませてくれた。



***

強肴の二品目は、
合鴨ロースの焼き物。

ほどよく脂身を焼き切って
赤身は薔薇色に留めた
絶妙の火入れで、
旨味を存分に引き出していた。

胡麻ダレも
また佳く出来ていた。



***

〆には
カリカリ小梅のご飯に
お新香と味噌汁が供され、
一同、ほっこりとした気分で
お米の美味しさに舌鼓を打った。



*

主菓子は
ずんだ羹。

アキちゃんが、
大の「ずんだ好き」だというので、
嬉しそうだった。


**

たまたま、
茶人の自分には
真行草の「真」たる
「黒碗」のお薄が供された。

それにより、
華やいだ食事会の仕舞いに
いささか厳粛な気持ちに
立ち返る事となり、
今月今日、今ここの無事安寧を
謝し奉り、黙礼して頂戴した。

*-*+*

賓客・ご正客たる
御母堂にも
大変ご満足を頂き、
茶事の亭主としての面目も得て、
「おもてなし」頂いた
女将と親方にはお礼申し上げた。

来月からの
また、「ひとり茶事」
「ひとり勉強会」としての
予約もさせて頂いた。















 

 

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