神融心酔 

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清明上河図@北京故宮博物院200選

2012-01-07 | 茶にまつわる文化・芸術
1月2日から東京国立博物館平成館で開かれている「北京故宮博物院200選」に行ってきました。
お目当てはもちろん「清明上河図」。

始まったばかりですし、まだ冬休みなので
かなり並ばないといけないとは思いましたが、
行ける時に行かないとタイミングを逃してしまいそうなので、思い立ったが吉日。

覚悟はしていましたが、「清明上河図」はやはり90分待ち。
幸い入場制限はしていませんでしたから、寒い館外での行列はありませんでした。
公式HPでは混雑状況を「会場ライブ」で随時発信しています。)

初めて観る実物の「清明上河図」。
想像していたよりもずっと小さく、緻密で、人々が本当に生き生きと描かれていました。
眺めていると何となく幸せな気持ちにさせてくれる、そんな力を感じます。
会場の照明が少し暗いこと、
立ち止まってゆっくりお気に入りの場面をじっくり見られないことが
若干不満ではありますが、90分並んだ甲斐のある、素晴らしい「神品」でした。

世界史の教科書でも必ず登場するこの「清明上河図」、
白状いたしますと、実は私は10年ほど前まで、長い間勘違いをしておりました。
「清明上河図」の「清明」を清明節のこととは知らず、
清代、明代の庶民の暮らしを描いたものと思っていたのです。

と言うのも理由がありまして、
台北留学時代、半年に一度は台北の郊外にある「國立故宮博物院」を訪れていたのですが、
そこには「清 院本 清明上河図」が展示されていました。
台北の故宮博物院の文物はご存知の通り、
蒋介石率いる国民党が台湾に逃れる際に中国本土内から持ち出したものですが、
その中にこの北宋時代に描かれた「清明上河図」、
つまり今回の展示品は含まれていなかったのですね。

台北の故宮博物院に所蔵される「清 院本 清明上河図」は
数ある模倣作品の中でも最も有名なもので、
清の宮廷画家5名が「清明上河図」を題材にした各時代の作品を参考にして、
そこへ明代や清代の社会風俗も取り入れて描いたものであるとのこと。
私はこれがオリジナルで、清と明の生活を描いているのだと思い込んでいたのです。
(東京国立博物館にも模本が所蔵されていますから、尚更混乱します。)

中国茶を学び始めてその間違いに気付いたわけですが、
上海万博で「清明上河図」が話題になるまで原本が北京にあるということすら知りませんでした。
まあ、とにかくいかに高校時代の世界史の学び方がいい加減であったか、
そして台北滞在中、いかに「清明上河図」の解説をちゃんと読んでいなかったか、ということですね。

話が長くなりましたが、この「清明上河図」、
作者は張択端、北宋末期、徽宗皇帝時代の宮廷画家であろうと伝えられています。

徽宗皇帝と言えば『大観茶論』を記し、茶人としても有名で、
自らも詩・書・画などをたしなむ宋代随一の風流天子です。
その絶頂期の様子を垣間見ることのできるのがこの「清明上河図」です。
北宋の都・開封の清明節の一日を描くことで、
庶民が豊かな都市生活を謳歌している様子を伝えています。

しかし、この絵が描かれた北宋の絶頂期は
その後北方の金軍の襲来によって突然終焉を迎えることとなります。
徽宗皇帝も晩年は金国に拉致され、54歳でその生涯を終え、
宋は杭州に都を移し、南宋の時代が始まるわけです。

そう思うと、この賑やかで活気ある人々の生活の向こう側に
『平家物語』の冒頭にある「盛者必衰の理」も感じられて、
また視点が変わってきます。

今回の200選の中には徽宗皇帝の書や画も展示されていますので、
その芸術的素養が堪能できるのも展示の魅力のひとつ。
鑑賞後は徽宗皇帝の数奇な運命に思いを馳せながら
黒釉茶碗で抹茶をいただくのもいいかもしれません。
コメント
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