男の料理指南

知人がくれたレシピを紹介します。
アレンジも含めた男の料理です。
じーじが娘と孫に残したいレシピ

せんば汁

2010年03月05日 | だし・調味料・スープ類
手許にある辻嘉一さんの著書「あなたの懐石」に、「椀盛」の作り方24種類が
ありその一つが「塩鯖大根清し汁仕立・・胡椒」・・・言いかえれば「船場汁」です。

辻さんは、この料理を紹介する「覚書」に、つぎのように書いています。
「これは、俗に船場汁と呼ばれる汁です。商都大阪の問屋街船場で生まれ、
塩鯖と大根の相性を巧みに生かした汁として有名ですが、もともとは大阪商人の
したたかな経済観念が発明した廃物利用の惣菜で、刺身や鯖ずしなどを作った
あとの、残りの骨を活用したのがはじまりです。」・・・原文のままです。

別の資料は、「船場汁は大阪の問屋街の船場で生まれた料理で船場煮とも言う。
塩鯖の頭、中骨などを切って大根と昆布を入れ水から煮て・・煮えたら本来は
胡椒を振る」・・とあります。

もう一つはそのむかし、船場に来た行商の魚屋が、鯖を三枚におろしているのを
みた人が「その頭と骨をどうするの?」と魚屋さんに聞きます。
魚屋さんは「捨てるだけ」と答え、聞いた人は、勿体ないと思い頭と骨を貰って帰り、
塩で味つけした汁に、胡椒を振って見たらおいしい料理になった・・と言うものです。

レシピは、辻さんの「懐石・椀盛」風を真似た「よそいき着」のものと、中骨や腹骨で
つくった「ふだん着」の二つですが、どちらも文句なくおいしい「汁」です。
船場商人の商家に勤める丁稚たちが、「船場汁」という粗末な食事を食べせられる・
古いドラマ「がしんたれ」の一場面が頭にあり、「船場汁」は粗末なお菜と言う偏見が
ありましたが、実際に作って食べるとなんともおいしい一品でありました。
粗末なお菜塩鯖の「アラ汁」を、懐石料理の「椀盛」にまで仕立あげた料理人の
心意気とその腕・・それは一朝一夕に出来るものではなかったと思います。

これを作るときは、昆布の出汁を使い、薬味は「胡椒」・・・この二つが約束ごとです。
そして、「よそいき着」のときも「ふだん着」のときも、塩鯖を使います。
生の鯖のときは、頭や中骨に「強塩」をします。そうしないとおいしくできません。
塩分を摂るのは「ちょっとヤバイ」と思われるかも知れませんが、毎日食べるのでは
ありません。ときにはしっかりと塩をきかせた料理もよろしいものです。
  
せんば汁を知ったのは、関西に住むようになって、だいぶ年がたってからのことでした。知ったのはTVドラマです。
さばのアラと大根の塩味のおつゆと聞いて、魚が好きなわたしでもゾッとしました。魚が・・・特に背の青いさかなが苦手な方は、なおさらだろうと思います。試しに作ってみたら思いのほかおいしいし、臭いも気になりませんでした。それからは、折りある毎にこれを作ります。レシピはアラで作る「普段着」と、上身で作る「よそ行き」の二通りです。


しおさばのアラで作るせんば汁

材料
しおさばのアラ 1尾分
だいこん 5cm
出汁昆布 5cm
胡椒 少々
作り方
しおさばのアラは、一口大に切って、熱湯に通す。
だいこんは、1.5cm×3cmくらいの短冊に薄切り。
400ccの水に出汁昆布をいれて、弱火にかける。
昆布出汁は、水に半日以上漬けた「つけ出汁」をとるのがベスト。
用意していないときは、鍋に分量の水と昆布を入れ、極く小さい
火にかけます。料理をはじめる一番最初に、これを手がけます。

火力は、途中で少し強めますが、沸騰させてはいけません。
沸き立つ直前に昆布を引き上げ、沸騰したらだいこんと塩さばを
入れ、中火で5~6分煮て、味見をしてととのえたら出来あがり。
塩さばには、塩の強弱があるので、味を加減してください
食べるとき、胡椒を一振りしていただきます。

しおさばの上身で作るせんば汁

材料
しおさば 4切れ
だいこん 5cm
壬生菜 5~6枚
出汁昆布 5cm
胡椒 少々
作り方
塩さばの上身3センチくらいのを、1人分2切れ用意する。
皮に2つか3つ浅い切れ目を入れ、熱湯に入れ中火にして火をとおす。
別のなべに湯を沸かせ、塩を一つまみ入れて、だいこんを茹でる。
壬生菜も同様に塩茹でてざるにあげ、冷めてから3~4cm長さに切る。
昆布出汁を火にかけて、吸い加減の味にととのえる。
おわんに温かいさばと、塩ゆでしただいこん、壬生菜をおき、熱い出汁を注ぐ。
これは「よそ行き」の「せんば汁」です。さばもだいこんも壬生菜も同じ温度にして
器に盛り、用意した「熱い出汁」を張ります。食べるときは胡椒を一振りします。




コメント
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