男の料理指南

知人がくれたレシピを紹介します。
アレンジも含めた男の料理です。
じーじが娘と孫に残したいレシピ

粕汁

2009年02月18日 | だし・調味料・スープ類
「粕汁」を知ったのは、そして「粕汁」を食べたのは昭和31年の春でした。
そのとき、わたしは三菱銀行徳山支店の庶務・金庫・計算係在職でした。

そのときの係長が、京都の伏見から転勤してきた方でして、
酒粕が出回る早春の3月、昼食のメニューに「粕汁」を思いつきます。

中国地方では「粕汁」はなじみがうすい・・・と言うよりなじみがまったくない。
酒処の京・伏見から来た係長氏にしてみれば、粕汁に郷愁を覚えたのでしょう。
昼食のおかずに、「粕汁」を作ることを、食堂のおばさん(職名は銀行傭使・・・
れっきとした銀行職員です)に命じます。
おばさんは、昨今のような、派遣社員でも契約社員でもありません。

食堂のおばさんは、上司の係長氏から「粕汁」をつくることを命じられ、
途方にくれました。今まで作ったことも食べたこともなかったからです。
その訴えを聞いて係長氏が、「粕汁」の調理を指導します。

その日は3月31日、銀行は決算日でした。当時・・おそらく今でも銀行の支店に
とって大事な日ですが、係長氏にとっては、「粕汁」のほうが大切でした。

その係には「K」さんと言う、しっかりものの女性行員の次席がいました。
その方とわたしは、前日の勘定が会わず、原因究明に汗をながしていて、
お昼を過ぎて、やっと解決しました。

次席の「K」さんはわたしに「ご苦労様・・でも係長は、今日1日何をしていたと
思う?・・・1日中「粕汁」の手配だけしていたのよ・・・」と仰いました。
彼女は次席ながら本当にしっかりしていました。係を支えていまいた。
それに引き換え、係長氏は勘定が合わない・・と言う緊急事態のなかでも
心置きなく、「粕汁」の指導に専念していました。


いまの時代、考えられないようなお話ですが、古きよき頃にあった話です。
「粕汁」は今ではわたしの好物ですが、「粕汁」を作るたびに、50年もまえの
あの係長氏と、女性ながら係を支えた「K」さんのことを思い起こすのです。

今日2月17日はとても寒い一日でした。こんな寒い日のおかずは「粕汁」が一番。酒粕は吟醸酒粕、アルコール分が
少し残っているくらいのを使います。具と汁の割合は6:4と具を大目に、具は同じ大きさに細かくきざむのがコツです。
酒粕は濃い目にします。味付けは淡口醤油が一般的ですが、塩味も捨てがたいし、白味噌もよろしいものです。


精進の粕汁    4人分
材料
うす揚げ 1枚 50g    横半分に切り、2ミリ巾の細切りにする。
だいこん 5cm 80g    2ミリの厚さ×20×5ミリの短冊に切る。
にんじん 5cm 50g    だいこんにおなじ。
こんにゃく1/5丁 50g    だいこんにおなじ。
戻した乾し椎茸1枚 50g    半分に切って、小口から薄切り。
ごぼう 1/2本 35g      薄くこまかいささがきにして水に晒す。
ねぎ 3本 30g    ねもとは2センチの筒切り。あとは薄切り。
酒かす 30g       日本酒を加え、すり鉢で丁寧に擂る。
日本酒 大さじ 4
鰹まる 大さじ 1
昆布だしのもと 小さじ 1
淡口醤油 小さじ 3
水 750cc

作り方
鍋に水を入れて火にかけ、うす揚げ、だいこん、
にんじん、こんにゃく、椎茸、ごぼうを加えて、
沸騰したら中火で7~8分煮る。
全体に火が通ったら、鰹まると
昆布だしのもとを加えて味見をする。
良い味にしあがったら、擂った酒粕を加え、
淡口醤油を加えて全体を柔らかくまぜ、
ねぎの筒切りをいれて火を通す。
ここで、もう一度味見をして味をととのえる。
出来上がったら、器にもり薄切りの青ねぎを添える。
ねぎのほかに、みつば、せり、ふきの薹もよろしい。

塩鮭の粕汁
精進の粕汁に、塩鮭をころころに切ったのを入れた粕汁。
この場合、淡口醤油は入れません。
塩鮭は、中辛くらいがよろしい・・辛口は辛すぎます。

あと、塩ぶりを入れた粕汁もおいしいです。
鰤の切り身にべた塩をして半日~1日置いたのを
水洗いして塩を落とし、ころころに切ります。

コメント
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