北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

初めて父の髭を剃る ~ なぜか心が揺れました

2024-06-02 23:07:48 | 介護の世界

 今日も実家へ行き買い物サポートをしてきました。

 しかし母は疲れ気味で、「昨日は疲れてずっとソファで横になっていた」とあまり元気がありません。
 
 それに比べると父の方は元気です。

 ちょっと認知症の気があるのですが体の方は全く問題がありません。

 さて、じゃあ母を車に乗せて買い物に行こうと思ったところで母から思わぬ指令が出されました。

「そうだ、あんた、お父さんの髭を剃ってくれない?」

 なんと父の髭を剃ってくれというのです。

「なんで?自分じゃ剃れないの?」
「いやあ剃ってるんだけど、剃り残しが多くて気になってさ。あんたも普段から髭を剃っているでしょ、ちょっと剃ってやって」

 すると父も「そうか、剃ってくれるか、そりゃありがたい」と私が剃ることを全然気にしません。

「え~~~?」

 まさか自分の父の髭を剃ることになるとは思わず、ちょっと動揺しました。

 行きがかり上の流れでやらざるを得なくなり、父を洗面台の前の丸椅子に座らせて、顔を湿らせてシェービングフォームを塗り立てます。

 私も普段は二枚刃のカミソリで髭を剃っていますが、父から4枚刃の剃刀を渡されてこれで顔を当たることに。

 自分の顔なら怖いことはありませんが、人の顔を剃るのは何しろ初めて。介護の実習でも経験はありません。

 渋々やりながら、内心は(確かに介護の現場なら高齢者の髭を剃るというシーンがあるかもしれないな)と良い経験になるかもしれんと思い始めました。

 それにしてもやはり顔を切りはしないか、と身内とはいえ怖さがあります。

「父さん、普段はどれくらいで剃ってるの?」
「うーん?一週間に一度は剃っているよ」

「あ、そうかい」
「でももう外に出て人に会うこともないからな」

 しかし後から母に聞いたら「いや二日に一度は剃っているんだよ。でも全然剃り残しだらけなのさ」

 私も髭の伸び具合が一週間にしては短いな、と思っていましたが、二日に一度剃っていてももう父はそのこともあまりはっきりと認識していないのだと感じました。

 
      ◆



 床屋さんで髭を剃るときって、椅子の背もたれを後ろに倒して寝た形で剃りますね。

 それだと剃る方も剃られる方も楽なのでしょうが、椅子に座って直立の姿勢で髭を剃るというのは案外難しいと思いました。

 これも何度もやれば慣れるのでしょうか。

 
      ◆



 髭を剃り終わってから母に、「電動シェーバーで剃るのじゃ駄目なの?」と訊きました。

 すると母は「いや、電動シェーバーもあるのさ。でも本人は気に入らないんだね。それで髭を剃ろうという気にはならないみたいで、剃るときは剃刀を使うのが習い性になっているんだよ」

 安全もお金で解決できることに一つですが、それも本人に意思がなくては始まりません。

 自分も普段の剃刀での髭剃りをいつか電動に替える時が来るのだろうか、と思うと、その踏ん切りはどういうタイミングで発動するのかな。

 父の髭を剃ることになるとは思わず、ちょっと動揺した日曜日でした。




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