「僕は副市長時代の小松さんに言われて今でもずっと覚えている言葉があるんですよ」
そう言ったのは昨日訪問した釧路市立博物館学芸員の石川孝織さん。
「へえ、僕は何を言いましたかねえ」 自分が発した言葉でもそうそう覚えているものではありません。
「それは、『もう今や東京以外の自治体はみんな多かれ少なかれ沈没ですよ。でもそれならそれで、沈没するさまを思いきり見せつけてやろうじゃないですか。やれることは何でもやってね』っていう言葉でした」
「はは、覚えてないわ」
「僕が館内を案内して、アイヌの丸太の船の収蔵品の前でそう言われたんです。今でもその時の情景がありありと頭に浮かびます。そしてそれがものすごく心に刺さって、(そうか、そうなんだ! じゃあやれることはなんでもやってやろうじゃないか)と、自分の中で吹っ切れたものがあったんです」
「そうなんだ~、なんだか恥ずかしいなあ(笑)」
今や釧路市立博物館で石炭採掘の歴史や道東エリアの簡易軌道(殖民軌道)の調査研究で名の知れた石川さん。
特に鉄道ファンでもある石川さんの簡易軌道の研究成果は、市立博物館開館80周年記念展として2016(平成28)年に、企画展「釧路・根室の簡易軌道」を開催しその図録などの刊行物は異例の売れ行きだったそう。
単に「そう言えば昔そんな小さな鉄道があったなあ」というノスタルジックな懐古趣味を超えて、簡易軌道が「北海道らしい」「道東らしい」魅力的な地域文化資源として認知されつつあることの現れでしょう。
そしてこの動きは鶴居村の協力を得て、2018(平成30)年に北海道遺産の第3次選定として、「北海道の簡易軌道〜次世代に伝える開拓遺産としての鉄路〜」が新たな15の遺産の一つとなりました。
今や八面六臂の活躍をしている石川さんですが、その彼の心の中に私の何気ない一言があったとは面白い。
やれるだけのことをやってやる、という気持ちがいいな。
道東の簡易軌道にはよい記事がありました。
こちら→ 北海道マガジン「カイ」「開拓を支えた小さな鉄路・簡易軌道」
【博物館のセレクトショップ 収益金は博物館の運営にも寄与しているとのこと】
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