今日は一転して快晴の朝。雪の積もった道路が圧雪されてツルツルに滑ります。足下は冬に逆戻りです。
いよいよ年度末も近づいてきました。どんどん日程をこなさなくてはね。
【森と環境と観光と】
国土交通省の北海道での出先機関が北海道開発局と北海道運輸局です。昔はあまり仲が良くなかったけれど、今では連携は常識。相互に人事交流も行われるようになり、何事につけて一緒に行えるようになりました。良い時代になったものです。
この二つの機関が連携して、知床を対象とした観光関係の調査を行っているのですが、観光の仕事は入り込めば入り込むほど、関係者が多いということが分かります。
宿泊から交通、物販にサービスなどさまざまな民間事業者はもちろん、地方自治体や国関係の行政もそれぞれが所掌する範囲で関わってくるのですから、これらの間の関係を調整するのも大変なのです。
そのため、せめて知床の観光に関係する国関係機関同士だけでも集まって、お互いの顔が見えるような会合をもちたいものだ、という話が出て、今日は開発局と運輸局、環境省の自然保護事務所、森林管理局が集まる会合を行いました。
こんなことも今まではなかったことですが、時代は変わるものです。
* * * *
知床に関係するそれぞれの情報を提供し合って、意見交換をしましたがいろいろな話題が出て楽しく時間が過ぎました。
特に環境省さんからは、世界自然遺産に登録されてからの知床地域の利用のされ方についての報告があって極めて興味深いお話が聞けました。
環境省ではいろいろなポイントに入山カウンターを設置して、自動的に利用者の数を押さえているのだそうです。
知床岬は、海岸を縦走して行く人がいるのですが、自然保護と熊の危険の関係から、環境省は立ち入り自粛をお願いしていることもあって、昨年の夏のシーズンは139人と前年の2/3に減ったそうです。
しかし最近はシーカヤックという新しいツールが登場して、まだ数十名程度ではあるもの、この利用者が増えているのだそうです。
シーカヤックは地元の漁業関係者にも歓迎されていなくて、その理由は知床岬周辺は漁業者も恐れるほどの強風が吹くことがあって、シーカヤックに何かあったら助けに行かなくてはならないということが心理的な負担になっているのだとか。
自分たちが楽しむ分にはよいけれど、なにかあったときの助けを求められる側の負担も考えないといけないのです。
* * * *
知床へ来た観光客が一番向かう先が知床五湖なのですが、ここでも過剰利用から遊歩道の幅が広がってきたり、混雑を嫌ってショートカットする人が出てきて新しい道ができつつあるとか。ううむ、ゆゆしき事態ですな。
もっとも大きな問題は、やはり熊との遭遇です。
平成18年度は、観光に来た人たちとヒグマとの重大な接触が複数回起きているとのことです。
《その1 ザック持ち去り事件》
9月7日に、幌別川河口でマスを釣っていた釣り人がヒグマにザックを持ち去られました。ザックは持ち主から離れていた場所においてあったもので、中にはパンなどの食料が入っていました。
通報を受けた知床財団の職員がヒグマを追い払い、付近を捜索したところ破れたザックを発見しましたが、中に入っていたパンが食べられていました。
〈このことで熊が(人間の持ち物には美味しいものが入っている)という学習をさせてしまったことは重大です〉
《その2 テント接触事件》
8月28日に、エタウシペニ湾にて幕営していたシーカヤック利用者のテントにヒグマらしき動物がのしかかってきました。当時テントには女性二人がいて気丈にも内側から押し返すなどの行動をとりました。
食料はカヤックのハッチに保管してありましたが、食器類は付近に立てたタープ下に置かれていました。
その後幕営地付近で若いヒグマが接近してくるところをテント外にいた別の男性が発見し大声で怒鳴って威嚇したところ、熊は逃走しました。
《その3 ヒグマへの餌やり情報》
7月17日に、知床峠駐車場と羅臼湖歩道入り口の間で当歳仔2頭連れの親子熊に対して車から餌やりをしている様子を観光バス運転手が確認。その後自然ガイドを通じて、羅臼ビジターセンターに通報され、峠駐車場への餌やり厳禁の張り紙や付近の巡視の強化等の対策をとりました。
* * * *
なるほど、危険と紙一重の接触事件が増えているようですが、このままでは絶対に事故が起こりそうです。
これら以外にも、川の側でのカメラマンによるヒグマの接近撮影や道路沿いに不用意に接近する観光客が多く存在しているとか。カメラマンがヒグマに接近することによって、危険意識のない一般利用者までもがヒグマに誘導されてしまう事例もあって、ヒグマは恐ろしいという正しい知識の啓発が課題になっているようです。
環境省では「『ヒグマの棲家におじゃまする』を基本思想とした『謙虚さ』と『畏怖・畏敬の念』が求められます」というパンフレットも作って配布していますが、気軽な気持ちで訪れてくる多くの観光客の意識を変えるのは難しいことなのです。
知床には来て欲しいものの、理解もして欲しいものです。
こういう会合を今後も続けて行きましょうという点では参加者の意見は一致しました。情報交換と連携をもっと深めたいものです。
いよいよ年度末も近づいてきました。どんどん日程をこなさなくてはね。
【森と環境と観光と】
国土交通省の北海道での出先機関が北海道開発局と北海道運輸局です。昔はあまり仲が良くなかったけれど、今では連携は常識。相互に人事交流も行われるようになり、何事につけて一緒に行えるようになりました。良い時代になったものです。
この二つの機関が連携して、知床を対象とした観光関係の調査を行っているのですが、観光の仕事は入り込めば入り込むほど、関係者が多いということが分かります。
宿泊から交通、物販にサービスなどさまざまな民間事業者はもちろん、地方自治体や国関係の行政もそれぞれが所掌する範囲で関わってくるのですから、これらの間の関係を調整するのも大変なのです。
そのため、せめて知床の観光に関係する国関係機関同士だけでも集まって、お互いの顔が見えるような会合をもちたいものだ、という話が出て、今日は開発局と運輸局、環境省の自然保護事務所、森林管理局が集まる会合を行いました。
こんなことも今まではなかったことですが、時代は変わるものです。
* * * *
知床に関係するそれぞれの情報を提供し合って、意見交換をしましたがいろいろな話題が出て楽しく時間が過ぎました。
特に環境省さんからは、世界自然遺産に登録されてからの知床地域の利用のされ方についての報告があって極めて興味深いお話が聞けました。
環境省ではいろいろなポイントに入山カウンターを設置して、自動的に利用者の数を押さえているのだそうです。
知床岬は、海岸を縦走して行く人がいるのですが、自然保護と熊の危険の関係から、環境省は立ち入り自粛をお願いしていることもあって、昨年の夏のシーズンは139人と前年の2/3に減ったそうです。
しかし最近はシーカヤックという新しいツールが登場して、まだ数十名程度ではあるもの、この利用者が増えているのだそうです。
シーカヤックは地元の漁業関係者にも歓迎されていなくて、その理由は知床岬周辺は漁業者も恐れるほどの強風が吹くことがあって、シーカヤックに何かあったら助けに行かなくてはならないということが心理的な負担になっているのだとか。
自分たちが楽しむ分にはよいけれど、なにかあったときの助けを求められる側の負担も考えないといけないのです。
* * * *
知床へ来た観光客が一番向かう先が知床五湖なのですが、ここでも過剰利用から遊歩道の幅が広がってきたり、混雑を嫌ってショートカットする人が出てきて新しい道ができつつあるとか。ううむ、ゆゆしき事態ですな。
もっとも大きな問題は、やはり熊との遭遇です。
平成18年度は、観光に来た人たちとヒグマとの重大な接触が複数回起きているとのことです。
《その1 ザック持ち去り事件》
9月7日に、幌別川河口でマスを釣っていた釣り人がヒグマにザックを持ち去られました。ザックは持ち主から離れていた場所においてあったもので、中にはパンなどの食料が入っていました。
通報を受けた知床財団の職員がヒグマを追い払い、付近を捜索したところ破れたザックを発見しましたが、中に入っていたパンが食べられていました。
〈このことで熊が(人間の持ち物には美味しいものが入っている)という学習をさせてしまったことは重大です〉
《その2 テント接触事件》
8月28日に、エタウシペニ湾にて幕営していたシーカヤック利用者のテントにヒグマらしき動物がのしかかってきました。当時テントには女性二人がいて気丈にも内側から押し返すなどの行動をとりました。
食料はカヤックのハッチに保管してありましたが、食器類は付近に立てたタープ下に置かれていました。
その後幕営地付近で若いヒグマが接近してくるところをテント外にいた別の男性が発見し大声で怒鳴って威嚇したところ、熊は逃走しました。
《その3 ヒグマへの餌やり情報》
7月17日に、知床峠駐車場と羅臼湖歩道入り口の間で当歳仔2頭連れの親子熊に対して車から餌やりをしている様子を観光バス運転手が確認。その後自然ガイドを通じて、羅臼ビジターセンターに通報され、峠駐車場への餌やり厳禁の張り紙や付近の巡視の強化等の対策をとりました。
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なるほど、危険と紙一重の接触事件が増えているようですが、このままでは絶対に事故が起こりそうです。
これら以外にも、川の側でのカメラマンによるヒグマの接近撮影や道路沿いに不用意に接近する観光客が多く存在しているとか。カメラマンがヒグマに接近することによって、危険意識のない一般利用者までもがヒグマに誘導されてしまう事例もあって、ヒグマは恐ろしいという正しい知識の啓発が課題になっているようです。
環境省では「『ヒグマの棲家におじゃまする』を基本思想とした『謙虚さ』と『畏怖・畏敬の念』が求められます」というパンフレットも作って配布していますが、気軽な気持ちで訪れてくる多くの観光客の意識を変えるのは難しいことなのです。
知床には来て欲しいものの、理解もして欲しいものです。
こういう会合を今後も続けて行きましょうという点では参加者の意見は一致しました。情報交換と連携をもっと深めたいものです。
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