北海道はヒグマ(羆)の生息地ですが、一般には臆病な動物で人間の気配を感じると向こうの方から避ける、と言われています。
しかしヒグマに人間が襲われるという事件がないわけではなく、特に北海道で人間が襲われた最悪の事件が「三毛別羆事件」です。
三毛別とは、今は留萌管内の苫前町の一部で、古丹別川から三毛別川へ入り、さらにその支流のルペシュペナイ川という川筋の上流部にあった集落です。今は「三渓」と名を変えて、被害のあった当時の六線沢村に今は居住者はいません。
ここで大正4年12月に、冬眠に失敗した羆が人間を襲い食べ殺し、七人が犠牲になるという悲惨な事件が発生しました。
Wikipediaでも「三毛別羆事件」で検索すると事件の様子を知ることができますし、後に吉村昭氏がその物語を「熊嵐」という小説で描いています。
今回は小平町へキャンプをしたので、この三毛別水系で釣りをしようと思ったのですが、濁りの状態が悪く全く釣りにはなりません。
そこで三毛別羆事件の復元跡を訪ね、それから苫前町の郷土資料館の見学をしてきました。
事件のあった地区に建てられた復元施設は、本当に山奥の沢地の底のようなところ。事件の被害にあった人たちはこのあたりに開拓のために入植した人たちなのだそうで、本当にかわいそうなことです。
事件の記録では、熊は家の中に避難していた人間めがけて家の窓から侵入してきたとのことで、事件現場でただ一人生き残った少年の証言が残されていたのだそうです。
釣りをするときは熊に注意が必要ですが、熊の本当の怖さを思い知りました。
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復元跡を見学していると、東京から来たというバイク二台のライダーに会いました。
「よくこんなところを知って来る気になりましたね」と言うと、「最近は東京でも熊が人里に出る事件があって気になったんですが、そうしたら、ここが獣害史上一番の被害地だという事を知って、来てみようと思いました」とのこと。
聞けば、7月16日にフジテレビ系列の「アンビリバボー」という番組で、この「三毛別羆事件」がとりあげられたのだそうで、後からネットで見てみると、事件の全容が実に要領よくまとまっています。
【アンビリバボー 日本で実際に起こった史上最悪の獣害事件 三毛別羆事件】
https://www.youtube.com/watch?v=21CA12K33w8
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苫前町の郷土資料館は、昭和3年に建てられた当時の役場です。
展示物の中ではやはり三毛別羆事件に関する展示が、他の町村の際立って特徴的。
受付の女性に、「羆事件のことを知ってここへ来ました」というと、「先日、アンビリバボーに取り上げられてから、本州のお客さんがたくさん来るようになりました」とやや困惑顔。ここでもやはり東京での熊騒動がかなり効いているようです。
「それじゃあさぞたくさんのお客さんが来るんでしょうね」と言うと、「それがね、ここの施設は玄関を入ってすぐのところに熊のはく製があって、昔の当直部屋だったこの受付が見えないんです。だから入ってすぐに展示物を身に行っちゃう人を呼び止めるのが大変で…(笑)」
確かに入ってすぐの所には大きな熊のはく製があって、これが目を引きます。
人気が出たら出たで、現地にはいろいろな苦労がありますね。
ちなみに、「熊害」と書いて「ゆうがい」って読むと初めて知りました。三毛別の羆事件。北海道人なら歴史として知っておきたいですね。
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