先日挨拶回りでえりも岬の手前にある浦河を通りました。
ちょうどお昼時だったのですが、国道に「日高昆布ラーメン」という幟が立っていたのがやけに気になりました。
一度は通り過ぎたのですが、どうしても気になってUターンして戻ってきてそのラーメン屋さんに入りました。
ラーメン屋さんの名前は「寶龍 浦河店」で、いわゆるフランチャイズのチェーン店です。
しかし他のお店で「日高昆布ラーメン」なんて幟が立っているのを見たことがないので、まあとにかく入店してみました。
ご主人に、「日高昆布ラーメンを食べたいのですが味噌、塩、醤油のどの味が良いですか」と訊くと、間髪を入れず「塩だね」とのこと。
その反応の速さが面白くて、ご店主お勧めの日高昆布ラーメン塩味(900円)を注文。
数分経って出てきたのは、少し濁りのある塩味スープに、出汁を取った昆布を煮てカットしたものと、さらに油で揚げた薄い昆布がトッピングされたラーメンでした。
もちろんチャーシューやメンマ、ネギなども乗っていますが、昆布がこれだけドカンとくるんおは、昆布産地日高らしくてなかなかに気に入りました。
ただの札幌ラーメン的美味しさを求める方向性ではなく、地域特産の名物を活かしたテーマラーメンとして見ればなかなかの優れものです。
それこそ利尻島には「味楽」という出汁に利尻昆布を「これでもか!」というくらい大量にぶち込んだスープを売りにして、横浜のラーメン博物館でも大人気を博しているラーメン屋さんがあります。
しかしこちらは、「味楽」さんとも違って昆布が目に見える形で食べられるというのが特徴です。
ご主人に、「みそ味や醤油味と比べると塩の方が良いのはなぜですか」と訊くと、「塩味には昆布の粉末も入れてあって、昆布風味がより豊かになるようにしています。
味噌と醤油に粉末を入れると味が壊れる気がして、そちらには入れていないので、より昆布味を楽しむなら塩が一番ですよ」とのこと。
もちろん出汁にも昆布をたっぷり使っているので、スープの味わいも普通のチェーン店のラーメンとはやはり一味違います。
ただ考えてみると、利尻昆布は出汁昆布なので、あまり食べるという話を聞かないのですが、日高昆布は出汁も出るし煮昆布としても食べるということで、それぞれの昆布の特徴を生かした提供の仕方になっているのでしょう。
そう思って、「日高昆布は出汁だけじゃなくて食べる昆布なのでこういう出し方なんでしょうか」と訊いてみると、ご店主は笑いながら、「地元の昆布漁師たちは出汁を取った後の昆布は食べないんだよね。でも出汁を取って柔らかくなると味が染みるんで、うちはそれをまた味付けして出してる。そうしたら地元の漁師がうちにきて、『出汁取った後でも美味いな』って言ってるからね(笑)」とのこと。
チェーン店でもお店の個性を生かしたメニュー展開があれば、もう名物ラーメンになれますね。
えりも岬へ行く途中にぜひ一杯どうぞ。