北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

変わる組織の勇気

2006-11-01 23:42:15 | Weblog
 気温がぐっと下がって、通勤時はコートを着ても手がかじかんでしまいます。
 今日からはいよいよ11月となりカレンダーの絵柄が変わりました。今年も後二ヶ月となり、そろそろ気持ちが焦ってくる頃ですね。

【変わる組織の勇気】
 組織の中にいると、自分たちの外の環境が変わることを受けて自らがどう変われるか、ということが非常に重要になるものです。

 トヨタ自動車は言わずと知れた日本が誇る世界規模の自動車メーカーとして知られています。

 どうみても大組織であるに違いないのですが、この組織のすごいところは小さなことをおろそかにせず、常にカイゼンと称して新しい試みに挑戦することを「認める」どころか「やらないと叱られる」という企業風土です。

 生産工場で起こるトラブルに関する姿が見事です。かつてフォードが大量生産方式を確立した頃には、品質基準をクリア出来なかった車が必ず一定の割合で出るもので、それはリスクとして折り込むという考え方でした。

 それがトヨタでは、トラブルがあったときはそのラインをすべて停止させて、何が悪かったのかという原因をすかさず究明してそれが起こらないように対応を考えるというのです。

 たとえばある工程を受け持った人間がねじを5個入れなければならないところで4個しか入れないまま次の工程に移ってしまったとすると、すぐにラインを止めてしまい、なぜ5個を入れられなかったかを究明するのです。

 ベルトコンベヤーのスピードが速すぎたせいか、ネジを取りに行く一歩が遠かったのか、ネジを入れる道具を手にするのに手間取ったのか…などなど、その原因を探るのです。

 それが分かったらすぐに改善案を策定して、新しい方式で再びラインを動かすのです。

 そこでは単なる人為的ミスとして片づけるのではなく、なぜ人に起因するミスが生じたのか、それはどうすれば防げるのか、ということを改善してゆく姿勢が貫かれています。

 ちなみにトヨタでは作業員の二歩を1秒に換算するという計算式を取っているのだそうです。道具や部品を取りに行く歩数を10歩から8歩にすることで工程が1秒縮まるという訳です。

 さらに新しい試みを常に加えてみて、うまくいけば良しで、新しい試みであれば失敗しても叱らずに、また元に戻せばよいだけと考えているのだそうです。そのあたりの柔軟性が、あれだけの大企業の中に常に進取の気質を蓄えている所以でしょう。

 安定した組織にいればいるほど、ときに自らを変えることよりは自らの今のやり方の正しさを訴えようとするものです。しかし、そういうことに努力するよりは、まず変えることを選択するという精神構造にしておくことの方が将来に向けた対応力が強いのではないでしょうか。

 また、組織内に良い意味の競争を促進するシステムを埋め込んでおくことも重要です。競争のないところには、より良くしようという動機が起きないからです。

 最初に変わることは勇気の要ることです。しかし変わることを当たり前に考える、変化しないままでいることを恥ずかしく思うような組織マインドが植え付けられた組織こそがこれからの時代を生き残る事が出来るような気がします。

 古来より戦いにおいて籠城で勝った戦いはありません。あるのは援軍が期待出来るときだけなのです。

 自分たちの戦いには援軍が期待出来ますか?
 
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