建設業や公共事業関連の話題って、業界紙とは違う一般紙はほとんどとりあげてくれないという印象があります。
道路も橋もダムも、多くの道民、国民がそれなくしては暮らせないし、それらのおかげで便利で安全・安心な日常が営めているはずなのですが、それらに関心を向けようとはしません。
ところがさすがに、インフラが傷んで市民生活に支障が及ぶようになれば、話題にせずにはいられません。
今の北海道の大きな困りごとは、道路の凸凹。本州に住んでいる方なら「道路の凸凹って、何を言っているの?」とイメージがわかないかもしれません。
ところが北海道の道路って、特に春に傷みます。
気温が上がって雪が融けると融けた水がアスファルトのひび割れなどから舗装の下に入り込みます。それが夜に気温が下がると凍ってアスファルトを少し持ち上げます。
そんな状態の時に、特に重車両が走ると舗装が踏まれていた見ます。
道路を傷めるのは重たい車です。軸重の差は4乗になって道路を傷めます。重さが2倍の車は16倍道路を傷め、重さが5倍の車は625倍道路を傷めます。
そうして春先に道路にたくさん穴が開いてしまいます。これらはまさに雪が融けると凍るを日々繰り返す、積雪寒冷地特有の気象状況で、特に今年は春先に暖かい日が出たことで、融けるのが早く、道路をより傷めたことでしょう。
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「これでは走行に支障が出る」と、トラック協会やハイヤー協会、バス協会が、道路管理者に道路を直してほしい、と要望書を出したと聞きました。
我々のような施工業界団体は、「道路をちゃんと直さないと傷みが進行して市民生活に影響が出ますよ」といくら言ったところで、「結局君たちは仕事が欲しいのだろう」という色眼鏡で見られてしまいます。
道路を使わない年ごとにならないユーザー団体が声を上げてくれたことはついに我慢の限界が来たか、と心強い反面、こんなことになる前に直せるともっと良いのに、とも思います。
一つだけ留意してほしいことがあります。
春先の補修工事で、穴にアスファルトを詰めて穴を塞いでいるだけの工事では、根本的な解決にはならないという事です。
穴が開くという事は、表層のアスファルトにひび割れが入っているという問題もありますが、根本的には車の重量を支える"路盤"と呼ぶ、砂利を敷き詰めた層も傷んでいることが多いという事。
だから、まだ大穴が空かないひび割れ状態であれば表層を削って新しいアスファルトを敷き詰めれば、状況は大きく改善しますが、穴が何個も空くようになってしまったら、もう路盤から直さないと、いけないのです。
傷みが目に余るようになる前の、早め早めの計画的な修繕こそが、インフラを安く長持ちさせる最善の方法です。
そもそも、壊れたら直すなんて、技術屋じゃあありません。壊れる兆候を見逃さずに、人に知られる前に直してこそプロの技術屋でしょう。
今は予算状況がそれを許してくれません。
「壊れるまではいいだろう?壊れたら言いなさい。そうしたら直すから」
社会の質の劣化は、そういうところから始まるのです。
日本という社会の質のレベル低下の問題は、物事が分かっている現場の技術屋の目が生かせないからなのだと思うのです。
ささやかなる抵抗をしなくては、ね。