滝川まで出張して、除雪は維持管理などのためにわが部隊が保有する「働く自動車」たちを見てきました。
昔は除雪と言えば、グレーダーという路面を削る巨大な作業者が定番でしたが、本来この機械は道路を造る際に砂利を敷き均したり砂利道が凸凹になったのを均し直す機械です。
ところが世の中の道路整備量が少なくなったのと、道路の舗装が進んで砂利道が少なくなったことで夏に使われる機会が減りました。
今やグレーダーと言えば、冬の除雪のために大活躍する機械の代表選手となってしまいましたが、これも新しい排ガス規制が実施されたためにメーカーが排ガス規制をクリアする新しいエンジンを開発することをためらっている状況。
そのために現在、世の中に新しいグレーダーは出てきません。
いまある現有のグレーダーが無くなった時が、日本からグレーダーという機械が消えるときかもしれません。
そこにあるのは、一抹の寂しさというノスタルジーというよりは、除雪を効率的に行う専用車両が消える不安なのです。
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現在日本の公共事業では予算の削減傾向が続いていて、特に既にできているインフラを管理するための予算が減少しています。
維持管理の予算が削られても作業は行わなくてはならないために、いきおい、管理のための機械更新費用が削られてゆきます。
そのために、機械類が減らされることを前提とした管理体制や管理システムが要求されています。
そこで打ち出されたのが、夏管理だけや冬の除雪のためだけ使われるという専用車両を使うのではなく、夏冬兼用の機械類で対応しようという考え方。
そもそも機械類は、夏だけ使うとなると冬は動かず、冬の除雪車両では夏は動かさないということになり、稼働時間が少ない割には傷みが激しく、非効率的に見えてしまいます。
それならば夏も冬も動かすことで管理のための効率を追求しようとうのです。
これは、冬のロータリー除雪車のロータリー部分をアタッチメントにして夏は路面清掃ユニットと水散布の部品をつけて夏の管理にも使おうという車両です。
また歩道除雪機に夏の斜面草刈り機をつけるようなアタッチメントも開発されています。
まだこうした夏冬兼用機械の導入は日が浅いのですが、今後実践を通じてノウハウが蓄積され、改善に繋がることでしょう。
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数年前の冬に、中国の黒竜江省瀋陽(しんよう)市を訪れた際に、結構な雪が降っていたのですが、当時の瀋陽市には除雪のための機械というのがなくて、たくさんの人が清掃用のスコップを持って道路を雪かきして、それをゴミ運搬車に積んで運んでいるのを目の当たりにしました。
現代日本ではそのような人海戦術による管理はとても無理で、どうしたって効率的な機械による維持管理を求めなくてはなりません。
世の中を維持するのに必要な力とそれを維持する対価について、多くの方に関心を持っていただきたいものです。
それにしても、働く自動車ってカッコイイなあ。