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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

アイヌシアター「イコロ」での人形劇公開

2011-12-17 23:45:00 | Weblog
 明日の夜から来週の前半は東京出張に入るもので、今週の土日は来年度の臨時費要求のヒアリングを行ってしまわなくてはなりません。

 休日出勤の職員の皆さんにはご苦労をかけますが、よろしくお願いします。

 
 今日は夕方までにヒアリングを終えて、一路阿寒湖畔のアイヌシアター「イコロ」へと向かいました。

 今日と明日の二日間で、練習を重ねていた人形劇「ふんだりけったりクマ神さま」の関係者向け上演が行われるのです。

 少し早めに湖畔に着いたのでシアター近くの居酒屋へ蝕に行ったところ、鶴賀の大西社長がおられて、札幌大学の副学長の本田優子副学長さんをご紹介されました。

 本田先生は、平取で萱野茂さんに師事してアイヌ語を学んだ素敵な女性の文学博士。アイヌ語はもちろんアイヌ文化の応援団として活躍されています。

 なんと人形劇でアイヌの物語をやるとよいのではないか、と言い出したのは本田先生だったのだそうです。

「なぜ人形劇が良いと思われたのですか?」
「アイヌの物語には神々が主人公となるものが多いのですが、空を飛んだり水の中に入ったりするようなシーンがあって、人が演じる劇だと難しいんです。でも人形劇ならそれをクリアできる、というのが一つです」

「なるほど、まだ理由があるのですか」
「はい、ここアイヌ湖畔には木彫りの工芸士さんがたくさんおられますし、布を刺繍する方もおられるでしょ?だから自分たちの手技で人形を作ることができますから、それを地域のキャラクターにすることもできますよね。そういう文化的な背景を存分に生かせるのが人形劇だと思ったんです」

 先生の提案は文科省の補助により動きだし、札幌の劇団やまびこ座やこぐま座にも協力していただいて劇ができました。

 思いは実現するのですね。


   【最初に挨拶された本田先生】


    ※     ※     ※     ※     ※


 さて、劇は熊の神様が川にいる鮭を存分にとって家に帰ろうとしますが、途中で川の増水にあってびしょ濡れとなり、それを見かねた女性が登場し…、どんどんふんだりけったりな状態になっていきます。


   【川には鮭がいっぱいだ!】



   【二人の怪しげな美女が登場】



   【火の神との対話では火が出る演出に驚き】




 それが実は森の神たちが画策して熊の神様にしかけたことだった…という、なかなか面白い展開です。

 劇の後半はアイヌの熊送りの儀式に対するアイヌの人たちの考え方がよくあらわれた物語となります。

 アイヌの人たちは獲った熊の魂を大切にして祀り、お土産を持たせて熊の国へ送り返します。

 熊の国に帰って行った熊の魂は、人間世界でいかに自分がもてなされて良い思いをしたかを語り聞かせます。

 そのことで、「じゃあ次はおれが行ってみるよ」といって熊が人間世界に現れてくれることを期待しているのです。

 熊は人間にとって肉や毛皮や薬をもたらしてくれる大切な森の神です。そうした精神世界がよくわかる人形劇。

 まだまだ練習を重ねて、グランドオープンは来年の4月29日だそうです。

 地元コタンの人たちも、連日深夜まで練習を重ねて今日を迎えることができました。

 アイヌの人たちの精神世界へようこそ。物語がまた一つ増えました。



   【オールキャスト勢揃いです】
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