東京から避暑で釧路へ来てくださっている国土政策の大家であるM先生をつかまえて、「東日本大震災の復興政策と我が国の地域づくり」というタイトルで勉強会を開催しました。
M先生のおられる政策研究大学院大学では東日本大震災後に学内の教員を総動員して復興政策に関する様々な提言を作成し、これを政府とのチャンネルを通じて政策形成の中枢にまで届けておられるのだそう。
残念ながら政府の対応は機敏とは言えず、もどかしさが漂いますが、発せられる声にいつか耳を傾けてもらえることを期待して、日本の将来に対する提言をまとめられたのです。
今日の勉強会ではこれらの背景や狙いについてお話を聞くとともに津波で被災し、また国際バルク戦略港湾の指定を受けた港を有する釧路という現場に即した意見交換と言う形で進められました。
【東日本大震災復興体制に関する緊急提言(第1次提言)平成23年4月22日】 http://bit.ly/ruA8ny
【東日本大震災復興体制に関する緊急提言(第2次提言)平成23年5月16日】 http://bit.ly/pA1cUi
※ ※ ※ ※ ※
M先生は復興構想会議の提言について、広範な課題を短期間でよくまとめたと前向きに評価する一方で、問題点も指摘されました。
それは①被災後の対応の分析が不足、②重要な事項が欠落していること、③復興は市町村が主体とされ、まちづくりの現場からの発想が弱いこと、だと言います。
①に関しては、
・政府の意思決定に関して調整プロセスが不明確であること
・そもそも意思決定が遅いこと、
・さらに各種政策が個別に発表されてセットになっていないために住民や企業が動けないこと、を指摘しています。
また、地方分権の原則と非常事態対応は分けて考えることが不可欠だ、とも。
②に関しては、
・もっと民間資金を活用すべきとか、
・住民の合意形成を最優先にした説明のプロを投入すべき、
・災害対応制度を具体化すべき、
・まず住まいよりも臨海部の産業を復活すべきであること、
・地盤沈下のための土砂管理対策や改めてハードの在り方を考えるべき、など。
③の具体的なまちづくり政策としては、
・広域生活圏の核となる中心都市のコンセプトがあるべき
・魅力と活力ある都心を形成できるように、などといったことを提言されています。
またなによりも、条件不利地に対する措置と裕福な大都市とは支援の仕方を変えるべきで、同じ補助率などというのでは復興は果たされない、と主張します。
面白かったのは、地元のレストランや飲食店を大手のチェーン店ばかりにしてはつまらなくなってしまうので、こうした個店を支援するようなことを考えなくてはならない、という意見でした。
これには大いに賛成ですが、M先生はこうした個店が生き残れないのは安く材料を仕入れられないためと分析し、そのためにはレストランに対して、
①IT化をもっと支援する。パソコンを買ってネットの使い方を覚えてもらうしかない。
②ロジスティックス(物流)を改善して安く物が入るような支援を公共が考えても良いのではないか、と提案します。
※ ※ ※ ※ ※

また条件不利地域の被災地に対しては復旧後も継続的な支援の仕組みが必要だし、単にインフラ負担の軽減を図るだけでは復興はおぼつきません。
交通、医療、商業などの生活サービスは維持支援をする仕組みも必要なのではないか、ともおっしゃいます。
考えれば考えるほど、被災地への支援は通常のやり方ではなく震災に特化した特別な支援の枠組みが必要だと感じます。
それは不公平ではなく、富と幸福の再配分を意味しています。
それを国民の多くが納得するような提案として国は作る必要があるのですが、どうもそのあたりに意思と能力が見出せません。
もどかしい日々が続きますが、提案・提言に多くの学識者が参加してより良い制度や枠組みができることを期待せずにはいられません。
大きな国土政策はやはり国がやらなくてはならないのです。
M先生のおられる政策研究大学院大学では東日本大震災後に学内の教員を総動員して復興政策に関する様々な提言を作成し、これを政府とのチャンネルを通じて政策形成の中枢にまで届けておられるのだそう。
残念ながら政府の対応は機敏とは言えず、もどかしさが漂いますが、発せられる声にいつか耳を傾けてもらえることを期待して、日本の将来に対する提言をまとめられたのです。
今日の勉強会ではこれらの背景や狙いについてお話を聞くとともに津波で被災し、また国際バルク戦略港湾の指定を受けた港を有する釧路という現場に即した意見交換と言う形で進められました。
【東日本大震災復興体制に関する緊急提言(第1次提言)平成23年4月22日】 http://bit.ly/ruA8ny
【東日本大震災復興体制に関する緊急提言(第2次提言)平成23年5月16日】 http://bit.ly/pA1cUi
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M先生は復興構想会議の提言について、広範な課題を短期間でよくまとめたと前向きに評価する一方で、問題点も指摘されました。
それは①被災後の対応の分析が不足、②重要な事項が欠落していること、③復興は市町村が主体とされ、まちづくりの現場からの発想が弱いこと、だと言います。
①に関しては、
・政府の意思決定に関して調整プロセスが不明確であること
・そもそも意思決定が遅いこと、
・さらに各種政策が個別に発表されてセットになっていないために住民や企業が動けないこと、を指摘しています。
また、地方分権の原則と非常事態対応は分けて考えることが不可欠だ、とも。
②に関しては、
・もっと民間資金を活用すべきとか、
・住民の合意形成を最優先にした説明のプロを投入すべき、
・災害対応制度を具体化すべき、
・まず住まいよりも臨海部の産業を復活すべきであること、
・地盤沈下のための土砂管理対策や改めてハードの在り方を考えるべき、など。
③の具体的なまちづくり政策としては、
・広域生活圏の核となる中心都市のコンセプトがあるべき
・魅力と活力ある都心を形成できるように、などといったことを提言されています。
またなによりも、条件不利地に対する措置と裕福な大都市とは支援の仕方を変えるべきで、同じ補助率などというのでは復興は果たされない、と主張します。
面白かったのは、地元のレストランや飲食店を大手のチェーン店ばかりにしてはつまらなくなってしまうので、こうした個店を支援するようなことを考えなくてはならない、という意見でした。
これには大いに賛成ですが、M先生はこうした個店が生き残れないのは安く材料を仕入れられないためと分析し、そのためにはレストランに対して、
①IT化をもっと支援する。パソコンを買ってネットの使い方を覚えてもらうしかない。
②ロジスティックス(物流)を改善して安く物が入るような支援を公共が考えても良いのではないか、と提案します。
※ ※ ※ ※ ※

また条件不利地域の被災地に対しては復旧後も継続的な支援の仕組みが必要だし、単にインフラ負担の軽減を図るだけでは復興はおぼつきません。
交通、医療、商業などの生活サービスは維持支援をする仕組みも必要なのではないか、ともおっしゃいます。
考えれば考えるほど、被災地への支援は通常のやり方ではなく震災に特化した特別な支援の枠組みが必要だと感じます。
それは不公平ではなく、富と幸福の再配分を意味しています。
それを国民の多くが納得するような提案として国は作る必要があるのですが、どうもそのあたりに意思と能力が見出せません。
もどかしい日々が続きますが、提案・提言に多くの学識者が参加してより良い制度や枠組みができることを期待せずにはいられません。
大きな国土政策はやはり国がやらなくてはならないのです。