駒子の備忘録

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ミュージカル『フォッシー』

2009年11月05日 | 観劇記/タイトルは行
 オーチャードホール、2001年8月28日マチネ。
 演出家・振付家としてオスカー賞・トニー賞・エミー賞を同時受賞(1973年)するという偉業を成し遂げたボブ・フォッシーの、ミュージカル・映画・テレビ番組の名ダンス・ナンバーを一挙に集め再編成した、セクシーでエレガントなダンス・レビュー。1999年トニー賞ベスト・ミュージカル。アン・ラインキング演出。
 いやー、堪能しました。ジョージ・バランシンは彼のモダン・バレエを、ストーリーやマイムを踊るクラシック・バレエに対して、「音楽を踊れ」と言ったそうですが、フォッシー・スタイルもそんな感じですね。音がダンサーの体を使って表現されているようでした。
 各ナンバーはそれぞれのミュージカル作品の中においてはなんらかのストーリーや意味を持っていたのでしょうが、こうして集められると、本当にダンスのためのダンスになります。
 照明も衣装もいいし、何よりこのフィジカルなコケットリーは、絶対に日本人には出せないし、日本文化にはないものなんですよねえ。ウィットと知性があって、下品ではない官能性。シビれました。
 またヘンなコール・ドになっていないところがいいのです。「最終的には個人個人がステップを消化して、オーガニック(有機的)に表現」しているところがいいです。
 たとえばCGとか、ディズニーのアニメの群舞とかだと、あたりまえですがみんな同じになっちゃいますよね。そうじゃなくて、でもちゃんと揃っているところがいいんです。
 気に入ったのは「BYE BYE BLACKBIRD」と、「PERCUSSION 4」。特に後者は「アダージェット」もかくやという美しいバレエで、このソロを踊った黒人男性ダンサーTerace Jonesが今回私の第一のお気に入りとなりました。群舞になると背の高さのせいもあって後列端に置かれてしまうのだけれど、どこにいても目がいきました。
 ラスト・ナンバーの「BENNY GOODMAN'S "SING SING SING"」は各ソロパートがあまりにかっこよかったので(特にピアノ!)、総踊りになってからはもうちょっと長くやってほしかったなー。
「わあ、いいな、手拍子したいぜ」
 って思っているうちにわりとあっさり終わってしまったので。
 しかしこういう楽しいレビューを観てしまうと、中学校の体育の授業で創作ダンスに燃えたのを思い出すなー。誰にも真偽を確かめようがないだろうので言いますが、私が振り付けたあの創作ダンスは確かにフォッシー・スタイルでしたよ。単に手袋を使っていただけとも言いますが。わはははは。 
 以下蛇足。私の隣りの席は、珍しくも男性ひとり客でした。
「よっぽどこういうのが好きな人なのかな」
 と思いきや、舞台が始まったとたんに船漕ぎ始めました。それも、そのままおとなしく寝入っていてくれるならまあ目障りではありませんが、ときおりはっと目を覚ましては
「いけないいけない、見なくては」
 とばかりに姿勢を正し、またすぐこっくりこっくり…
 時間とお金の遣い方は人それぞれですが、思いきってロビーのソファで昼寝した方が熟睡できて彼にとってもよかったんじゃないでしょうかね…
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