駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『お気に召すまま』

2010年02月02日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアターコクーン、2007年7月18日ソワレ。

 舞台はフランス。不幸な身の上の青年と娘がいた。青年オーランドー(小栗旬)は前公爵の忠実な部下だった父亡き後、兄オリヴァー(鈴木豊)に不当な扱い を受けていた。娘ロザリンド(成宮寛貴)は公爵だった父が弟との政権争いに敗れて追放され、今は従姉妹のシーリア(月川悠貴)だけが心の支えだ。オーランドーとロザリンドは宮廷のレスリング大会で出会い、恋に落ちるが…演出/蜷川幸雄、作/W・シェイクスピア、翻訳/松岡和子。2004年初演のオールメー ル・シリーズ。

 ロザリンドが男装し、青年ギャニミードとしてオーランドーと出会い、恋に悩むオーランドーの相手をロザリンドのふりをしてし、恋の愚かさを説こうとする…というような筋だ、とは知っていましたが、他にもいろいろと登場人物の多い舞台なんですね。これでほぼ元の戯曲どおりなんでしょうか。
 後半になると地口が増えて楽しくなりましたが、「詩的」と評される長セリフは私には若干退屈に感じられましたし、オリヴァーやフレデリック公爵(外山誠二)が急にいい人になってしまったり、オーランドーのキャラクターが一貫していなかったりするところ(前半はハムレットかと思った。後半はただのお坊ちゃんで、どちらかというとその方が愛らしい)は、もしかしてシェイクスピアってやっぱり古いとは言わないまでも現代の演劇にはそぐわないところがあるんじゃ ないの?なんて僭越ながら思ってしまいましたよ。でもそこを刈り込んだり整えたりするのはちがうってことなんでしょうかね…

 オールメールでやっているということもあって、アーデンの森での、男装のロザリンドとオーランドーないしシーリアとのやりとりのシーンが楽しく白眉なのは確か。成宮くんは大健闘で客席を沸かせていました。このお芝居はなんてったってロザリンドが主役ですものね。
 あとはドレス姿がもう少しだけなんとかなればねえ…やはりずん胴に見えてしまってつらいのでした。

 シーリア役は女形さんらしく、宝塚歌劇の男役にも見え、不思議でした。このキャラクターも不思議で、ロザリンドとはどちらが年上なんでしょうかね?
 伯父が追放されてもその娘のロザリンドがいないと夜も日も明けないと言って父に留め置かせるシーリアですが、だからと言ってロザリンドがいないと何もできな いお姫様ではなく、むしろシーリアの方がクールで現実的なところがあるようです。なのにオリヴァーとは一目惚れし合ってすぐ結婚しちゃうんだけれどね。

 タッチストーンの田山涼成がさすがの芸達者ぶり。

 しかしやはり立ち見も出ちゃうこの盛況ぶりは、『花男』ルイルイ(笑)の小栗くんによるものなんでしょうねー。彼が走り抜けていく側の通路際の席だったのだ大ラッキー! 頭が小さくて背が高くて細くてそれはそれは素敵でした。
 オーランドーってしどころのない役だと思うのですが、王子さまとしてただ立っているってだけのこともけっこう大変ですよ。よかったと思います。
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