週明けにも月・宙組の次期トップコンビについて発表があるかもしれないので、イヤあるいはまだまだ引っ張るのかもしれませんが、とにかくその前に書いておきたかったので一言。
あくまで個人的に思うことです。当該生徒さんのファンには異論・反論もあると思いますし、ファンでなくとも違う考え方をする方もいらっしゃるでしょうし、傷つく方もいらっしゃるかもしれません。
すみません。あらかじめお断りして謝っておきます。
組替えとは別の話ですが、大空さんが卒業発表をしたときに、
「こういう遅咲きの例もあるんだから、みんな焦りすぎないで、もっとのんびりがんばるといいよ」
みたいな意見をブログやツイッターでよく見たのですが…
私は、そうかな?とちょっと思いました。
私は大空さんのファンだから、大空さんを特別視したいというバイアスはあるかもしれません。しかしそれを差っぴいても、大空さんはかなり特殊な例で、みんながみんな簡単に目指したり目標にしたり心の支えにしたりしていいケースではないのではないかしらん、と私は思っているのです。
人それぞれいろいろなペースがあるから、焦りすぎないで、ゆっくりでもいいから努力し続けるといい。
それは確かに正論だけれど、でも努力したからって必ず結果が出るとは限らない。
大空さんだって、今となっては、トップにもなれたししかも超短期とかで終わらなかったからこうして話せているけれど、どう転ぶかなんて全然わからなかったわけだし、本人の努力とかそういうこととはまったく別次元の、タイミングや何かもっと違う力が働いてしまっていることは、ちょっとファンならみんな知っているわけじゃないですか。
だからこれは空前絶後のとても特殊な例で、それをお手本にみんながんばるといいよ、なんて私は全然言えないと思ったんですね。
というか、そもそも私は、タカラジェンヌは、というかトップスターはもう少し若返った方がいいとずっと思っていたのです。
歌劇団としてももうずっと以前からそう画策しているように見えた。でもなかなか成功していないように見える。でもその方針は私には正しいと思えた、だからじれったいし心配なのです。
企業はことに現在どこも経営的に厳しいわけで、けれど事業に対する適正人数というものがあるから、頭数はそう簡単には減らせない。私も生徒の総数は現在のものがいいと思っています。
ただ、人数は同じでも若くした方が、給料が減らせて企業としては嬉しいわけですよね。普通は社員は年齢が上がれば給料が上がっていくものですから。
そういう辛気臭い金勘定の問題もあるけれど、それとは別にスターの輝きとか新鮮さの問題として、私は新公卒業後からトップになるまでが長すぎて中だるみして見える時期があるのが問題だと思っているのです。
少子化のせいなのかはたまた別の原因があるのか、音楽学校も受験者数が減っていて、受験科目を減らしたり、受験時点でのテクニックをあまり問わず、広く人材を求めることにしているそうですが、いったいにやはり最近の若い子の方が器用で、早くから出来上がっている子が多いのではないかと思います。
そうでないにしても、とにかく先生方はもっと普段のお稽古場や劇団レッスンに顔を出すべきだと思います。普段から見ていれば、どんなに若くてまだまだ未知数の子とはいえ、個性や性向が見えてくるものです。
男役に関しては、路線だなと思える子に関しては研3か4で新公の主演を一度経験させて、その後もきちんと二番手や三番手の役をやらせて、バウ公演でも三番手くらいやバウWSの主役を踏ませて、新公卒業時にもう一度主演をさせたら、もう本公演の三番手か四番手にきちんとして、研10でトップにして2,3年で卒業させる、くらいが理想ではないでしょうか。
娘役はその2,3年早巻きくらいかな。逆に今のトップ娘役は若すぎます。このトップ娘役の極端な低学年化には、アタマの悪いおっさんたちの「女は若い方がいい」という実にくだらない思想に基づく陰謀を感じます。
これは、トップは、の話。
お芝居は若い役者だけでは成立しないし、脇が上手い生徒、歌手やダンサーとして秀でている生徒、というのはまた違った育て方があると思います。
その延長に組長人事もある。組長が専科に移るのは自分ひとりの役者稼業に専念できるという点では栄転だと思うのです。だからいい。
逆に新たに組長、副組長に就く生徒は、上級生として組子全体の面倒を見る修行のタイミングが回ってきたということですね。
そしてこういう役回りが務まる生徒は、もう立派に歌劇団の社員であり、卒業して転職したり第二の人生を考えようというよりは、定年まで勤め上げる覚悟をどこかでしてもらうよう教育するべきなのではないでしょうか。
とにかくトップは、それくらいで進めば、卒業時に32,3歳とかくらいですよね?
成人年齢を20歳から18歳に引き下げようかと議論される一方で、現代の若者の成熟は遅れていて、25歳でも30歳でもお尻に卵の殻を付けているような人間が増えている世の中ではありますが、しかし役者とは意外にも体力勝負の稼業だという点においてはアスリートに近いとも言える存在です。
アスリートが競技で一番活躍できる年代、と同じようなものが役者にもある。そしてアスリートが競技を引退して第二の人生に転向していく必要があるように、タカラジェンヌもいつかは退団して第二の人生を歩み出さなければならないのです。
そのひとつが結婚です。タカラジェンヌは独身女性に限る、と規定されています。結婚しようと思ったら退団するしかない。まあ結婚はいくつでもできるんだけれど、出産するとなると確実なタイムリミットがあるわけで、子供を持ちたいと思ったら退団しなくてはならない。
あるいは何かの勉強をしなおす、芸能界に進む、何かまったく別の職業に就く、そういう今まではと違った生き方をリスタートするためにも、もちろん本当はいくつになっても遅すぎるということはないのですがしかし、やはり若い方がやりやすい部分は確実にある。
今の、卒業したらアラフォー、という状態は、たとえば世のアラフォー女性が転職にする苦労以上のものを彼女たちに背負わせることになっているのではないでしょうか。
若いうちにスターとして活躍し、若いうちに卒業させてあげたい。それはさっきの「女は若い方がいい」という考え方とはまったく違うものだと思うのです。
あとは、単純に、新公卒業をしたあとは本公演では数えれば七番手とか八番手とかなのかもしれないけれど、いつもヤングスターの扱いで一絡げに三人口とかばかりやらされて、役らしい役がつかなくて、トップになるなんていつのことやら…みたいな時期が現状では長すぎると思う。
その間に新鮮さがなんとなく薄れて、個性とか持ち味とかがなんだかよくわからなくなっていっちゃうスターたちを何人見送ってきたことか。
そういう事態を作らないためにも、もう少し早巻きの流れを作った方がいいのではないかと私は思っていたのですよ。
で、今回の組替えです。
20年近く宝塚歌劇を観てきて、理不尽で意味不明に思える人事や組替えもたくさん見てきましたが、今回の組替えも、そういう戦略がうかがい知れるなら、どんなに大規模でも、また泣く生徒や泣くファンがいても、仕方ないかな、必要悪と思えるかな、と思っていたのですが…
またまた単にナゾが多いものにしかなっていないようで、そういう意味で私は不満です…
組のバランスを見た上で、というのが一番だとしても、生徒にとっては原則として組替えは栄転であるべきだと思うのですが、今回そうはっきり言える例がはたしてあるでしょうか? それがまずイヤ。
しいて言えばみーちゃんくらい?
みーちゃんは、宙組でみーちー大というセットとして使われていて、でもプログラムの扱いなどから見る組の番手としては三番手のみっちゃんの次はカチャ、という感じになってきていたので、路線から微妙に外されつつある、というところでしたよね?
それがまぁくんと入れ替えということなら、これまた花組での今後のみつるの扱いが微妙なんだけれど、三番手のみわっちの下、四番手ないし五番手に叙されるということなのかな?
だとしたらよかったね、なのですが、単にダンス要員として使われて、スターとしてはだいもんやあきらやまよちゃんを使っていく、ということもありえますよね(そして私の若返り策からしたらそれくらいやるべきなんですが)。
だとしたらそれは栄転とは言えない。ポジションは変わらなくても環境が変わって、また違った輝きを見せられる、ということはあるかもしれないけれど、組替えってそれだけのためだけにするものなの?と疑問を感じてしまう…
ナゾの同期揃えもよくわからない。
近年まれに見る成功した組替え例としてまっつの花組から雪組への異動があると私は思っていて、確かにまっつとキムは同期なんですが、でもキムのトップ就任の脇を固めるという役目があって、そのタイミングで呼ばれたわけじゃないですか。
でも今、まさこがチエちゃんの隣に行く必要があるとは思えない。キタロウは、組替え発表のあとに大空さんの卒業発表があったから、宙組の次期トップがこのまま順当にテルになるなら、それを支えるために異動する形になったけれど、それははたしてどこまで事前に考えられたプランだったのでしょうか?
月組ではみりおが今は三番手というかダブル二番手の下席というポジションにいますが、きりやんが卒業することは発表済みだったわけで、こちらも順当に上がるなら次は正二番手になるというところへ、同期のみやるりを持ってくる、というのも、何がしたいの?という感じ。
コマがいるのにチギを持ってきたのに、そしてチギを二番手にしたというのに、そこにともみんをもっていく。ともみんが星で微妙な立場だったのは解消できるのかもしれないけれど、組替えってそのためだけにするものか? あくまで行った先でどうするか何をさせるかが問題なんでしょう?
番手以前の下級生ならいいというものでもない。そもそも同期はどこの組にも最初からいるし、自然発生的に仲良しコンビが出来るからファンがつくのであって、後付けで同期コンビを作ってもあまり意味はないと思うのですよね。もしそういう狙いでやっているならね。
さらによくわからないのは娘役でただひとりあったカガリリちゃんの異動。
娘役なんてトップ娘役以外はポジションがないも同然なんだから(トップ娘役が低学年化しすぎているからこういう事態になるのです。以前はちゃんとトップ娘役より下級生の二番手娘役というものが立つ余地がありました。今そんなことやってたらまだダンゴの研1から選ぶハメになります)、栄転としての組替えが行われるならそれは次期トップ娘役ということであるはずです。
けれどカガリリちゃんにそんな未来が約束されているとはとても思えない。すぐ下にみりおんがいるからです。
なんなのこれは? しずくやあまちゃきの組替えもナゾだったけれど、一応そのあと新公ヒロインや二番手娘役らしきことをさせましたよね。でもそれだけで結局トップにせずにやめさせたわけですが。そんな組替えに意味ってあるんでしょうか?
かつてジュンやグンちゃんやユリちゃんがした組替えはそういうものではなかったよ? 次にトップにするために異動させたんだよ?
そういう未来がここにあるの?
生徒それぞれの未来像もよくわからなければ、各組の未来像もよくわかりません。
まあこれはもしかしたら月組次期トップコンビ発表に合わせてまた少し異動があるのかもしれませんが。
たとえは星組。
チエちゃんは来年春までトップでいることがわかっている。台湾公演での主演が発表されたからです。
その次はユリカにするつもりでいかないとダメなんじゃないの?
チエちゃんはユリちゃん以来久々に現れた若いトップで、私は当時とてもいいことだと思いました。
トウコからチエちゃんにバトンを渡させるために、カヨコをやめさせしぃちゃんをやめさせまとぶんを異動させて道を作ったでしょう。それを今からやらないと。
ともみんは動かした。要するにベニーをどうするのかってことですよ。正二番手として扱うの? トヨコに別格二番手としてお茶を濁してもらっている間に何かがなんとなくなんとかなるとか思ってるの?
二番手、三番手にまで遇したのならきちんとその後トップにさせてあげなくちゃいけません。そこまでしておいてあとから梯子を外すようなことはしてはいけない。私はルコさんを知っているので(生で観劇し出す前の話ですが)ユミコのことは個人的にはそれほどショックではなかったけれど、それでも今後二度と絶対にしてほしくないことのひとつです。
逆にトップにしないんだったら、今くらいから路線から外してあげないといけません。それて進み方を考えさせてあげないと。
最初の話に戻りますが、あまりに無駄に長く生徒を縛り付ける権利は歌劇団にはないはずなのです。彼女たちの全人生を背負ってあげられるわけではないのですから。
歌劇団がどんなに周到に路線を敷いたって、そのとおりにことが進むとは限りません。多くの人間がかかわることですし、ちょっとのタイミングの違いで生まれる「たられば」は限りなくあるでしょう。
でも少なくとももう少しビジョンは見えないとさ。ファンは不安になりますよ。
なんでもかんでも言わなくてもいいけど、でももう少し説明してもいいと思います。組替えの意図を。今はこうだけどこうなってほしいと思ったからこうしたんだ、というのを。それで、そういう評価なのか、とわかったり安心したり、思い込みが正される部分もあるのですから。
せめて生徒本人にはしてあげてほしいと思うけれど…きっとしていないんだろうなあ。
でも人事が下手な会社というのはダメだよ…
100周年を迎えるときのトップスターの顔ぶれを、劇団はどう考えているのでしょうか?
それはそんなに未来のことではないですよ。今から戦略的に仕込んでいかないと、生徒にもファンにも心の準備の期間を与えてくれないと、確実に失敗しますよ?
スターとファンを大事にしないから、客席稼働率が下がっていくんですよ? ゆっくり絶望していってるんですよ? 歯止めをかけなきゃいけません。その戦略を、ビジョンを見せてほしい。
公演の演目ももちろん大切です。しかし宝塚歌劇は演目を観るよりスターを見る部分が大きいかもしれないという、非常に稀有なスタイルの劇団なのです。
本当にきちんと考えてもらいたい。そして大事にしてあげてほしい。
みんながみんな幸せになれるなんて思っていません。でも無駄に泣かせる必要はないでしょう。流す涙を減らす努力はしましょうよ。その上でタイミングとかはそれこそ偶然で神の采配です。人事を尽くしていれば天命も待てます。ただのなりゆき任せやノープランには耐えられません。
個人的に、好きな人だけ応援していられる安心な時期が過ぎ去ろうとしている今、考えないではいられません。
あくまで個人的に思うことです。当該生徒さんのファンには異論・反論もあると思いますし、ファンでなくとも違う考え方をする方もいらっしゃるでしょうし、傷つく方もいらっしゃるかもしれません。
すみません。あらかじめお断りして謝っておきます。
組替えとは別の話ですが、大空さんが卒業発表をしたときに、
「こういう遅咲きの例もあるんだから、みんな焦りすぎないで、もっとのんびりがんばるといいよ」
みたいな意見をブログやツイッターでよく見たのですが…
私は、そうかな?とちょっと思いました。
私は大空さんのファンだから、大空さんを特別視したいというバイアスはあるかもしれません。しかしそれを差っぴいても、大空さんはかなり特殊な例で、みんながみんな簡単に目指したり目標にしたり心の支えにしたりしていいケースではないのではないかしらん、と私は思っているのです。
人それぞれいろいろなペースがあるから、焦りすぎないで、ゆっくりでもいいから努力し続けるといい。
それは確かに正論だけれど、でも努力したからって必ず結果が出るとは限らない。
大空さんだって、今となっては、トップにもなれたししかも超短期とかで終わらなかったからこうして話せているけれど、どう転ぶかなんて全然わからなかったわけだし、本人の努力とかそういうこととはまったく別次元の、タイミングや何かもっと違う力が働いてしまっていることは、ちょっとファンならみんな知っているわけじゃないですか。
だからこれは空前絶後のとても特殊な例で、それをお手本にみんながんばるといいよ、なんて私は全然言えないと思ったんですね。
というか、そもそも私は、タカラジェンヌは、というかトップスターはもう少し若返った方がいいとずっと思っていたのです。
歌劇団としてももうずっと以前からそう画策しているように見えた。でもなかなか成功していないように見える。でもその方針は私には正しいと思えた、だからじれったいし心配なのです。
企業はことに現在どこも経営的に厳しいわけで、けれど事業に対する適正人数というものがあるから、頭数はそう簡単には減らせない。私も生徒の総数は現在のものがいいと思っています。
ただ、人数は同じでも若くした方が、給料が減らせて企業としては嬉しいわけですよね。普通は社員は年齢が上がれば給料が上がっていくものですから。
そういう辛気臭い金勘定の問題もあるけれど、それとは別にスターの輝きとか新鮮さの問題として、私は新公卒業後からトップになるまでが長すぎて中だるみして見える時期があるのが問題だと思っているのです。
少子化のせいなのかはたまた別の原因があるのか、音楽学校も受験者数が減っていて、受験科目を減らしたり、受験時点でのテクニックをあまり問わず、広く人材を求めることにしているそうですが、いったいにやはり最近の若い子の方が器用で、早くから出来上がっている子が多いのではないかと思います。
そうでないにしても、とにかく先生方はもっと普段のお稽古場や劇団レッスンに顔を出すべきだと思います。普段から見ていれば、どんなに若くてまだまだ未知数の子とはいえ、個性や性向が見えてくるものです。
男役に関しては、路線だなと思える子に関しては研3か4で新公の主演を一度経験させて、その後もきちんと二番手や三番手の役をやらせて、バウ公演でも三番手くらいやバウWSの主役を踏ませて、新公卒業時にもう一度主演をさせたら、もう本公演の三番手か四番手にきちんとして、研10でトップにして2,3年で卒業させる、くらいが理想ではないでしょうか。
娘役はその2,3年早巻きくらいかな。逆に今のトップ娘役は若すぎます。このトップ娘役の極端な低学年化には、アタマの悪いおっさんたちの「女は若い方がいい」という実にくだらない思想に基づく陰謀を感じます。
これは、トップは、の話。
お芝居は若い役者だけでは成立しないし、脇が上手い生徒、歌手やダンサーとして秀でている生徒、というのはまた違った育て方があると思います。
その延長に組長人事もある。組長が専科に移るのは自分ひとりの役者稼業に専念できるという点では栄転だと思うのです。だからいい。
逆に新たに組長、副組長に就く生徒は、上級生として組子全体の面倒を見る修行のタイミングが回ってきたということですね。
そしてこういう役回りが務まる生徒は、もう立派に歌劇団の社員であり、卒業して転職したり第二の人生を考えようというよりは、定年まで勤め上げる覚悟をどこかでしてもらうよう教育するべきなのではないでしょうか。
とにかくトップは、それくらいで進めば、卒業時に32,3歳とかくらいですよね?
成人年齢を20歳から18歳に引き下げようかと議論される一方で、現代の若者の成熟は遅れていて、25歳でも30歳でもお尻に卵の殻を付けているような人間が増えている世の中ではありますが、しかし役者とは意外にも体力勝負の稼業だという点においてはアスリートに近いとも言える存在です。
アスリートが競技で一番活躍できる年代、と同じようなものが役者にもある。そしてアスリートが競技を引退して第二の人生に転向していく必要があるように、タカラジェンヌもいつかは退団して第二の人生を歩み出さなければならないのです。
そのひとつが結婚です。タカラジェンヌは独身女性に限る、と規定されています。結婚しようと思ったら退団するしかない。まあ結婚はいくつでもできるんだけれど、出産するとなると確実なタイムリミットがあるわけで、子供を持ちたいと思ったら退団しなくてはならない。
あるいは何かの勉強をしなおす、芸能界に進む、何かまったく別の職業に就く、そういう今まではと違った生き方をリスタートするためにも、もちろん本当はいくつになっても遅すぎるということはないのですがしかし、やはり若い方がやりやすい部分は確実にある。
今の、卒業したらアラフォー、という状態は、たとえば世のアラフォー女性が転職にする苦労以上のものを彼女たちに背負わせることになっているのではないでしょうか。
若いうちにスターとして活躍し、若いうちに卒業させてあげたい。それはさっきの「女は若い方がいい」という考え方とはまったく違うものだと思うのです。
あとは、単純に、新公卒業をしたあとは本公演では数えれば七番手とか八番手とかなのかもしれないけれど、いつもヤングスターの扱いで一絡げに三人口とかばかりやらされて、役らしい役がつかなくて、トップになるなんていつのことやら…みたいな時期が現状では長すぎると思う。
その間に新鮮さがなんとなく薄れて、個性とか持ち味とかがなんだかよくわからなくなっていっちゃうスターたちを何人見送ってきたことか。
そういう事態を作らないためにも、もう少し早巻きの流れを作った方がいいのではないかと私は思っていたのですよ。
で、今回の組替えです。
20年近く宝塚歌劇を観てきて、理不尽で意味不明に思える人事や組替えもたくさん見てきましたが、今回の組替えも、そういう戦略がうかがい知れるなら、どんなに大規模でも、また泣く生徒や泣くファンがいても、仕方ないかな、必要悪と思えるかな、と思っていたのですが…
またまた単にナゾが多いものにしかなっていないようで、そういう意味で私は不満です…
組のバランスを見た上で、というのが一番だとしても、生徒にとっては原則として組替えは栄転であるべきだと思うのですが、今回そうはっきり言える例がはたしてあるでしょうか? それがまずイヤ。
しいて言えばみーちゃんくらい?
みーちゃんは、宙組でみーちー大というセットとして使われていて、でもプログラムの扱いなどから見る組の番手としては三番手のみっちゃんの次はカチャ、という感じになってきていたので、路線から微妙に外されつつある、というところでしたよね?
それがまぁくんと入れ替えということなら、これまた花組での今後のみつるの扱いが微妙なんだけれど、三番手のみわっちの下、四番手ないし五番手に叙されるということなのかな?
だとしたらよかったね、なのですが、単にダンス要員として使われて、スターとしてはだいもんやあきらやまよちゃんを使っていく、ということもありえますよね(そして私の若返り策からしたらそれくらいやるべきなんですが)。
だとしたらそれは栄転とは言えない。ポジションは変わらなくても環境が変わって、また違った輝きを見せられる、ということはあるかもしれないけれど、組替えってそれだけのためだけにするものなの?と疑問を感じてしまう…
ナゾの同期揃えもよくわからない。
近年まれに見る成功した組替え例としてまっつの花組から雪組への異動があると私は思っていて、確かにまっつとキムは同期なんですが、でもキムのトップ就任の脇を固めるという役目があって、そのタイミングで呼ばれたわけじゃないですか。
でも今、まさこがチエちゃんの隣に行く必要があるとは思えない。キタロウは、組替え発表のあとに大空さんの卒業発表があったから、宙組の次期トップがこのまま順当にテルになるなら、それを支えるために異動する形になったけれど、それははたしてどこまで事前に考えられたプランだったのでしょうか?
月組ではみりおが今は三番手というかダブル二番手の下席というポジションにいますが、きりやんが卒業することは発表済みだったわけで、こちらも順当に上がるなら次は正二番手になるというところへ、同期のみやるりを持ってくる、というのも、何がしたいの?という感じ。
コマがいるのにチギを持ってきたのに、そしてチギを二番手にしたというのに、そこにともみんをもっていく。ともみんが星で微妙な立場だったのは解消できるのかもしれないけれど、組替えってそのためだけにするものか? あくまで行った先でどうするか何をさせるかが問題なんでしょう?
番手以前の下級生ならいいというものでもない。そもそも同期はどこの組にも最初からいるし、自然発生的に仲良しコンビが出来るからファンがつくのであって、後付けで同期コンビを作ってもあまり意味はないと思うのですよね。もしそういう狙いでやっているならね。
さらによくわからないのは娘役でただひとりあったカガリリちゃんの異動。
娘役なんてトップ娘役以外はポジションがないも同然なんだから(トップ娘役が低学年化しすぎているからこういう事態になるのです。以前はちゃんとトップ娘役より下級生の二番手娘役というものが立つ余地がありました。今そんなことやってたらまだダンゴの研1から選ぶハメになります)、栄転としての組替えが行われるならそれは次期トップ娘役ということであるはずです。
けれどカガリリちゃんにそんな未来が約束されているとはとても思えない。すぐ下にみりおんがいるからです。
なんなのこれは? しずくやあまちゃきの組替えもナゾだったけれど、一応そのあと新公ヒロインや二番手娘役らしきことをさせましたよね。でもそれだけで結局トップにせずにやめさせたわけですが。そんな組替えに意味ってあるんでしょうか?
かつてジュンやグンちゃんやユリちゃんがした組替えはそういうものではなかったよ? 次にトップにするために異動させたんだよ?
そういう未来がここにあるの?
生徒それぞれの未来像もよくわからなければ、各組の未来像もよくわかりません。
まあこれはもしかしたら月組次期トップコンビ発表に合わせてまた少し異動があるのかもしれませんが。
たとえは星組。
チエちゃんは来年春までトップでいることがわかっている。台湾公演での主演が発表されたからです。
その次はユリカにするつもりでいかないとダメなんじゃないの?
チエちゃんはユリちゃん以来久々に現れた若いトップで、私は当時とてもいいことだと思いました。
トウコからチエちゃんにバトンを渡させるために、カヨコをやめさせしぃちゃんをやめさせまとぶんを異動させて道を作ったでしょう。それを今からやらないと。
ともみんは動かした。要するにベニーをどうするのかってことですよ。正二番手として扱うの? トヨコに別格二番手としてお茶を濁してもらっている間に何かがなんとなくなんとかなるとか思ってるの?
二番手、三番手にまで遇したのならきちんとその後トップにさせてあげなくちゃいけません。そこまでしておいてあとから梯子を外すようなことはしてはいけない。私はルコさんを知っているので(生で観劇し出す前の話ですが)ユミコのことは個人的にはそれほどショックではなかったけれど、それでも今後二度と絶対にしてほしくないことのひとつです。
逆にトップにしないんだったら、今くらいから路線から外してあげないといけません。それて進み方を考えさせてあげないと。
最初の話に戻りますが、あまりに無駄に長く生徒を縛り付ける権利は歌劇団にはないはずなのです。彼女たちの全人生を背負ってあげられるわけではないのですから。
歌劇団がどんなに周到に路線を敷いたって、そのとおりにことが進むとは限りません。多くの人間がかかわることですし、ちょっとのタイミングの違いで生まれる「たられば」は限りなくあるでしょう。
でも少なくとももう少しビジョンは見えないとさ。ファンは不安になりますよ。
なんでもかんでも言わなくてもいいけど、でももう少し説明してもいいと思います。組替えの意図を。今はこうだけどこうなってほしいと思ったからこうしたんだ、というのを。それで、そういう評価なのか、とわかったり安心したり、思い込みが正される部分もあるのですから。
せめて生徒本人にはしてあげてほしいと思うけれど…きっとしていないんだろうなあ。
でも人事が下手な会社というのはダメだよ…
100周年を迎えるときのトップスターの顔ぶれを、劇団はどう考えているのでしょうか?
それはそんなに未来のことではないですよ。今から戦略的に仕込んでいかないと、生徒にもファンにも心の準備の期間を与えてくれないと、確実に失敗しますよ?
スターとファンを大事にしないから、客席稼働率が下がっていくんですよ? ゆっくり絶望していってるんですよ? 歯止めをかけなきゃいけません。その戦略を、ビジョンを見せてほしい。
公演の演目ももちろん大切です。しかし宝塚歌劇は演目を観るよりスターを見る部分が大きいかもしれないという、非常に稀有なスタイルの劇団なのです。
本当にきちんと考えてもらいたい。そして大事にしてあげてほしい。
みんながみんな幸せになれるなんて思っていません。でも無駄に泣かせる必要はないでしょう。流す涙を減らす努力はしましょうよ。その上でタイミングとかはそれこそ偶然で神の采配です。人事を尽くしていれば天命も待てます。ただのなりゆき任せやノープランには耐えられません。
個人的に、好きな人だけ応援していられる安心な時期が過ぎ去ろうとしている今、考えないではいられません。
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