駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

須賀しのぶ『芙蓉千里』(角川文庫)

2013年08月29日 | 乱読記/書名は行
 「大陸一の売れっ子女郎になる」という夢を抱いてハルビンにやってきた少女フミは、妓楼の下働きになって天性の愛嬌と舞の才能を買われ芸妓の道を歩む。夢を共有する美少女や花のごとき姉女郎たち、そして運命の男…煌く星々のような出会いは彼女をどこへ導くのか?大河女子道小説、開幕。
 コバルト出身の作家だそうですが、『帝国の娘』も読みましたが確かに一般文芸でも十分通じる筆力、というか少なくとも今どきの少女小説の範疇には収まらないモチーフを書く作家なのでしょうね。安易な出し直しには反対ですが、これにはきちんとした需要がありそうです。
 先日書店に行ったらシリーズ最終四巻まで文庫化されたようなので、続けて読んでみようと思います。
 ただ、この巻に関しては、表題作については新聞小説みたいだなという感想を持ちました。場当たり的な展開をしていて、そのときどきはおもしろいんだけど、トータルで見るときちんとした筋がないと言うかゴールがない話で、ラストも「えっ、これで終わり!?」と私は思いました。続いているからいいのかもしれませんが、それにしてもオチていない、というかこれをオチとするようなストーリーの流れじゃなかったじゃん、という気がしました。
 同時収録の『桜の夢を見ている』の方がまとまりはある気がしましたが、これも「えええ? このオチでいいの?」と思ったかなあ…
 ともあれ私は山村より黒谷派なので、続巻に期待します。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 近代ナリコ『女子と作文』(... | トップ | 『激動-GEKIDO-』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

乱読記/書名は行」カテゴリの最新記事