駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『ラヴズ・レイバーズ・ロスト』

2019年10月26日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 シアタークリエ、2019年10月21日18時半。

 バークシャー郊外のスパ付き高級リゾートで、大学卒業5周年のパーティーが行われている。国王のファーディナンド(三浦涼介)は同窓生のビローン(村井良大)、デュメーン(渡辺大輔)、ロンガヴィル(入野自由)とともに、これから3年間は恋愛禁止でひたすら勉学に身を捧げるという誓いを立てる。そこにフランス王女(中別府葵)とその親友ロザライン(沙央くらま)、キャサリン(伊波杏樹)、マライア(樋口日奈)がやってくる。王女は病身の父の代理で借金返済の交渉を任されてきたのだ。誓いを立てた以上、女性と接触するわけにはいかないと王女たちの訪問を拒絶しようとする国王たちだったが…
 原作/ウィリアム・シェイクスピア、楽曲/マイケル・フリードマン、脚色/アレックス・ティンバース、翻訳・訳詞・演出/上田一豪。2013年ニューヨーク初演。全一幕。

 原作『恋の骨折り損』は未読。まあ中学生くらいのころ読んだかもしれませんが、筋は覚えていませんでした。禁欲の誓いを立てた男たちが女たちと恋に落ちて右往左往のドタバタ喜劇、程度の知識で臨みました。
 現代の大学生に設定が変更されているようでしたが、国王とか王女とかはそのままだし、出会った男女が一目惚れだったのかはたまたかつての恋人同士だったということなのか明快な説明がなく、というか台詞であったのかもしれませんがよく聞き取れず、またそれぞれのキャラクターの特徴なんかも特に描写されないままに話が始まるので、ややおいてけぼり感は感じました。
 ただ、キャストがみんなとにかく歌が上手くて、楽曲はどれも楽しく、恋する男女の歌謡ショーみたいなものだと思って楽しめば十分楽しめたので、楽しかったです。歌唱力に関しては本当にノーストレスだったなー。
 こういうところに宝塚OGがまざるとスターオーラはともかく歌唱では見劣り(聴き劣り?)するのが常ですが、コマちゃんはまったくそんなことはなくて感心しました。パンチあるし地声も高音も上手いし、ひとりだけちゃんと芝居歌になっていたのはさすがでした。あとはみんなキャラソングみたいだったんですよね、あとホントに歌謡ショーみたいで。でもコマちゃんの歌はちゃんとロザラインとしての歌になっていたのでした。また、実年齢もこの女性キャストの中では高い方なのではないかと思いますが、『PUCK』や『AfO』でも発揮していた娘役力をここでも存分に発揮して、別にぶりっ子しているとか若作りしているとかではなくてちゃんと大学生くらいの女子に演技として見せていました。その技には感嘆しましたね。みんな可愛くて綺麗で達者なんだけれど、でもアイドルだとか声優だとかの他のキャストとはやはり舞台での居方がコマひとり違う気がしたのです。さすがです、プロの舞台女優でした。
 でもこの作品自体はこうしたアイドルや声優や2.5次元俳優なんかを目当てに若い観客が集まるものになっていて、それはそれでフレッシュで物珍しく、また成功しているように見えたので、それもおもしろく感じました。ポスターがとてもよかったし、ポップなデザインのプログラムもとてもお洒落でした。ツアーもある公演なんですね、成功をお祈りしています。


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