駒子の備忘録

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マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』

2024年04月13日 | 観劇記/タイトルや・ら・わ行
 東急シアターオーブ、2024年4月11日19時。

 演出・振付/マシュー・ボーン、美術・衣裳デザイン/レズ・ブラザーストン、作曲/セルゲイ・プロコフィエフ、オーケストレーション/テリー・デイヴィス。
 この日はロミオ/ロリー・マクラウド、ジュリエット/ハンナ・クレマー、ティボルト/アダム・ガルブレイス、マキューシオ/キャメロン・フリン、バルサザー/ハリー・温度ラック-ライト、ベンヴォーリオ/アダム・デイヴィース。
「それほど遠くない未来」のヴェローナ・インスティテュートを舞台にした、ニュー・アドベンチャーズ2019年初演のバレエ。全2幕。

 両家の対立はなく、大人が反抗的な若者を収監する強制施設を舞台に、ティボルトは看守に、パリスはジュリエットの女友達フレンチー(この日はブルー・マクワナ)に改変され、マキューシオとバルサザーは恋仲とされています。ティボルトはずっとジュリエットに執着していて、機会を見ては虐待しており、ジュリエットが必死に抵抗しても状況に変化はない。そこに、親に反抗的なお坊ちゃんのロミオが施設に入れられてきて…という感じでしょうか。
 出会い、恋に落ち、ティボルトとマキューシオが揉めて、ティボルトがマキューシオを殺しロミオがティボルトを殺してしまう…という流れは同じかな。ここまでで1幕で、やっちゃったー! どうしようー! でヒキ、って感じが、あらWSSと同じだわ、など思いました。2幕は35分しかなくて怒濤の展開で、施設内でロミオが隔離されるのがマントヴァ追放に当たるのかな? ジュリエットが薬で仮死状態になるくだりはなく、ティボルトの幻影に苦しめられて錯乱し、ロミオを殺してしまい、絶望したジュリエットもあとを追う…みたいな感じでしょうか。
 どなたかが言っていましたがロマンチックではなく、セクシーでもない、なんなら美しくもないバレエ作品でした。生々しく、ギスギスしていて、ギラギラした怒りに満ちていて、パワフルでアグレッシブでした。若者は大人と対立しているのかもしれませんが、あまりに一方的に支配され、収監されたまま抗う術がないので、ラストの絶望感はたまりません。宝塚みたいな天国エンドもないしね、両家の和解みたいなのもないしね…
 でも、こんなことはあってはならない、ということを強く思わせられる、メッセージ性にあふれた舞台だな、と思いました。
 パ・ド・ドゥではマクミラン版やクランコ版の有名な振りのオマージュが散りばめられているようにもみえて、おもしろかったです。あとはなんといっても楽曲がいいよね…! だいぶ大胆に編曲されているな、とは思いましたが…
 フレンチーの存在があまり効いていない感じがしたのは残念でした。しかし、どんな翻案にも耐えるシェイクスピア作品の強さよ…!と改めて感心しました。






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