駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

千早茜『西洋菓子店プティ・フール』(文春文庫)

2020年03月12日 | 乱読記/書名さ行
 フランスで菓子作りを修行したパティシエールの亜樹は、菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店で働く。女友達、恋人、仕事仲間、そして店の常連客たちなど、店を訪れる人々が抱えるさまざまな事情と、それぞれの変化を描く連作短編集。

 よくあるレストランもの、つまりグランドホテル形式で舞台がレストランになっていて料理に絡む人情ものでそのケーキ版…くらいなイメージでいたのですが、さすがこの作家、どれもすっきりほっこりさわやかいい話なんかではなくて、ざらりとしていて、とてもおもしろく読みました。
 ただ、ラストは「えっ、これで終わり!?」と思ってしまいましたけど…やっぱこのヒロイン、別にこの婚約者のこと好きじゃなくない? そしておじいさんがいなくなったくらいでこんなにならなくない? 私はこの人は結局のところレズビアンで、1話目の女友達ターンに戻って輪が閉じて終わるものかとばかり思っていました。
 別に想像していたとおりのオチじゃなかったから不満だ、ということを言っているつもりではないのですが…なんかわりと平凡なところに着地して終わってしまった気がしたので、肩すかしに感じたのでした。紅茶店のオーナーの件もフラグだと思ったのになー…まあいいんですけれどね。
 取材をしっかりしている感じはさすがだと思いましたし、その面でも楽しく読みました。何作か読んでいる作家さんですが、引き続き追いかけてみたいなと考えています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あだち充『クロスゲーム』(... | トップ | 宝塚歌劇雪組『ONCE U... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

乱読記/書名さ行」カテゴリの最新記事