駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

エル・コシマノ『サスペンス作家が人をうまく殺すには』(創元推理文庫)

2023年02月28日 | 乱読記/書名さ行
 売れない作家、フィンレイの朝は爆発状態だ。大騒ぎする子供たち、請求書の山。誰でもいいから人を殺したい気分だったが、本当に殺人の依頼が舞い込むとは。レストランで執筆中の作品の打ち合わせをしていたら、隣席の女性に殺し屋と間違われてしまったのだ。依頼を断ろうとしたのに、なんと本物の死体に遭遇して…一気読み系巻き込まれサスペンス。

 あまりいい邦題とは思いませんが、状況はわかりやすいですね。おもしろかったです。
 私は子供が苦手なので、シングルマザーの苦労話とかをされても「…はあ…」と引いちゃう感じなのですが、シッターのヴェロニカとのバディものになってから俄然おもしろくなりました。あと、ニックよりジュリアン派だったのでそれも嬉しかったです。
 しかし貧乏も夫の浮気もヒロインのせいではないとはいえ、産んだなら子育てはちゃんとしてほしい…とはヒヤヒヤしたのでした。デリアがおしゃまながらしっかり育っているようだからまあいいし、ヴェロが有能だからフォローされたとはいえ、虐待と言われるレベルと紙一重なのでは…とつい厳しく感じてしまうのです。もちろん妻との家庭を放棄した夫が圧倒的に悪いのですが。だからラストについては…イヤまあいいか。
 しかしこういう巻き込まれ系のお話って、主人公はいうてもギリギリ手は汚さない、法律違反するにしてもかなりカワイイものだけ…というのが定番ですが、このヒロインはけっこうきわどいことをやっている気がしましたね。さすがアメリカ、ダイタンだなー、みたいな感想もあるし、みんな悪役のマフィアに被せちゃっていいんかいな、この世に正義はないのか!?みたいな気持ちにもなりました。が、一難去って…みたいなオチとヒキになっていて続編、続々編まであるとのことなので、どこかで多少の収拾がつけられるのかもしれません。報いを受ける、とまでは言わないけれど…でもそこまでダークヒロインに成長してもおもしろいかもしれませんけどね!? 翻訳されたら読みたいなあ、忘れないうちに早めに出していただきたいです。
 ヴェロはもちろんジョージアなど、周りのキャラも掘り下げ甲斐がありそうないい感じだと思うので、良きシリーズになるなら素敵だなと思いました。オススメ!



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新国立劇場バレエ団『コッペ... | トップ | 宝塚歌劇雪組『海辺のストル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

乱読記/書名さ行」カテゴリの最新記事