駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

マシーン・ドゥ・シルク『ゴースト・ライト』

2024年08月01日 | 観劇記/タイトルか行
 世田谷パブリックシアター、2024年7月26日19時。

 ケベック・シティを拠点とするサーカスカンパニーによる、ティーターボード(シーソー)を使用したアクロバティック・パフォーマンス。作・演出/マキシム・ロレン、ユーゴ・ダリオ、出演/マキシム・ロレン、ギヨーム・ラルーシュ。1時間、全1幕のショー。

 今年から始まった「せたがやアートファーム」の一作で、お芝居、ダンス、音楽にサーカスが劇場にあふれ、さまざまなアートが出会う場所になるとのこと。私は「お話」が好きなので、シルク・ド・ソレイユなんかも観たことはあるのですが、基本的にただのパフォーマンス(という言い方もどうかとは思いますが)にはあまり惹かれないのですが、これは宣材なんかが素敵で、チケット代もお安かったので出かけてみました。
 ゴースト・ライトとは劇場の常夜灯みたいなもののことのようで、劇場に宿る幽霊たちがこの光に引き寄せられてやってくる…んだそうです。プログラムから書き写していて今、気づいたのですが、パフォーマーのふたりはもしかしてその幽霊という見立てだったのかしらん…?
 ともあれ、まず幕に映る影としてふたりが現れ、似た背格好ながらひとりがやや小柄で、シーソーを扱うなら双子みたいな体格差のないふたりの方がいいのでは?とか考えていたら、小柄な方はなんと女性でした。でもシルエットではわかりませんでした。髪はお団子にまとめていますが男性でもそういうヘアスタイルの人はいますし、上半身はプロテクターをつけていて胸があるのもわかりませんでしたしね…横から見たとき、お尻の出方がさすがに女性っぽかったかな? でも男女のペアだからといって、そこにあまり意味はない気もしました。ただ、シーソーなので、ふたりで動かすものなので、途中喧嘩別れして女性がいなくなって…という展開にはけっこう心動かされました。影絵のようなシルエットになったりする照明なんかも良かったし、このくだりには詩情があふれていたと思います。
 ただ、特にストーリーみたいなものがあるわけではありません。前半はアクロバットの見せ場だったかな、というくらい。基本的に黒い服とズボンのふたりがときどきカラフルな燕尾スタイルの衣装を着るのですが、どういう意味があるのかよくわかりませんでした。アクロバットを見せるのが主眼ならこうしたものはむしろ邪魔で、もっと体操選手みたいな服装の方がパフォーマンスしやすいはずですしね…そう、トランポリンでもないのに(多少はクッション性がある素材で作られたシーソーなのかもしれませんが)、ものすごいジャンプをするし伸身宙返りみたいなのもするし、すごいんですよ。それは純粋に圧倒されました。一方でミスもあるけれど振りのようにしてカバーしたり、そもそも振りとしてのミス、演出もある気がしました。いずれにせよ、想像以上に危険なアクロバットなんだろうなとは感じました。まあサーカスってそもそもそういうものかもしれませんけど…信頼し合い、命を預け合い、熟練度を上げてきたペアなのかな、など考えたりしました。
 1時間のショーとしては、もっといろいろ演出というかコンセプトというかをブラッシュアップすることもできる気がしましたが、別にそういうことは目指していないパフォーマンスなのかもな、とも思いました。子供連れの観客も多く、シャイな日本人にしては客席はよく湧いていたと思います。なかなか楽しいひとときとなりました。

 しかし久しぶりに席運が悪く…前列センター寄りに長身かつやたら姿勢のいい青年が座ったので、大袈裟に言えば上手半分がかなり見づらい状態での観劇となってしまいました。シーソーなんだから両端がちゃんと見えた方がいいに決まっているので、ときどき角度が変わって助かりましたが、真横に据えられていた間はホントつらかった…劇場の設計、ホントなんとかしていただきたいです。段差が甘いんだよ…! ここも前5列くらいは段差がなくフラットな構造なので、そこのお席の観客はほぼ見上げる形で舞台のシーソーを見つめ続けたのではないかしらん…ヤダ、ゼッタイ。













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