宝塚大劇場、2017年5月2日11時、9日18時(新公)。
東京宝塚劇場、6月20日18時半、7月4日18時半。
時は幕末、文久二年、世の中いよいよ喧しい時代。北の吉原と並び称された南の品川宿に、その海鼠壁から土蔵相模と呼ばれた旅籠「相模屋」があった。その相模屋に、ある日佐平次(早霧せいな)という町人がふらりとやってきて豪勢に芸者を呼び、大尽遊びに興じるが、実はこの男、懐に一銭も持ち合わせていなかった。翌朝、堂々と居残りを決め込んだ佐平次は、番頭や若い衆顔負けの仕事ぶりで相模屋を駆け回り、次々起こる騒動を持ち前の度胸と才覚で解決していく。板頭への返り咲きを狙う女郎おそめ(咲妃みゆ)や、異人館焼き討ちの計画を練る高杉晋作(望海風斗)ら長州藩士たちとも交友を深める佐平次だったが…
脚本・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/手島恭子。1957年封切りの日活映画を原作としたミュージカル・コメディ。雪組トップコンビのサヨナラ公演。
のちにお友達にお借りして原作映画を見ましたが、ほぼほぼまんまで、でもいいミュージカルになっていて、ラストはちゃんとちぎみゆになっていて、佳作でしたね。特に音楽が良かったです。ゆうみちゃんが舞台でひとりで「女の華」なんて大曲を歌いこなすまでになるなんて…と感慨深かったです。
私はそもそも誰かが死んで愛は残った…みたいな悲劇のメロドラマの方が好きなので、サヨナラ公演なんだったらベタにそういうお涙ちょうだいのものでもよかったんじゃないの?とも思いますが、全部が全部そんなんでも疲れるので、たまにはこんなふうに明るくライトに仕上げたウェルメイドなコメディでサヨナラ、というのもいいのかもしれません。
とはいえファンでかなりの数をリピートとするとなると、ちょっと細かいところは気になるのかな、とも思いますが。私が元の落語を知らないせいもあるし、近代文化に疎かったり教養がなかったりするせいもあるかもしれませんが、たとえば起請文とはそもそも何でかち合うとどう問題なのかもうちょっと説明があってもいいんじゃないかとも思いましたし、おそめが金ちゃん(鳳翔大。いいサヨナラ公演となりました…!)と心中を思い立つ顛末とかも実はよくわからないでいます。そもそも死ぬ気はなかったようだけれど、死に遅れた心中の片割れとして同情を引こうとしたってこと?
あと、つきつめて考えるとやはり女郎屋の話ってどうなんだ、という、ね…たとえばおひさ(真彩希帆。いい娘2でした、次期トップ娘役も期待しています!)の父・長兵衛(真那春人)は娘が女郎になってもいいと思って大工道具を引き取るのかとか、徳三郎(彩風咲奈)は女郎屋の息子でその稼ぎで食っている身のくせして幼なじみのおひさが女郎になるのは嫌なのかとか、感覚的に引っかかるところは私は多かったです。今とは違う時代の物語だから、とかコメディだから、と細かい点に目をつぶることはもちろん可能なのだけれど…ラストのおそめの台詞にも、アメリカでまで売春しなくていいんだよ?とは言ってあげたくなりましたしね。まあ無粋なつっこみなんでしょうけれどね。
ちぎちゃんは本当に粋で達者で、集大成と言っていい役に巡り合えたのではないかしらん。ちぎちゃん時代を語るとすればやはり『ルパン』とか『るろうに』とかが挙げられやすいのだと思うのだけれど、そういう部分も上手かったけれど本当にハートのある芝居をする人で、もっと地味な作品や役でも十分輝いていた人でしたよね。個人的には『ニジンスキー』とか、好きだったなあ。
彼女が組替えになったのは私が最も宝塚歌劇から遠ざかり気味だった頃のことで、宙組時代の記憶がほぼほぼないのですが、早くから抜擢されていたし美貌は際立っていたし、でも長身揃いの宙組では役回りが限られてくるし見た目にも損…と早めに出した印象でしたよね。でもトップスター候補というほどの期待の大きさはまだなかったように思うし、ましてこんなに大きなスターさんになるとは当時考えた人はあまりいなかったのではないかしらん。本当に相手役と二番手さんに恵まれ作品に恵まれ、その中で個性と魅力を存分に発揮し組を大きくしましたよね。たいしたものです、ご卒業おめでとうございます。
ゆうみちゃんは、声の良さや芝居の上手さで下級生時代から目立ってはいましたが、いかにもポヤポヤしていてし、組替えしてからも特にショーは場数を踏んでいないのが丸わかりでパンチに欠け、心配したこともありましたがそれも今は昔…本当に磨かれて痩せて垢抜けて、艶やかに鮮やかに大輪の花を咲かせるようになりました。こういうタイプの生徒にやはり組替えは効きますよね。思えばトリデンテはみんな組替え経験者なんだけれど、もはや誰も「こんなの雪組じゃない」なんて言わないワケで、やはり努力は必ず実を結ぶのだ、と思わせられますね。
盤石の二番手のだいもんは今回の出番としてはそうそう多くはないのかもしれませんが、余裕綽々で愛嬌たっぷりでのちの悲劇を予感させる空気もしっかり出せていて上手いのなんの。今後もなんの心配もありません。
そして確か『パルムの僧院』のころはノー興味とか言っていたのに今回うっかりお茶会に行っちゃうくらいには気になってきた咲ちゃん、これまた痩せて垢抜けてきてスタイルの良さが際立ってきて、でもチャーミングさは保ち続けていて、だいもんが男臭い役をやるなら好対照のいい二番手になるのではないかな。楽しみしかありません。大劇場アタマはまさかの休演で心配しましたが、無事に復帰してくれてよかったです。いいボンボンっぷりだったなあ。
なぎしょは手堅く、躍進のカリはちょっと謎だけどがおりはさすがで、叶くんやすわっちもいい味出してるしたわしや眞ノ宮くんがすくすく育ってくれるといいなと思うし、まなはるやあすくんもガッチリ支えていてまちくんが好きで、センアガタがやっぱり華と大物感があるし、ひとこは代役も大変だったろうけれど新公が本当にちゃんとしていて、ここにあーさが加わるんだから楽しみです。
縁あって大劇場では新公を拝見しましたが、初ヒロインの野々花ひまりちゃんも健闘していましたし、楽しかったです。
ショー・スピリットは作・演出/中村一徳。
ま、なんてことないいつものBショーなんだけれど、たくさんのスターがわらわら使われていてうらやましいことこの上ない、というのが一番の感想です。ちょっとわらわらしすぎて脈絡なさすぎやろ、と思うところもなくはないんですけれどね(^^;)。
とにかく生徒をバンバン銀橋に出すところがいいし、ガンガン渡らせるところもいいし、娘役ちゃんだけの場面もがっつり作るところが素晴らしい。あとロケットが東西とも本当に素晴らしい振り付けでした。
そしてデュエダンね…! だいもんをカゲソロに使うというぜいたくさはもちろん、サヨナラということがたとえなくても本当に泣ける、愛にあふれた美しい振り付けで、リフトなんかなかろうとまったく問題ない、ただただ愛情と敬意に満ち溢れた尊い場面になっていました。
あんりがどの場面も最高にキュートで、あゆみちゃんがセンターで踊るくだりがあるとか最高だし、きーちゃんのはじける笑顔に釘づけになるし、りさもみちるもホント可愛いし、目が足りませんでした。
大楽は私は出張予定で、ライビュのチケット取りにそもそも参戦していなかったのですが、なんか取れている人をほとんど見ませんよね。夏休みで映画館が抑えられなかったのかもしれませんが、もったいないなあ。どなたかがつぶやいていたように、過去にもあったスカステ生中継をぷっ込めばいいのに…
日比谷の劇場前の歩道の工事も心配ですが、良き千秋楽を迎えられるようお祈りしています。
そしてちぎちゃん、ゆうみちゃんが今後も芸能活動してくれると嬉しいな、と思っています…
東京宝塚劇場、6月20日18時半、7月4日18時半。
時は幕末、文久二年、世の中いよいよ喧しい時代。北の吉原と並び称された南の品川宿に、その海鼠壁から土蔵相模と呼ばれた旅籠「相模屋」があった。その相模屋に、ある日佐平次(早霧せいな)という町人がふらりとやってきて豪勢に芸者を呼び、大尽遊びに興じるが、実はこの男、懐に一銭も持ち合わせていなかった。翌朝、堂々と居残りを決め込んだ佐平次は、番頭や若い衆顔負けの仕事ぶりで相模屋を駆け回り、次々起こる騒動を持ち前の度胸と才覚で解決していく。板頭への返り咲きを狙う女郎おそめ(咲妃みゆ)や、異人館焼き討ちの計画を練る高杉晋作(望海風斗)ら長州藩士たちとも交友を深める佐平次だったが…
脚本・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/手島恭子。1957年封切りの日活映画を原作としたミュージカル・コメディ。雪組トップコンビのサヨナラ公演。
のちにお友達にお借りして原作映画を見ましたが、ほぼほぼまんまで、でもいいミュージカルになっていて、ラストはちゃんとちぎみゆになっていて、佳作でしたね。特に音楽が良かったです。ゆうみちゃんが舞台でひとりで「女の華」なんて大曲を歌いこなすまでになるなんて…と感慨深かったです。
私はそもそも誰かが死んで愛は残った…みたいな悲劇のメロドラマの方が好きなので、サヨナラ公演なんだったらベタにそういうお涙ちょうだいのものでもよかったんじゃないの?とも思いますが、全部が全部そんなんでも疲れるので、たまにはこんなふうに明るくライトに仕上げたウェルメイドなコメディでサヨナラ、というのもいいのかもしれません。
とはいえファンでかなりの数をリピートとするとなると、ちょっと細かいところは気になるのかな、とも思いますが。私が元の落語を知らないせいもあるし、近代文化に疎かったり教養がなかったりするせいもあるかもしれませんが、たとえば起請文とはそもそも何でかち合うとどう問題なのかもうちょっと説明があってもいいんじゃないかとも思いましたし、おそめが金ちゃん(鳳翔大。いいサヨナラ公演となりました…!)と心中を思い立つ顛末とかも実はよくわからないでいます。そもそも死ぬ気はなかったようだけれど、死に遅れた心中の片割れとして同情を引こうとしたってこと?
あと、つきつめて考えるとやはり女郎屋の話ってどうなんだ、という、ね…たとえばおひさ(真彩希帆。いい娘2でした、次期トップ娘役も期待しています!)の父・長兵衛(真那春人)は娘が女郎になってもいいと思って大工道具を引き取るのかとか、徳三郎(彩風咲奈)は女郎屋の息子でその稼ぎで食っている身のくせして幼なじみのおひさが女郎になるのは嫌なのかとか、感覚的に引っかかるところは私は多かったです。今とは違う時代の物語だから、とかコメディだから、と細かい点に目をつぶることはもちろん可能なのだけれど…ラストのおそめの台詞にも、アメリカでまで売春しなくていいんだよ?とは言ってあげたくなりましたしね。まあ無粋なつっこみなんでしょうけれどね。
ちぎちゃんは本当に粋で達者で、集大成と言っていい役に巡り合えたのではないかしらん。ちぎちゃん時代を語るとすればやはり『ルパン』とか『るろうに』とかが挙げられやすいのだと思うのだけれど、そういう部分も上手かったけれど本当にハートのある芝居をする人で、もっと地味な作品や役でも十分輝いていた人でしたよね。個人的には『ニジンスキー』とか、好きだったなあ。
彼女が組替えになったのは私が最も宝塚歌劇から遠ざかり気味だった頃のことで、宙組時代の記憶がほぼほぼないのですが、早くから抜擢されていたし美貌は際立っていたし、でも長身揃いの宙組では役回りが限られてくるし見た目にも損…と早めに出した印象でしたよね。でもトップスター候補というほどの期待の大きさはまだなかったように思うし、ましてこんなに大きなスターさんになるとは当時考えた人はあまりいなかったのではないかしらん。本当に相手役と二番手さんに恵まれ作品に恵まれ、その中で個性と魅力を存分に発揮し組を大きくしましたよね。たいしたものです、ご卒業おめでとうございます。
ゆうみちゃんは、声の良さや芝居の上手さで下級生時代から目立ってはいましたが、いかにもポヤポヤしていてし、組替えしてからも特にショーは場数を踏んでいないのが丸わかりでパンチに欠け、心配したこともありましたがそれも今は昔…本当に磨かれて痩せて垢抜けて、艶やかに鮮やかに大輪の花を咲かせるようになりました。こういうタイプの生徒にやはり組替えは効きますよね。思えばトリデンテはみんな組替え経験者なんだけれど、もはや誰も「こんなの雪組じゃない」なんて言わないワケで、やはり努力は必ず実を結ぶのだ、と思わせられますね。
盤石の二番手のだいもんは今回の出番としてはそうそう多くはないのかもしれませんが、余裕綽々で愛嬌たっぷりでのちの悲劇を予感させる空気もしっかり出せていて上手いのなんの。今後もなんの心配もありません。
そして確か『パルムの僧院』のころはノー興味とか言っていたのに今回うっかりお茶会に行っちゃうくらいには気になってきた咲ちゃん、これまた痩せて垢抜けてきてスタイルの良さが際立ってきて、でもチャーミングさは保ち続けていて、だいもんが男臭い役をやるなら好対照のいい二番手になるのではないかな。楽しみしかありません。大劇場アタマはまさかの休演で心配しましたが、無事に復帰してくれてよかったです。いいボンボンっぷりだったなあ。
なぎしょは手堅く、躍進のカリはちょっと謎だけどがおりはさすがで、叶くんやすわっちもいい味出してるしたわしや眞ノ宮くんがすくすく育ってくれるといいなと思うし、まなはるやあすくんもガッチリ支えていてまちくんが好きで、センアガタがやっぱり華と大物感があるし、ひとこは代役も大変だったろうけれど新公が本当にちゃんとしていて、ここにあーさが加わるんだから楽しみです。
縁あって大劇場では新公を拝見しましたが、初ヒロインの野々花ひまりちゃんも健闘していましたし、楽しかったです。
ショー・スピリットは作・演出/中村一徳。
ま、なんてことないいつものBショーなんだけれど、たくさんのスターがわらわら使われていてうらやましいことこの上ない、というのが一番の感想です。ちょっとわらわらしすぎて脈絡なさすぎやろ、と思うところもなくはないんですけれどね(^^;)。
とにかく生徒をバンバン銀橋に出すところがいいし、ガンガン渡らせるところもいいし、娘役ちゃんだけの場面もがっつり作るところが素晴らしい。あとロケットが東西とも本当に素晴らしい振り付けでした。
そしてデュエダンね…! だいもんをカゲソロに使うというぜいたくさはもちろん、サヨナラということがたとえなくても本当に泣ける、愛にあふれた美しい振り付けで、リフトなんかなかろうとまったく問題ない、ただただ愛情と敬意に満ち溢れた尊い場面になっていました。
あんりがどの場面も最高にキュートで、あゆみちゃんがセンターで踊るくだりがあるとか最高だし、きーちゃんのはじける笑顔に釘づけになるし、りさもみちるもホント可愛いし、目が足りませんでした。
大楽は私は出張予定で、ライビュのチケット取りにそもそも参戦していなかったのですが、なんか取れている人をほとんど見ませんよね。夏休みで映画館が抑えられなかったのかもしれませんが、もったいないなあ。どなたかがつぶやいていたように、過去にもあったスカステ生中継をぷっ込めばいいのに…
日比谷の劇場前の歩道の工事も心配ですが、良き千秋楽を迎えられるようお祈りしています。
そしてちぎちゃん、ゆうみちゃんが今後も芸能活動してくれると嬉しいな、と思っています…
稲葉先生にも期待はしていますがとにもかくにも中村Bか欲しいのです!
ベタベタの、ど安定のBでいい!それが観たい!!
宙組でだって、まあ様がありさしーちゃんまやちゃんゆうりちゃんと順番に踊るときに
あっきーがソロ歌うとか、
ゆりかまどかのデュエダンで愛ちゃんがソロ歌うとか、
りんきらセンターでかけるさおりかなこで銀橋渡りとか、
エビちゃんとりくがセンターでガンガン踊るとか、
せとぅーが歌ってもあちゃんゆいちゃんゆみちゃんさよちゃんららりらが銀橋に並ぶとか、
ずんちゃんが歌ってそらあきもなっつあーちゃんもえこりりこがバリバリ踊るとか、
こってぃが歌ってまいあわんたきよあられで踊るとかが
あっていいと思うのです!
望みは捨てません…!!
●駒子●
ここ、もの凄く共感です。雪宙ファンとしてはホッタイもビバフェスも楽しく観ましたけど、ラ、GH、ドSと比べちゃうと宙組生が勿体無いです。「もっといろんな人に歌わせろ〜銀橋出せ〜路線外娘役も真ん中で踊らせろ〜」と思います。
次回公演の稲葉先生に期待してます。