映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

隣の影(2017年)

2019-08-07 | 【と】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv67937/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 閑静な住宅地で暮らす老夫婦は、ある日隣りに住む中年夫婦から、庭にそびえ立つ大きな木がいつも日光浴をしているポーチに影を落としているとクレームを受ける。それをきっかけに両家はいがみ合うようになり、身近で相次ぐ不審な出来事を何の証拠もないにも関わらずすべて相手の嫌がらせと思い込むように。

 元恋人とのセックス動画が原因で妻から別れを切り出され転がり込んできた老夫婦の息子も、庭のテントで寝泊まりして隣人を監視する手伝いをする。

 やがて、老夫婦が家族の一員のようにかわいがっていた飼い猫が失踪。1本の木を挟みいがみ合ってきた両家の対立は激化し、危険な一線を踏み越えていく。

=====ここまで。

 アイスランド映画って、見たことないかも、

 

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  もう、災害と言っても良いんじゃない?ってくらいな酷暑で、東京では、この1週間で30人以上も亡くなっているらしい。そんな毎日で、仕事行って帰ってくるだけでエネルギーを全て消耗し、駄文をブログに書く気力さえ起きず、映画を見てはいてもなかなか記事のupに至らない日々、、、。

 そうこうしている間に時間ばっかし過ぎて、感想を書くのに必要なその映画に関するエキスが脳内と体内から流出して行ってしまう。本作も先月末に見たんだけど、何とか2週間経つ前に書けそうだ。

 本作は、アイスランドとデンマーク、ポーランド、ドイツによる制作。アイスランド以外の3カ国は、2年前の旅で巡った国じゃないの……! 何やら呼ばれた気分で、暑い中を劇場まで見に行って参りました。

 

◆隣人を愛せ

 まあ、本作の場合、“文字通り”の隣人なわけだけれども、、、。隣人は、大抵の場合、選べないから始末が悪い。慎重に選んだはずでも、住んでみたらトンデモだった!!ってこともあるだろうし。

 本作も、「お宅の木、デカすぎるから剪定しておくれ」「……ああ、まあ、考えとくよ」というやりとりから始まるのだけど、それが拗れに拗れて、挙げ句の果ては、、、、ぎょえ~~~! な事態になる。

 隣人トラブルの場合、まあ、こう言っちゃ悪いが、多分どちらかが“話の通じない家”の場合が多いんじゃないかなぁ。どちらも話が通じる家なら、多少ゴタついてもトラブルにはならずに何とか納める(納まる)のだと思われる。納めたからといって、その後、良好な関係でいられることは難しいだろうけど、少なくとも自分たちが住みにくくなるほど雰囲気が悪化しないよう、互いに当たらず障らずを心がけるのではないか。

 ……で、本作の場合も、拗れた最大の原因は、老夫婦の妻であるインガ。このインガ婆さん、もうどーしよーもないほど捻くれていて、根性悪。まあ、コレには一応理由がある。老夫婦の長男が数年前に失踪して生死が定かでないのだ。というか、自殺しているというのが現実のようだが、インガ婆さんはその事実を受け容れられていないらしい。このことが、この隣人トラブルを拗らせた最大の要因だと、私は思った。

 何で長男が失踪して生死不明なのか、、、というのは、ハッキリした描写がないんだが、何となく、親と子の関係が良くなかったことが背景にあるらしい。でも、インガ婆さんを見てると、そらこんな母親がいる家、出ていきたくなるわな、、、と妙に納得してしまう。彼女が、息子がいなくなってから変わってしまったのかどうかは分からないけど、息子がいなくなる前は明るくて常識的な母親だったとは想像しにくい。あの、“自分の価値観絶対”なふるまいというか生き方は、彼女のそもそもの性質に見える。だから、息子は出て行ったのだとしても不思議に思わなかった。さらに自殺となれば、彼女が主な原因で精神的に病んでしまったのだと考えても、大方ハズレではないだろう。

 そして、こういう夫婦においてのお約束は、夫が“逃げる”人であるということ。逃げたくなるのは分かるが、お前が逃げたら、そら息子が妻の餌食になるのは当たり前だろう、、、ってこと。そして、こういう逃げる人は、何があっても逃げる。息子が自殺に追い込まれても、妻が隣人トラブルを大きくしても、基本放置。自分にさえ火の粉がかかってこなけりゃ良い、かかってきても最小限にしてほしい、、、ってやつ。自分だけが可愛い。まあ、妻も自己愛が過剰な人間だから、ある意味“似たもの夫婦”とも言える。

 おまけに、この夫婦の二男がまた、どうしようもないゲス男で、この親にしてこの子あり。本作の冒頭で、この二男の浮気がバレるシーンがあるんだけど、そのバレ方が、ホントに最悪なんである。世の浮気男たちも、たとえ妻に浮気がバレるにしても、こんなバレ方だけは避けたい、と思うんではないだろうか。それくらい、不様で破廉恥極まりないバレ方である。あの妻の立場にだけはなりたくないねぇ、、、。

 ちなみに、老夫婦の隣人はというと、どうやら年の差夫婦で、夫はバツイチっぽい。不妊治療に励んでおり、大きいシェパートを可愛がって、まあまあ裕福そうである。夫婦仲も良さそうだし。こちらの夫婦は、話が通じる人たちと言っても良いと思う。少なくとも、理由もなく周囲を攻撃したりはしない。

 ……が、そんな話が通じそうな年の差夫婦の夫も、さすがにブチ切れる事件が起きるのだ。

 

◆インガ婆さん暴走

 (以下、結末に触れています)

 ある日、インガ婆さんが可愛がっているネコがいなくなる。息子に失踪されている身としては、これは堪えるだろうね。で、インガ婆さん、案の定、ネコがいなくなったのをお隣の仕業だと邪推する。夫にたしなめられるものの、一旦そう思い込んだら、彼女の頭の中では事実が出来上がってしまっているのだ。

 で、こともあろうに、インガ婆さんは、隣人の飼っているシェパードをエサでおびき寄せると拉致して、何と! 剥製にしてしまうのである!! はぁ?? アイスランドって、生きている動物でも殺して剥製にしちゃうお店があるの? こえぇ、、、。

 シェパードがいなくなって心配しながら不妊治療を受け、帰宅した年の差夫婦は、自宅玄関前にシェパードが座っているのを見て喜ぶ。妻が嬉しそうにシェパードに近付くが、当然シェパードは動かない。ぎゃぁ~~~っ、となる妻。……そらそーだよね。ま、体外受精もこの一件で失敗に終わったのだろう、多分。

 まあ、ここからはラストまで、一気に事態が最悪の方へと加速度的に転がり落ちていく。

 ある夜中、年の差夫婦の夫が、トラブルの元となった木をチェーンソーで切り倒そうとし、それに気付いた老夫婦の夫が止めに入って押し合いになった弾みで、木が庭でテントを張って寝ていた二男を直撃するように倒れる。二男の生死は不明。

 最終的には、両家の夫同士が殺し合いになる。

 終盤を見ていて思ったのは、やっぱり、実力行使に出るのって男に多いのかな、ってこと。まあ、女でも殺し合いにならないとは限らないが、男の方が暴力に訴える確率は高いのではないか。DVの加害者が圧倒的に男だということからも、そう思う。

 確かに、剥製にするという(これも立派な暴力だが)トンデモ行為に出たのはインガ婆さんで、これが引き金になったのだが、もし、ここで最初から男たちがいなければ、年の差夫婦の妻は、木を切り倒すことも、インガ婆さんを殺そうともせずに、引っ越して、その場から去るだけだったんじゃないかと思う。相手が、気の狂った婆さんだと分かった以上、身の危険を感じるから。女性は、多分、現実的な身の危険を感じたら、その相手を抹殺することより、自分が逃げることを考えるような気がする。

 でも、男の場合、やられたらやり返す、的な発想になるのかねぇ? ウチの人も、イイ歳して売られたケンカは絶対買う主義なので、このような場合、やっぱりやり返しに行くのだろうか、、、? と考えたら、頭が痛くなってきた。まぁ、あそこまで非常識な人を相手に、まともにやり返そうとは思わないだろう、、、と信じたいが。

 

◆その他もろもろ

 本作は、イヤミス風映画かな。悪意剥き出しの人がでてくるところとか、結末に救いがないところとか、どんどんどんどん悪い方へ話が転がっていくところとか。

 監督のハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン(絶対覚えられないお名前)というお方は、アイスランド人で、本作の構想段階で、ハネケやリンチ、リューベン・オストルンドらの作品について撮影監督と話し合ったと言っている。

 確かに、ハネケっぽいところもあるけど、ハネケほど意地悪さは感じなかったし、リンチほど突き抜けてもいない感じ。ブラックなユーモアというか、黒い笑いもそこかしこにちりばめられていて、多分、この監督さん、面白くてイイ人なんだろうな、と感じた。強いて言えば、オストルンド監督作品が一番近い感じを受ける。

 黒い笑いの最たるものは、ラストショット。この瞬間、私は思わず、ガクッとなって笑いがこみ上げて来てしまった。ハハハ、、、という力のない乾いた笑いね。

 これじゃあ、殺し合って死んでいった男たちが浮かばれないだろ、、、と。合掌。

 

 

 

 

エサに釣られて剥製にされたシェパードが哀れ過ぎる。

 

 

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