映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

陰獣(2008年)

2017-04-14 | 【い】



 フランス人の小説家・アレックス(ブノワ・マジメル)は、日本の推理小説作家・大江春泥に心酔している。次作のプロモーションのために日本の京都にやってきたのを機に、大江に会いたいとテレビ番組で公言するが、大江からは「フランスへ帰れ」などと番組にかかってきた電話で一蹴される。

 そんなアレックスは、出版社の社員に連れて行かれたお茶屋で、フランス語がペラペラの芸妓・玉緒(源利華)に出会う。後日、その玉緒から手紙で呼び出されたアレックスは、玉緒から深刻な相談を受ける。「大江春泥にストーカーされているの、、、助けて」

 ……江戸川乱歩の「陰獣」を、フランスが映画化。原作の寒川光一郎をアレックスというフランス人に置き換えた。


 
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 乱歩原作モノの映画は、乱歩好きからすると、ちょっと見るのが怖い。大抵、「なんじゃ、そら、、、」的なものになっているから。そんな中では、邦画の『江戸川乱歩の陰獣』は割と良い出来だと思うのだけれど、本作は、これまた何故かフランスバーション。一体、どんなん? と思いながらも、ブノワが結構好きなので見てみたいなぁ、と思って、大昔にレンタルリストに入れておいたのが送られてきたので見てみた次第。
  

◆序盤がイロイロ恥ずかしい。

 覚悟して見始めたんだけど、冒頭、いきなり???な展開。いきなり、首がボトッと落ちて血がドバドバとか、、、。京都府警の刑事役で西村和彦登場。でも、彼も、首撥ねられて死んじゃう。……え、これのどこが陰獣??

 とか思っていたら、これは劇中劇だった。なーんだ。

 本題はここから。ブノワ扮するアレックスは、おフランスの大学で日本文学の講義中。そこで、この劇中劇を見せていたのであった、、、。こんなもんが日本の代表文芸映画とか思われたらイヤだなぁ、、、とか、どーでも良いことが頭をよぎる。

 で、アレックスは売れっ子作家らしく、分刻みのスケジュールで日本へと旅立つのね。日本へ向かう飛行機で、彼は「人間椅子」の夢を見る、、、。ううむ、なんかちょっとチープな感じだなぁ、、、とか思う。

 日本では、テレビに出て、日本文学というか、大江文学について持論を展開する。が、しかし、このテレビの番組が司会者とかコメンテーターみたいのとかが、あまりにも馬鹿丸出しな発言で、見ていてだんだん恥ずかしくなってくる、、、。ううっ、辛いなぁ、これ。

 ダメ押しは、踊りが随一と言われている芸妓・玉緒の登場。え゛、、、それ日舞? なんか、動きがヘンなんだけど、、、。お世辞にも美しいとは言いがたいその舞に、さらに辛くなってくる、、、。

 ただまあ、日本でロケをしているだけあって、中国とごっちゃになっているニッポンとかはさすがに出てこなかったし、何より、玉緒さんがアレックスに相談事をしてからは、結構、見られる作りになっていて、気分もかなり挽回してきた。ちょっとホッとなる、、、。

 でも、オチを知っているせいもあってか、なんというか、アレックスが可哀想だなぁ、とか思って見ちゃって、あんまし作品に入り込んでいけなかった。、、、ごーん。


◆こんなん出ました~~。

 まあ、正直なところ、作品自体について書きたくなるようなことはあまりなくて、ブノワが頑張ってくれているのが嬉しいなぁ、くらいだったかな。

 本作を見ながら頭にあったのは、何で、この原作を、フランス人が映画化したいと思ったのかなぁ、、、ってこと。

 最後まで見終わって、、、きっと、乱歩の原作を気に入って、日本という謎めいた土地で撮影してみたい、くらいの、割とイメージ的な動機だったんじゃないかな、と感じた次第。

 ストーリーは原作にかなり沿っているけど、映画として見れば表層的な作りだし、日本人の私から見ると、それほど新鮮味のある視点は感じられなかったから。

 何より、玉緒を演じた源利華さんの容姿を見て、やっぱりこれが日本の、、、というか、東洋の美女のイメージなのか、と。そして、アレックスはこの美女に騙され、ズタボロにされるんだけど、これが、多分、制作者の描きたかったイメージだったんじゃないかな、と感じたのである。

 結局、おフランス(ヨーロッパと言っちゃっても良いかも知れないが)から見た、極東の国・日本って、なんとなく掴み所のない、良くも悪くも神秘的なイメージなんだと思う。日本人から見たフランスだって、フランス人が見ればおかしいところだらけだろうし。どうしても、国に対する先入観はあるわけで。

 そういう、神秘的なイメージに触発されて作ってみたら、“こんなん出ました~~”ってのが、本作じゃないかしらん。


◆ブノワに日本語を習ってほしかったなぁ。

 しかし、ブノワは、どうして本作に出演する気になったんでしょうかね。この頃の彼は、まだ辛うじて美を保っているかな。お腹がちょっとヤバい感じだけど。彼は、日本文学に興味がある人なのかな。よく知らないんですけれど。

 ブノワというと、私はなんと言っても『ピアニスト』が強烈に印象にあるのですが、あの頃の彼は美しくてセクシーで可愛くて、しかもキレがあった。でも、昨年見た『太陽のめざめ』では、あまりにオッサンになっていて驚愕&ショックでもありました。でも、枯れたオッサンの美しさもあり、それはそれでステキだったんですけどね。

 ラストの方で、日本の刑務所に収監されているシーン、スポーツ刈りのブノワが「はい!」とか言って気をつけして立っているのが、あまりにもヘンで笑えました。あんなシーン必要? よく分からん。

 あと、玉緒が、フランス語ペラペラの芸妓、っていう設定がねぇ、、、。あまりにご都合主義で、ちょっと笑っちゃった。別にいいんですけどね。

 源利華さんは、日本人にしてはスレンダーで足も長く、和服の似合わない肢体でしたね。正直、あまりセクシーには見えませんでした、私には。でも、おフランスの方々から見ると、ああいう東洋女性がセクシーなんですかね? ま、松嶋菜々子とか菊地凛子とかよりは、よっぽど良いと思いますけど、、、。鈴木京香さんとか良かったのでは? 彼女は脱がないからダメか……。物語上、フランス語ペラペラである必要がないと思うけど、アレックスとあれだけやりとりするにはフランス語が必須だもんなぁ。アレックスが日本語ペラペラである方が、むしろ、物語的には自然じゃないか? ブノワが日本語しゃべるのは難しそうだけど。舞台は日本なんだから、やっぱ日本語ベースが自然でしょ。

 なーんて、野暮なツッコミでした。

 ま、邦画のあおい輝彦は、ちょっとお粗末だったので、ブノワが演じてくれただけでも良しとしましょう。香山美子さんに匹敵する女優が、今の日本にはいない、ってことですな、、、ごーん。

 





京都のシーンは金沢でのロケらしいです。




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