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「孝子松女傳」を読む 4

庭の松の根本に出たきのこ
もちろん松茸ではない

「孝子松女傳」の解読を続ける。 

さりながら、彼が家にては、一人の口も減(げん)せんは、暮らし方の
ためにも、然るべき事なり、など思いて、言う
まゝに、多満(たま)を差し置きたり。かくて、今は
満津(まつ)と老父と両人のみになりぬを、
隣りのものなど、二度又、相応の夫を入れて、
共々に父をも養えりし、など勧むる事
もあらば、満津(まつ)が曰う、御志(こころざ)しは置く候えども、夫を
※ 置く(おく)➜ 心をそこにとどめる。
入れては、その様子によりては、父も心遣い
あり。また介抱も、心底に任せがたき事
なども、出来候わんか。それよりは、水入らず
の親子にて暮らし候方、父の安心にもある
べくよう、と言いて、その厚意を御返し、
謝して、また夫の事を置け替わねば、尤もの
事なりとて、また勧むるものもなし。
(つづく)

読書:「正雪の埋蔵金 日暮左近事件控 1」 藤井邦夫 著
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