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再びの巨木巡礼 77 小坂熊野神社のイチョウ

静岡市駿河区小坂 小坂熊野神社
 
11月21日、5本目の巨木は、小坂熊野神社のイチョウである。
 
平成9年4月27日「巨木巡礼」時の「小坂熊野神社のイチョウ」
 
最初に24年前の「巨木巡礼」で訪れた時の記録を見てみよう。
 
静岡から国道150号線バイパスを焼津へ向かって走り、トンネルに入る少し手前で北へ降りて、山間に入ったところに小坂の熊野神社がある。イチョウは石段を数段登った神社参道脇にあった。
 
東側からみると、幹中央に口を開けた洞(右写真)がムンクの叫びの口そっくりに見えた。『すぐ側まで、交通量の多いバイパスに迫られた、巨木の叫びを聞くようであった』と書くと作文し過ぎである。裏へまわると、幹や枝から乳垂れが下がって(左写真)、幽霊でも見るようであった。いずれにしても、昼間でもあまり陽が差さない陰気な場所であった。

 かたわらに祠があり、『鴨脚天神社』と木柱に表示され、『鴨脚』に『いちょう』と振り仮名があった。『銀杏』や『公孫樹』はよく見るが、『鴨脚』ははじめてであった。広辞苑によると『鴨脚樹』で『いちょう』と読む。葉の形は確かに鴨の足に似ていないこともない。
 
30年前のデーターで、幹周囲5.7メートル、枝張り東西11.4メートル、南北19.9メートル、樹高20メートル、静岡市指定の天然記念物であった。現在は倒失したものとして、指定は外れている。
 
 
小坂熊野神社のイチョウ(静岡県の巨木153/№3)倒失
 
「巨木巡礼」の順路をたどって、小坂熊野神社に至る。参道に上がってすぐ左手に、「小坂熊野神社のイチョウ」は主幹の根元から折れて倒れていた。よく見ると倒れた幹から小枝が伸びて葉っぱを付けていたから、根元が一部根に繋がっているのかもしれない。
 
参道に戻ると、おじさんが一人、参道を箒で掃いていた。イチョウが倒れたことを聞くと、何年か前に台風で倒れてしまった。それでも何とか生かそうと、土を掛けてやったりしているのだが、と話す。
 
倒れたイチョウを反対側(北側)から見る
 
本殿に参拝してから、もう一度北側から倒れたイチョウを見た。幹の先が倒れているあたりに、十数本ものひこばえが、倒れたイチョウを隠すように、林立していた。ひこばえに透けて、一本のイチョウの木が立っているのが見えた。倒れたイチョウが雌木で、そばに立っているイチョウが雄木だと、先程のおじさんから聞いた。その雄木なのだろう。林立するひこばえは、雄木の根から生えたものだろう。
 
帰りがけに、「ムンクの叫び」イチョウの、断末魔の叫びが聞こえたような気がした。すぐそばの高架を通る、国道150号線バイパスの、車のきしみ音だったのかもしれない。
 
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日曜日に購入した渋柿は、結局67個渋柿に加工した。20個余りは熟しすぎて干柿には向かないので、別の方法で渋抜きをしていただくことにする。
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