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「深川新話」を読む 6

(今朝、宿泊先の「はまゆう」から富士山)

きのう、今日と沼津へ一泊旅行に行った。娘二人、孫四人と8人がワンボックスカーに乗っての小旅行であった。


(新年号は「令和」と決まる)

昨日の新年号の発表は、沼津の高速を降りたところで、車のワンセグテレビで見た。「令和」とは想像もしなかった漢字が使われたと思った。「令和」と書かれた額を掲げる菅官房長官の誇らしげな顔が印象的であった。平成の小渕さんがそうであったように、この映像はことあるごとに流され、時の首相よりも、菅官房長官の方が長く語り継がれることになるであろう。

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「深川新話」の解読を続ける。

 [安] おお、当たる/\、とりかぢ/\。
 [先の舟頭] おお、安か、何所だ。
 [安]裏よ。
 [先ノ舟] おらも今まで表の高砂にいた。(舟行き違う)
 [文] あれも往ったのだね。
 [東] 店(たな)ものでええだ。膳なしの床廻し、ちょんの間契りの、ずい帰(けえ)りというやつさ。時に息子、主(ぬし)の注文は、新か、としまか。
※ とりかじ(取舵)- 進行方向左に舵を転ずること。⇔面舵(おもかじ)。
※ としま(年増)- 娘盛りを過ぎた女性。江戸時代には20歳前後を年増、20歳を過ぎてから28、9歳ぐらいまでを中年増、それより上を大年増といった。


 [文] 中(ちゅう)としまがようごせんす。お前(めえ)はえ?
 [東] おらも中さ。
 [安] そんなら、何でも中としま衆ぅ二人というが、ようごぜんす。
 [東] とかく美なるをもって尊(たっと)しだぜぇ。
 [安] そりやぁ、如才ごぜんせん。夕べもこっちぃお客ぅ連れ申して来やした。
※ 如才(じょさい)- 気を使わないために生じた手落ちがあること。また、そのさま。手抜かり。

 [文] 何処から。
 [安] 山の手のお客でごぜんす。久しぶりで、こつちぃお出でなせんした。所が、何か大の極りて、また明日(あした)、お出でなんす筈でごぜいす。唄がとんだようごぜんす。
 [東] 山の手で、よく諷(うた)うやつは誰だろうの。里州か、仙橋か、幸次なんぞだもしれねぇ。
 [安] いゝえ、そんなお名じゃぁ、ごぜんしなんだ。
 [東] はて、誰だの。(いろ/\咄しの内、裏櫓へ着く)

 [安] おゝい、若松や/\。
 [若い者伊八] あい/\、おゝ安どんか。
 [安] あい、上げ申してくんねえ。
 [伊] さあ、お上りなさりまし。
 [東] よいさあ、息子。
 [文] あい/\。
 [伊] お危のうござります。お静かに。
 [東] よし/\。(二人とも上る)

 [文] そこのものを頼むよ。
 [安] 何もかもわっちが持ってめえりやす。(と、舟の中を片付けて上る)
 [伊] おそのどん/\、お客だよ。
 [中井その] おい/\、さあ、お二階へお出でなんし。
 [東] どこだ/\。
 [そ] こゝに致しましょうかね。
 [文] 何処でもよしさ。
 [そ] さようなら、ここがお静かでようござりましょう。


読書:「月とコーヒー」 吉田篤弘 著
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