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「竹下村誌稿」を読む 292 助郷 14

(今日の夕焼け)

干柿加工する。600円/10個。900円/27個。但し、27個中、1個は柔らかくなっていて潰れ、加工できなかった。また6個は吊るすための枝が取れていて、加工に苦労した。一つ二つ取れていることは、ままあるが6個(二割強)はひどすぎる。女房が「まんさんかん」に、納入者名とともに、クレームの電話を入れた。納入者の猛省を促すつもりであった。

農家直売とは、農家が商人も兼ねることで、品質チェックは農家みずから行わなければならない。生産者の名前を出すのは、その責任を持つということである。ところが、もし他に売れないものの捌け口位にしか思っておらず、粗悪品を良品の中に隠して売るような農家があるならば、それは自らの首を絞めることになってしまう。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

(昨日の古文書の続きである)
右に付、五穀は勿論、食に相成るべき雑穀までも、皆式高直これまた前代未聞の次第にて、末々の者ども儀は、親族扶助も礑(はた)と差し支え、当時(現在)渇命に及び候程の義に付、領主、地頭より、それぞれ御救い手当など下し置かれ候えども、格外の違作に付、当座の凌ぎにて、村役人に於いても、この上取り計らうべき手段御座なく、恐れ入り奉り候御義には御座候えども、助郷御役、人馬勤め方、必至と差支え、殊に雨天続きにて、大井川、天竜川並び三日野川支えにて、御諸家様方御往来打ち重なり、人馬格別失墜相嵩み、なおまたこの節、御国替え専ら御通行御座候ても、飢渇の上相歎き、人馬の手操り出来兼ね、難儀至極仕り、
※ 皆式(かいしき)- すべて。まったく。かいもく。
※ 高直(こうじき)- 値段が高いこと。また、そのさま。
※ 失墜(しっつい)- むだな出費。浪費。
※ 手操り(たぐり)- 手繰。物事をそれからそれへと引き出す。一つ一つもとへたどる。


とても当時の姿にては、なお以って明年御参觀(参勤)の節、御役人馬相勤め難く、難渋困窮相逼(せま)り、御差支え顕然、如何様御咎め請け奉るべくも計り難く、甚だもって恐縮奉り候間、止むことを得ず、助郷人馬へ御救い拜借願い上げ奉り候処、困窮難渋の義は申し立ての通り相違これ無く候えども、御救い拜借願いの義は容易ならざる旨、精々御利解仰せ付けられ、黙止難く引き取り、勘弁仕り候処、とてもこの姿にては取り続けべき様御座なく、助郷人馬役御差支え顕然、往還御継ぎ立てに拘わり、遑(ひま)あらざる御儀と、一同当惑難渋の余り、恐れも顧みず、なお又御歎訴申し上げ奉り候。
※ 黙止(もくし)- 黙ったままでいること。

当御役所御取り扱い、御貸付け相成り候、琉球人御手当元利金、三千七百九十六両三分、永百十四文は、助郷村々の分に御座候に付、右元利金御立て替え、御下げ金成し下され候わば、貧民それぞれ手当て方仕り、御役出精相勤め候様仕り候。返納の儀は、御貸先元利御取り立て次第、返上納仕るべく候間、何とぞ格別の御慈悲を以って、急場御取替え、危急の極難、御救い成し下し置かれ候様、御憐愍の御仁恵、幾重にも願い上げ奉り候、已上。

  天保七年申九月              東海道金谷宿
                           助郷総代名
                          日坂宿
                           助郷総代名
                          袋井宿
                           助郷総代名
                          見附宿
                           助郷総代名
                          舞阪宿
                           助郷総代名


右の通り、去る九月中、中泉御役所へ御歎訴申し上げ奉り候。その後度々御伺い罷り出で候えども、今に御下知これ無く、最早年内余日これ無く、当暮れ人馬賃、その他諸入用割り出し候ても、格外の違作に付、助郷村々一統、売米などは一円これ無く、金才方、手段尽き果て、差支えは眼前の儀に御座候。然る所、明年将軍様御宣下大礼に付、夥しき御通行と承知奉り、平年の世柄になお御継ぎ立て容易ならざる御義、殊更、前代未聞の年柄、御賄方当惑仕り候に付、今般藤川宿より金谷宿まで、中泉御支配所十ヶ宿助郷一同、出府仕り、道中御奉行様へ御歎訴申し上げ奉り候積りに取り極め申し候。
※ 下知(げち)- 上から下へ指図すること。命令。
※ 将軍宣下(しょうぐんせんげ)- 朝廷が宣旨を下して、 征夷大将軍を任命すること。
※ 大礼(たいれい)- 国家・朝廷の重大な儀式。特に、即位の儀式。


これにより私ども助郷村々惣代として、島村組頭儀八、来る八日出府仕り、御願立て仕りたく存じ奉り候間、何とぞ格別の御慈悲を以って、御添え状頂戴仕りたく願い上げ奉り候。右願いの通り、御聞き済まし成し下され候わば、御領分村々は勿論、助郷一同、有り難き仕合わせに存じ奉り候、已上
  天保七年申十一月          御領分村々惣代
                        竹下村庄屋  八左衛門 ㊞
                        牛尾村庄屋  惣右衛門 ㊞
     織本兵八様
                   (下島氏記録)
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