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「壺石文」 下 18 (旧)二月三日、四日

(散歩道のグラジオラス)

グラジオラスはまだ自分が故郷に居るころ、もう半世紀以上前になるが、親父が日曜百姓で借りた畑で、毎年のように作っていた。今のようにカラフルでは無かったが、切り花を御近所に配ったりしていた。我が家の近所では写真のような色のグラジオラスをよく見かける。

午後、夕立でかなり雨が降った。草薙球場では藤枝明誠と日大三島の決勝戦が、雷雨で3時間近く中断するなど、大変な試合で、スコアも23対10と、文字通りどろんこゲームとなり、藤枝明誠が優勝した。夕方、車で出かけたら、外気温25℃と涼しくなった。

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「壺石文 下」の解読を続ける。

三日、昨日の朝明(あさけ)より、空掻き暗し、夕暮れかけて夜もすがらに、いや降りに降り積りたる雪の曙の景色いわん方無くをかし。

   寺々の 鐘の音冴えて 杉村(群)
        雪より白む 暁の空


心あらん人に見せばやと思うも甲斐なし。よう/\に、朝寝(あさい)あるじも驚きて、眠(ねぶ)たげなる顔、打ちもたげ、枕上なる文(ふみ)でもて、我居たる南面の学の窓に入り来て、うちつけに硯に向いて、後(しり)加えがちなるも、またをかしかし。
※ 驚く(おどろく)- 目覚める。
※ うちつけに - あっという間に。


   かつ散れば 咲き添う春の 言の葉の
        花面白き 雪の朝明け

※ かつ散る(かつちる)- 紅葉してかつ散る。(「紅葉且散る」俳句独特の用語。)

朝明け、かかる朝(あした)にも、なお懈怠せざる念仏心はまめ/\しきや。
※ 懈怠(けだい)- 仏道修行に励まないこと。

   雪清き つち響(とよ)むまで 打ち鳴らす
        木の洞
(うろ)くずの 声あわれなり
※ 木の洞(うろ)くず - 木魚のことを云うか?

四日、暁の鐘打ち鳴らして遣り戸そゝぎ開けてみれば、昨夜(よべ)も降り積もりたり。
※ 注ぐ(そそぐ)- 心・力などをそのほうに向ける。集中する。

   庭も狭に 継ぎてし降れば 待ち見ても
        珍しからぬ 雪の友垣

※ 庭も狭に(にわもせに)- 庭も狭しとばかりに。
※ 継ぎてし降れば(つぎてしふれば)- 止み間無く降れば。
※ 友垣(ともがき)- 友だち。(交わりを結ぶことを、垣根を結ぶのにたとえていっ た語)


   梅の花 咲くかと見れば 色こそあれ
        香やは薫れる 二月
(きさらぎ)の空


読書:「変幻」今野敏 著
図書館から昨日借りて、今朝1時頃から読み始め、350頁の単行本を明け方までに読み終えた。この年寄をそこまで引っ張って読ませた、今野敏という作家に脱帽である。
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