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江戸繁昌記初篇 12 吉原 7

(散歩道に生えたキノコ)

土手の草地に生えたキノコ。図鑑で調べたが名前は分らなかった。一見、食べたらうまそうであったが、近くのおじさんに聞いたら、毒だと言われた。

午後、孫たちは一斉にそれぞれの家へ帰って行った。夏休みの、この二週間は出たり入ったり、孫四人が我が物顔で、我が家を遊び場にしていた。ムサシのストレスはピークに達していたようだ。

「江戸繁昌記初篇」の解読を続ける。

耳辺に復た跫然の響きを上す。思うにこの跫(あしおと)これなり。前に依って假睡して、戸を開いて入る者、楼丁の来たりて、灯膏を加注するなり。奇貨再び贋(にせ)なり。耐え難し。怒気湧き上り、突起、衣を披(ひら)いて出づ。始めて知る、小妓の屏風の外に熟睡するを。径(ただち)に烟管をもって微(かる)くその脇を搶(つ)く。
※ 跫然(きょうぜん)- 人の足音がするさま。
※ 假睡(かすい)- うそね。寝たふり。
※ 楼丁(わかいもの)-妓楼に雇はるる男をいふ。五十に至るも六十に及ぶも皆壮者と共に押なべて若者といふ。
※ 灯膏(とうこう)- 灯りに使う油。
※ 奇貨(きか)- 利用すれば思わぬ利益を得られそうな事柄・機会。
※ 突起(とっき)- だしぬけに起きること。


妓なお夢中に在り。口内含糊にして曰う、誰ぞ厭うべし。喜助丈(どん)、客喝醒すること勿(なか)れ。妓摩挲して目を拭い、この模様を視て、錯愕言いて、曰う、君将に何(いず)くに之(ゆ)かんとする。曰う、且(まさ)に帰らんとす。曰う、君帰りて然り。報いあらず。我が罰、軽からず。請う、且(しばら)く住(とど)まれ。将に走り報せんとす。
※ 含糊(がんこ)- あいまいな。はっきりしない。(「むにゃ/\」とルビあり)
※ 喝醒(かっせい)- 声を掛けて起こすこと。
※ 摩挲(まさ)- さする。なでる。
※ 錯愕(さくがく)- 驚きあわてること。


この間、恰(あたか)も好し、大娼来り到る。衡氣で少(しばら)く動かず。曰う、呵呀(おや)(ぬし)は何をか為(す)る。客気急なり。曰う、吾帰る、吾帰る。若(こん)な腐娼、吾また何をか言わん。我れ吾が脚を用いて帰る。誰か敢えて不の字を道(かた)らん。
※ 大娼(だいしょう)- 娼楼の女将?
※ 衡氣(こうき)- つりあいのとれた精神の働き。平気。
※ 客気(かっき)- 物事にはやる心。血気。


娼、扯(ひ)き住(とどめ)し。肯て放たず。曰う、、主(ぬし)帰らんと欲す。帰るが宜しい。但し、少(しばら)く留まれ。我れ将に一言を奉ぜんとす。客聴き得て、怒気稍々(やや)(そ)ぐ。覚えず挽(ひ)かれて坐に還る。
※ 肯(がえんじ)て - がんとして~しない。
※ 諾(だく)- よろしいと承知する。うべなう。
※ 怒気(どき)- 怒った気持ち。腹立ち。
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