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塵摘問答 20 前神、女の戒め

(裏の畑のメキシカンセージ)

塵摘問答の解読を続ける。「塵摘問答」を今日読み終えた。もっとも、このブログではまだ8回ほど続く。なかなか難解な部分も多かった。特に仏教用語や天竺、震旦の固有名詞など、読めても理解には至らなかった。しかし、読み進めながら、何れ自分の興味が仏教経典の世界に向きそうな予感がしていた。

(前神)
一 男問いて云わく、神の前の住まうはいかなる故候や。
※ 神の前(かみのまえ)- 前神。二座以上の神を祭った神社で、主神以外の神のこと。ここでは大日如来。

老僧答えて云わく、住まうは両部の大日分身にて、両部不二の姿を見せたる物なり。神、面白く思しめされ候間、それにより用い候。
※ 両部(りょうぶ)- 両部神道。真言宗(密教)の立場からなされた神道解釈に基づく、神仏習合思想である。神仏が一体(両部不二)の思想。


(女の戒め)
一 男問いて云わく、人間のうちにて、ことに女を御戒め候はいかなる故候や。

老僧答えて云わく、女なればとて鎮むべきにあらず候えども、五障三従をことに戒められ候。
※ 五障(ごしょう)- 女性は、女性であるが故に梵天・帝釈天・魔王・転輪聖王・仏身の五つの地位を得ることが出来ないということ。五つの障り。
※ 三従(さんじゅう)- 女性は、生家では父に従い、嫁しては夫に従い、夫の死後は子に従うということ。仏教や儒教による教え。


五障というは、一つには、梵天王と成りても皇帝(こうたい)の位に至らず。二つには帝釈となりても、兜率に参らず。三つには魔王となりても、第六天にほこらず。四つには転輪聖王となりても、四州を踏まず。五つには仏身となりても八相成道を称(とな)えず。これ五障なり。詳しくは法華経(ほっけきょう)に見えたり。
※ 兜率(とそつ)-(仏語)兜率天の略。六欲天の第四天。須弥山の頂にあって内外の二院があり、内院は仏になる前の弥勒菩薩が説法をし、外院は天人がいる所という。「高野山」の項に「兜率の内院を描す」とある。高野山の女人禁制の根拠の一つか。
※ 第六天(だいろくてん)- 欲界六天の第六で、欲界の最高所。他化自在天。魔天。 
※ 四州(ししゅう)- 仏教で、須弥山の四方の海の中にあるという四つの大陸。
※ 八相成道(はっそうじょうどう)- 釈迦の生涯を八段階に 分けて八相成道と言う。下天・託胎・誕生・出家・降魔・成道・転法輪・涅槃。


三従というは、稚(いと)けなきときは、親に従い、盛んにては男に従い、老ては子に従いて、一世の間、家を持たず、一期人に従う。これ三従なり。
※ 一期(いちご)- 生まれてから死ぬまで。一生。一生涯。

然りといえども、八歳の龍女も釈迦仏に歎きを懸けて、南方無垢世界の成道を蒙りて候。女にて候へども、心上の開け候わば、釈迦仏あるべく候なり。
※ 龍女(りゅうにょ)- 竜宮にいる竜王の娘。8歳で悟りを開き、男子に生まれ変わって成仏したという。
※ 南方無垢世界 - 法華経の提婆達多品に説く、沙伽羅竜王の娘の竜女が成仏した世界。
※ 蓮(はちす)-(果実が蜂巣状をなすところから)ハスの別名。
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