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遠州森町山中家 - 駿河古文書会現地見学会

(山中家で古地図を見せていただく)

駿河古文書会、年1回の現地見学会で、遠州森町山中家へお邪魔した。古文書会の皆さんは小型バスで現地へ行くけれど、自分は直接車で現地へ行った。新東名に乗れば30分足らずで着いてしまう。誠に便利になった。高速料金が片道300円は値打ちがある。予めネットで場所が調べてあったので、山中家はすぐに分った。直接の方がすでに2人見えていたので、座敷へ上げて頂き、御当主、山中真喜夫氏からお話を聞く。

山中家は代々名主など村役人をやって来た家系で、二代目が元禄の頃と分っているから、300年以上経っている。古文書が約6000点あり、土蔵風の倉庫に整理して保管してあり、文書の名前が判れば5分で取り出せるように整理してある。40年程前から古文書会に入り、山中家の古文書の解読をして、翻字や読み下し文にして、現代の人にも判るようにしてきた。

明日から2日間、町並みと蔵展があって、その出品のため、座敷にはいくつか古文書が並べられていた。静岡から一団も到着し、皆んなでお話を聞いた。山中家八世の方が隠居後、天保年間にたくさんの文書を書いて残されており、古文書の多くの部分を占めるという。八世が残された国絵図や村絵図などを見せてもらう。日々の記録も残っていて、日々写図の作業を行ったという記録も残っている。元の絵図があって、写したものだと思うが、元の絵図についての記録はない。

並べられた古文書は、町指定文化財になっている「遠淡海地志」(全8巻)、慶應二年の「年行司日記」、八世の覚書、私録、日記など、宝暦・天明・安政の旅日記など、勉強中の身には垂涎の古文書である。実物を手にすると、日記類など細かい字でびっしりと書かれ、ボールペンでもこんなに細くは書けないほどの字が並んでいる。どんな毛筆を用いたのだろう。

御当主は昭和51年に森町古文書会に入会、駿河古文書会にも七年ほど会員に在籍し、合宿して受けた緑陰古文書解読講座など懐かしく思い出す。しかし、その場だけの講座をいくら受けても、解読の実力は付かないと思い、人を頼らずに、家に残る古文書を自ら解読していくようにしてきた。三年ほど前まで、古文書講座を細々と続けてきた。

御当主の年齢を聞かなかったけれども、頂いた資料で計算してみると、91歳になる。奥さんに先立たれ、一人暮らしだというが、かくしゃくとして、今も町の観光ボランティアをされ、恐るべきお年寄りである。

昼食のとき、何人かの会員の方とお話した。講座ではお話をする機会もなくて、顔は知っていても、どんな方か知らない人ばかりで、こんな機会が大変貴重である。話の中で、旧家の古文書を見せていただくけれども、これだけしっかりと管理されている古文書は初めてだとの、大方の感想であった。
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