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城崎温泉御所の湯

(城崎温泉御所の湯)

お袋の四十九日の法要に出席のため故郷に帰った。

女房と新幹線に乗り、京都で伊勢から来る長兄と待ち合わせて、きのさき5号に乗る。きのさき5号は城崎温泉が終着駅だが、きのさき号の中には、城崎温泉まで行かない、福知山行も混ざっている。福知山で福知山線を経由してくる、こうのとり号へリレーして城崎温泉へ行けるから、便利になったのだけれども、命名には何とも納得しかねる。

長兄と女房は雪のまだ残る豊岡で降りて、自分だけそのまま乗り越して城崎温泉まで行った。お地蔵さんのお人形を友人の力餅氏へ届けるためである。駅頭には力餅氏が出迎えてくれて、人形の包みを渡した。城崎の町を歩いて喫茶店に入り、同級生たちの音信をいろいろと聞いた。残念ながら話題に出てくる固有名詞に一つ一つにすぐには反応できない。40年というギャップは、思い出も記憶のかなたへ追いやってしまうのであろうか。

力餅氏のお店に寄ると、旅館の主人という男性が、一人うどんを食べながら、一杯やっていた。旅館が忙しい時間も、主人は用がないのであろうか。城崎温泉の景気を聞くと、今はお客さんは多いが、それも3月までで、その後はばったりと客が減るという。お客は雪の城崎の風情と、何と言っても味覚の王様である松葉ガニが目当てでやってくるため、そのシーズンが終わると静かになるということらしい。

外は街を通る観光客であふれているが、最近の傾向では日帰りバスツアーが盛況で、ちょっと観光して、カニを食べ、温泉の外湯に入って、そのまま帰ってしまう。賑やかでお金が落ちないわけではないのだけれども、宿泊客ほどには街にお金を落としてくれない。

その後、力餅氏と一番最近に建ったという御所の湯へ入った。混んでますよという入り口の係員の声を背に入場すると、人人人で脱衣場に入れないほどの客に、しばし入り口で空くのを待つ。中に入ると脱衣場ほどの混みあい方ではなかった。どうやら脱衣場が広く取れていないのがネックらしい。透明なお湯はかなり熱めであった。効能書きには高温の温泉の温度を下げるために加水していると書かれていた。ナトリウム・カリウム塩泉で、舐めるとしょっぱい。

しばらくもっぱら力餅氏の話を聞きながら、湯に浸かったり上がったりして、十分にあたたまって温泉を出た。夕方になって日帰りの観光客は帰り、旅館の浴衣や丹前を来た人たちが目に付くようになった。城崎温泉の特徴は、旅館に宿泊しても、必ず外湯へ入りに出かけるのが楽しみになっていることである。旅館ではそのために入湯券を出してくれる。夕食前の今の時間がもっとも外湯が混みあう時間だという。

温泉を出てから、力餅氏に在所まで車で送ってもらった。
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