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天保の改革、村々取締り申渡し - 駿河古文書会

(庭のピンクのサクラソウ、最もサクラソウらしい色)

夕方、駿河古文書会に出掛けた。本日の解読は、天保の改革において、村々取締り申渡しの条である。水野忠邦が老中になって矢継ぎ早に御触れを出す。改革は2年間で終わるが、その間に178通もの倹約令がらみの通達が出されたという。長いので今日は前半を取り上げる。

   御改革に付、村々取締り申し渡す覚え
一 親子兄弟の道正しく、諸親類中睦しく、古来の風儀を相守り申すべく候、奢りに長じ、身分の程を忘れ、百姓不相応の儀、仕りまじく、農業渡世一図にお励み申すべき事

一 御法度、博奕、賭の諸勝負の儀は、前々より相触れ候通り、急度停止となすべき事

一 無商売にて御法度の義を相守らず、悪事を渡世にいたし候ものこれ有り候わば申し出るべし、急度申し付くべく候、若し又、ゆるがせに致し置き候えば、親類組合のものまで越度たるべき事

一 村々にて聟、嫁取、出産、子供の祝いなどの事は申すに及ばず、義理合いにて暑寒見舞、歳暮、その外不時吉凶事、すべて何事によらず義理合いの音信(いんしん)などは、決して無用たるべく候、男女子供初の節句の儀も、初めの子ばかり親類内にて軽く相祝い申すべく候、門幟の儀は一切停止の事
 但し、他郷に親類内これ有り、よんどころなく義理合などの儀これ有り候とも、前条の趣相断り、村内同様急度相断り申すべき事

一 伊勢参宮その外、神仏参詣に罷り出で候節、留主見舞として遣し物並び餞別の儀、無用たるべし、且つ見送迎など一切仕りまじき事

一 氏神祭礼並び月待日待の節、客を招き餅配りなど仕りまじく、もっとも菩提所寺院の儀は、人々心持次第差し遣し申すべき事

一 村内にて若者仲間と申す儀、相止め候様、先年申し渡し置き候えども、今以ってこれ有る由、粗(あらあら)相聞き候、この儀決して無用たるべく候、縦令前髪執り改名候とも、組内限りに致し、その段名主方へ相届け候様致すべく候、かつ又村方により定式節句の外も品々申し立て、休節句などの義、名主方へ願い出で候村方もこれ有る由、不益の事に候間、以来名主に相心得、小前の者心得違いこれ無き様、急度申し付くべき事
 但し 若者仲間と唱え、世間の義理などとし、寄り合いなど表向きの様に心得、農業の差し障りにも相成るべき村方もこれ有るやに、粗(あらあら)相聞き不埒の事に候、以後決して仲間と申す儀、相成らず候、心得違いこれ有るに於いては、吟味の上。急度申し付くべく候事
(つづく)

細々と倹約令が決められており、2年で元へ戻ってしまったのももっともと思う。水野忠邦さんは真面目に考えて、次々に倹約令を出していくが、このような条が100通以上も出て来たのでは、民衆はとても付いては行けなかったと思う。後半はもっと細かくなる。

解読していくと、当時の村々でどのような社会生活が営まれていたのかが、大変よく分かる。禁止と言う事柄は当時の社会で普通行われていたことだったはずである。

駿河古文書会の帰りに、副会長さんに2ヶ月ほど休むけれども退会するわけではないと話し、理由説明に「四国お遍路まんだら」を贈呈してきた。
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