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コウノトリが巣立った!

(コウノトリ巣立ち)

鹿児島に2日間出張していて、夕方帰宅した。気になっていたのはコウノトリの巣立ちであった。さっそくライブ映像に繋いだら、「あれ!巣立っている!」

「7月31日14時16分ごろ、無事にコウノトリのひなが巣立ちました。」と記され、ライブ映像は終了となっていた。

3時間ほど前に巣立ったわけだ。野生のコウノトリが巣立つのは日本では実に43年ぶりである。43年前は自分はまだ高校生だった。5月20日にひなの誕生が確認されてから73日目であった。普通64日位で巣立つというから、10日ほどやきもきさせたことになる。何はともあれ、めでたい。

巣立つ何日も前から羽ばたく練習を重ね、巣の上で1メートルほど飛び上ったり、さらに前々日には3メートルも飛び上り、もうそのまま飛んでいけるのにと残念がらせたりしていた。また、巣の縁から下界を長い時間眺め、今にも飛び立ちそうに体重移動ししてみたり、はやぶさのような鳥影に周りをひやりとさせたり、長い10日間であった。


(コウノトリ巣立って最初の飛行)

夜、NHKのニュースで巣立ちの映像を流していた。巣立つときはあっけなくて、羽根を広げたかと思うとすっと飛び立った。巣立ったばかりの若い鳥は姿がスリムで羽根に汚れが無く真っ白で美しい。さっそく親鳥たちが待つ1キロメートルほど先の湿地へ舞い降りて、共に餌を啄ばんでいたという。

高校の先輩で卒業してから一貫してコウノトリにたずさわってきた人がいる。コウノトリの保護から始まり、絶滅後、各所動物園やロシアなどから、同種のコウノトリ譲り受けたり借りてきたりして、出来るだけ血が濃くならないように血統管理をしながら、数々の試行錯誤の末に繁殖に成功し、100羽以上に増やして野に放つまで、人生を掛けて取り組んできた人である。40年と一口に言うが、並大抵の時間ではない。しかし、終わりがけに大きなご褒美をもらって、これほど幸せな人生は無いのではなかろうか。

10日間、巣に日参して、巣立ちの瞬間に立ち会えた人は何人いたのだろう。取材陣に、毎日来ていると話していたおばあちゃんも、日射病になることもなく、無事巣立ちの日を迎えられて同慶の至りである。
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