平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「双春の年」と「金豚の年」
中国で、今年は60年に一度の「金豚の年」だという。今年生まれた子供は一生お金に困らないという縁起のいい年で、出産ラッシュになるらしいと聞いた。そういう女性通訳も先頃の春節に結婚し、計算は合わないが、この秋に出産を予定していて、お腹が目立つようになった。
「金豚の年」をネットで調べると、丁亥(ひのとい)年、十干と十二支を組み合わせたもので、60年に一回巡ってくる。木、火、土、金、水の五行では「火」に当たる。ネットで「金豚」だから「金」にあたると書かれているものがあったが間違いである。火は「灼熱・躍動のエネルギー、夏の象徴」である。ちなみに金は「冷徹・堅固な金属、秋の象徴」という。縁起のいいのはエネルギー溢れる「火」であるのは明きらかであろう。
中国では一般の生活では旧暦が使われている。旧正月は、昨年が1月29日、今年が2月17日であった。つまり昨年の旧正月から今年の旧正月の前日までが戌年である。一年に一巡する二十四節気、その一つの2月4日の立春が、この間に2日あることになる。立春は万物がよみがえり、待たれた春が始まる縁起のよい日である。その立春が2度もある年はいよいよ吉祥の年である。これを「双春の年」と呼び、こういう年に結婚をすれば縁起がよいとされる。事実、昨年は結婚ブームで、結婚披露宴に有名ホテルやレストランは大賑わいだったようだ。
昨年の「双春の年」に続く、今年の「金豚の年」である。今年が出産ラッシュになるのは理屈に合っている。
ところで、干支の「猪」は日本では「いのしし」だが、中国や韓国では「ぶた」を意味する。中国で「いのしし」は「野猪」と書く。中国や韓国では干支の「亥」として、身近にいる「豚」を持ってきたと思い、何となくお国柄の違いと思っていた。しかし良く考えてみれば干支も中国から伝わってきたものである。日本には豚肉を食べる習慣が無く、豚もいなかった。干支が日本に入ってきたときに馴染のない豚ではなく、その祖先といわれる「いのしし」を代わりとしたというのが正解のようだ。
もう一人、別の会社の女性通訳も昨年秋に結婚したが、今のところ子供の出来た様子は無い。「周囲から金豚、金豚といわれて、もう間に合いませんよ」という。確かにぎりぎりのところである。
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