少しの間、素彫りのまま放置しておくつもりだったが、せっかく時間があるから、幾らかでも彩色を進めようと思っていたところ。で、28日から彩色を始めた。彩色初日は、裏面に工芸うるしを塗る作業。塗った後は乾燥のために一晩おく必要がある。工芸うるしは油性タイプなので、塗った後すぐに他の作業をすることは避ける。
一晩おいた29日には、朝から顔の表面の彩色を始め、ずいぶんと頑張ったところが上の写真。毛髪部分と顔の表面は、前に作っていた(使った)色を活用し、慎重に配合しつつこの色を決めた。ただ、きれいな色の写真がないために、それに近いと思われる配色を考えて「こんな色かな」的な思考で作業を進めている。そのため、本来の明星観音の正しい色ではない・・・と思うが。これは29日の作業結果でもある。
さて、30日に入り、残りの部分を彩色した。髪飾り(冠)の部分の金色と、唇だ。もちろん眼球部分にも墨で黒目を入れた。更には、毛髪と同様の色を使い、眉毛とアイラインを入れる。取りあえずは、彩色についてはこれで終わり。文字に書けばこれだけだが、その都度色を調合したりするから、実際はもっと大変な作業でもある。特に金色は大変。金色の粉末を、薄めた「にかわ液」に溶いて慎重に塗ることになる。いずれの色も一度ではなく、数回の重ね塗りをする必要がある。
斜め前から見た観音様の顔。こんな感じで完成したのだが、実は口紅を入れた時点で、ちょっと表情の感じが違って見えた。
見本写真と比べても、あの優しさが消えているのだ。本来は優しさが顔に表れているはずだったが、どうも若干「むっつり顔」になった気配。たしか、素彫りの段階では優しさが見えていたはず。さてさて、これはどういう事かな?
どうも、口紅を入れた時点で表情が変わったらしい。結果、口元全体から優しさが消えているようだ。と言うことは、口元の造作が甘かったのか。たしか、素彫り段階ではよく見えていたが、彩色をした結果、より本物に近くなったことから、手抜き部分がはっきり見えるようになった・・・・? うーん残念だな。
不本意な表情になったが、いずれにしても彩色が終わり、とりあえず完成した。ただ、この後に出来ることは「古色」を使って若干の陰影を付ける事だけだ。そこではじめて「完成」となるのだが、さあ、その作業をすることになるのか、あるいはこのまま少しの間、壁に掛けながら眺めて、様子を見るのか。
と言う具合で、久しぶりの大作を終え、一段落したところだ。さて、次の課題を含めて、8月以降はどうなるのかは、今のところは分からないが、ちょっと休みたい気分でもある。
いや、それにしても今年の夏は暑いこと、暑いこと。高齢者にとっては要注意でもあるのだ。
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