わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

明星観音 その7

2015年07月31日 | 能面

少しの間、素彫りのまま放置しておくつもりだったが、せっかく時間があるから、幾らかでも彩色を進めようと思っていたところ。で、28日から彩色を始めた。彩色初日は、裏面に工芸うるしを塗る作業。塗った後は乾燥のために一晩おく必要がある。工芸うるしは油性タイプなので、塗った後すぐに他の作業をすることは避ける。

一晩おいた29日には、朝から顔の表面の彩色を始め、ずいぶんと頑張ったところが上の写真。毛髪部分と顔の表面は、前に作っていた(使った)色を活用し、慎重に配合しつつこの色を決めた。ただ、きれいな色の写真がないために、それに近いと思われる配色を考えて「こんな色かな」的な思考で作業を進めている。そのため、本来の明星観音の正しい色ではない・・・と思うが。これは29日の作業結果でもある。

さて、30日に入り、残りの部分を彩色した。髪飾り(冠)の部分の金色と、唇だ。もちろん眼球部分にも墨で黒目を入れた。更には、毛髪と同様の色を使い、眉毛とアイラインを入れる。取りあえずは、彩色についてはこれで終わり。文字に書けばこれだけだが、その都度色を調合したりするから、実際はもっと大変な作業でもある。特に金色は大変。金色の粉末を、薄めた「にかわ液」に溶いて慎重に塗ることになる。いずれの色も一度ではなく、数回の重ね塗りをする必要がある。

斜め前から見た観音様の顔。こんな感じで完成したのだが、実は口紅を入れた時点で、ちょっと表情の感じが違って見えた。

見本写真と比べても、あの優しさが消えているのだ。本来は優しさが顔に表れているはずだったが、どうも若干「むっつり顔」になった気配。たしか、素彫りの段階では優しさが見えていたはず。さてさて、これはどういう事かな?

どうも、口紅を入れた時点で表情が変わったらしい。結果、口元全体から優しさが消えているようだ。と言うことは、口元の造作が甘かったのか。たしか、素彫り段階ではよく見えていたが、彩色をした結果、より本物に近くなったことから、手抜き部分がはっきり見えるようになった・・・・?   うーん残念だな。

不本意な表情になったが、いずれにしても彩色が終わり、とりあえず完成した。ただ、この後に出来ることは「古色」を使って若干の陰影を付ける事だけだ。そこではじめて「完成」となるのだが、さあ、その作業をすることになるのか、あるいはこのまま少しの間、壁に掛けながら眺めて、様子を見るのか。

と言う具合で、久しぶりの大作を終え、一段落したところだ。さて、次の課題を含めて、8月以降はどうなるのかは、今のところは分からないが、ちょっと休みたい気分でもある。

いや、それにしても今年の夏は暑いこと、暑いこと。高齢者にとっては要注意でもあるのだ。

 

 

 

 

 

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明星観音 その6

2015年07月27日 | 能面

前回からほぼ同じ状態。ただ、細かい修正をしていたり、目の中を彫ったり鼻の穴を開けたり、裏彫りもきちんと終わっている。額に「びやくごう」も付けた。そのため、「素彫りが終わった」という段階だ。

前にもちらっと書いたが、観音様には色が付いていない場合も多い。ただ、色づけした観音様もあって、それを参考に彩色をする予定だ。

上の写真が彩色の見本。彫るときもこの写真を見本にして彫っていた。もちろん、髪飾り(冠)の形もこれに準じて彫っている。従って、これを元に彩色をしても大丈夫だろうというあたりか。

この写真を見れば、自分の彫った「能面タイプの観音様」とは違って、頭の上がずいぶんと高いのが良く分かる。ただ、写真と同じように髪の毛を巻き上げたら、材料ももう一個分必要になるだろう。ま、様々な事情があって1枚目の写真の状態になったが、これもやむを得ないと考える・・・と言っておこうかな。

次は彩色に入って居るはずだが、時期はちょっとわからない。

 

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明星観音 その5

2015年07月17日 | 能面

今日17日に、一応の素彫りが終わった状況。もちろん、鼻の穴がない、裏彫りは終わっていないなど、まだ完成したとは言えないが、表面的には大きな彫りは終わったあたりだ。

前回(11日)からほぼ1週間ほど経っているのだが、大きく変わった様子はない。ただ、髪飾り(冠部分)を整形していただけなのだ。この部分だけを彫るために一週間もかかるぐらいに手間がかかったと言うことだろう。特に、前髪にかかる冠(かんむり)のところが大変だった。

この「冠」は、実は予定していた図柄と言おうか形も、その都度考えながら彫っていた。と言うのも、面の表面に書き込んだ図柄が細かいために、本来の図柄では作業が出来ない(細かすぎる)気配もあり、無理をすれば図柄が破損してしまう(いわゆる壊れる)心配もあった。そのため、簡単な図柄に変更したりする必要もあって、余計に時間がかかったと言う話。ま、技量不足か。

そもそも、参考写真から判別できる冠の細かい部分の形も、はっきりしていなかった。それを「たぶんこんな形だろう」的な判断で、お面の表面に書き込んでいたし、それに添って彫り進んでいったのだが、大まかなところはそれでも間に合っていた。だが、さすがに細かい作業に入ったら、それは結構大変な作業だったと言うことか。

前にも書いたが、能面の場合はそれほど細かい彫り込みは少ない。ところが、仏像や今回の観音像となれば、細かい彫り込みがたくさんある。しかも、自分はそんなに細かい作業を経験しているわけではなく、大まかな作業が大部分だった。従って、仏像関連の細工には慣れていなかったようだ。しかも、どうも仏像彫りには仏像彫りに見合った材料や道具もあるらしい。

ということから、今回は「試し彫り」という位置づけで・・・と言い訳をしつつ、作業を進めているところだ。

上は、斜め横から見たの図だ。ちらっと見る限りでは、一応はうまい具合に彫っていると思う。表情も参考にした「明星観音」に近い。自分の技量からすれば、まあこんなものだろう。ただ、実は頭の上の部分については、これよりはずっと高いのだ。ほぼ倍ぐらいも高いのだが、それでもまあ、このあたりでごまかしているところ。

斜め前方から見たら、こんなものか。

このあとは、細かい部分の修正作業に入ることになる。あごの部分も若干出っ張っているから、少し削って下げても良いみたいだし、鼻の穴も開ける必要がある。もちろん、裏彫りも未完成だから、ここにも作業時間を使う必要があろう。毛髪の部分や髪飾り(冠)の左右不揃いの部分もあるので、このあたりにも幾らか時間をかけながら、修正することになる。

いずれにしても、ここまで来れば、あとはのんびりと時間つぶしのつもりで、ゆっくりと作業が出来るので、一安心と言うところだ。ただ、孫達が夏休みで遊びに来るかも知れないが、次の能面塾は8月12日だ。まだ充分に時間があるから、じっくりと修正作業を行うべし。

OKOK。

 

 

 

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明星観音 その4

2015年07月11日 | 能面

順調に彫り進んでいるのだが、どうも足りない気がしていた。それは頭上の髪飾り。前回の紹介した段階でも何とか格好は付くものの、「ちょっと足りないな」と考えており、このあたりを追加すればもっと良くなるとも考えていたところ。

で、その部分を新たに追加してみたのが上の写真だ。これまでのてっぺんから、およそ4cmほどの高さの追加材料を加工して、載せてみたところだ。この程度のもので大丈夫かなとも思っていたが、まあ、ないよりはまし。参考写真では、この3倍以上もの高さの飾りが付いており、それを全部表現することは難しい。従って、部分的に追加をして、適当なところで「はしょった」という具合。

追加部分を固定するために、当初はクランプを使ってみたが、きちんと水平に固定されず、隙間が出来てしまった。従って、古典的な手法として紐を使って縛り、上の写真の状態で一晩おいたところ。また、その部分は廃材を使ったために本体と同じ材料ではなかったので、若干色が違う。

追加した頭頂部の髪飾りを、元の部分に合わせて修正したところだ。全体としては違和感はないから、この状態のまま彫り進んでいくことにする。ただ、本体と追加部分の材料が違うから、表面の色具合や彫り具合が違うし、更には継ぎ目がすっかりあらわになってしまった。

本来は大きめの材料を使って一体に彫るのが普通。だが、もともと能面用の材料だし、これはやむを得ない事なので、この繋ぎ目や混在した異なる材料の違いを消すために「彩色」を考える必要もあろう。

面倒だと思っていた毛髪部分は、ちょっと手間がかかったものの2日間で終わった。

いずれにしても、今の段階ではこのまま彫り進んで、最終的にどうするのかを決めることになる。このあたりも含めて、わざわざ「面倒なお面を彫っている」のだから、まあいいっか・・・

 

 

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明星観音 その3

2015年07月03日 | 能面

上は6月終わりの付近。29日だったかな。彫刻刀で彫った後を、紙ヤスリなどを使って滑らかにした状態。いつものように彫り残しや形の不具合などを、きちんと見るための作業だ。こうすることによって、それらの部分がよく見えるようになる。もちろん、この段階でも修正は行っている。

今のところは、参考の写真と比べても概ねイメージの通りに出来上がっている気配。ただ、前にも書いたが、先生の見本とは若干違うところはやむを得ない。先生が彫ったものは、恐らく他の見本か、他の図面を参考にしたものと思うから、これとは同じではない。

顔の表面はそのままにして、髪飾りの方を進める事にする。というのも、顔はすぐにも出来るあたりまで作業が進んでいるため、このまま放置していても良い。

さて、髪飾りを含めて、頭の部分は初めての作業になる。15年間も能面を彫っていたのだが、これら能面の頭はずいぶんたくさん彫ってきた。だが、この観音様の頭は初めてだ。ましてや、正面図は何とか作ったが、横からの図面がないために、髪飾りを含めてきちんとした形が不明。従って、正面から見た写真を参考に、横の形を想像しながら彫っていくしかない。

上の写真は、参考にした正面からの写真を見て彫ってみたところ。その見本写真にしても原寸大でもないし、しかも斜め下を向いている。従って、きちんと寸法が出ているわけではなく、あくまでも「写真を見ておよその寸法を決めている」のだ。このため、髪の形、飾りの位置、大きさなどは「こんなものかな」程度でもある。

2枚目の写真は2日までに彫ってみたところ。3枚目の写真は今日3日の結果だ。とにかく、頭(髪の毛や髪飾り)の形や寸法が不明な状況で、「目見当」で形を書き込み、それに添って彫って行くために、当然、写真とは(だいぶ)形が違っている。もちろん、似るように努力はしているものの、どうしても違ってしまうのだ。

ということで、まずはそれらしい形を頭に浮かべて彫っているという具合なので、似ていなくてもしょうがないと考えている。しかも、本来の観音様の頭は、もっと上に伸びているのだ。このあたりも、能面の材料を使っているという制約もあって、見た感じが貧弱になるのもやむを得ないだろう。

作業開始からほぼ一ヶ月になろうとしているが、さすがに「難しい、面倒な形」を選んだだけあって、なかなか進まない。もっとも、最初からそれを望んでいたから、これはこれで「本望」だろう。

 

 

 

 

 

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