前回の彩色後は、一週間ほどは作業を休憩しようと思っていたものの、3日ほど経ったあたりには、次の作成のための課題を探していた。例によって材料の寸法や、これまで彫ったお面の数などから判断し、それを決めたのが11日頃であり、実際に作業を始めたのがなんと13日だ。ということは、前回の彩色作業が終わってすぐに、次の課題を探していたことにもなる。ただ、実際に作業を中止していた日も数日あり、その間は時間をもてあましていたことも事実。
従って、数日経ってすぐにやる気が起きたのも事実だから、まあ、いいっか。
で、次の選んだ課題は「蛇(じゃ)」だ。へびと書いて「じゃ」と読ませるところはよくわからないが、もともと「女面」から「生成り」になり「般若」そして最後に「蛇」になる(順序が違うかも知れない)という女の恐ろしい嫉妬・呪いを表現したお面なのだ。ただ、般若のお面はよく知られているので、それに近い蛇のお面も、題材としては面白いと考えている。
見本は下の写真。タイトルが「蛇4」と言うことだから、今回で4個目のお面である。実は、部屋の壁に飾ってある多くの能面を点検したところ、「般若」は4個以上、「生成り」も4個彫っており、蛇だけが3個しかない。それで、今回の課題は「蛇」に決定にしたという具合。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/c7/b0fc13de0339ae3edf5bbe0dd0d8f9f8.jpg)
こんな姿だ。いかにも恐ろしい表情だが、これがあのかわいい「若女」が「増女」や「増髪」「深井」などを経て上の写真のように変貌する・・らしい。ただ、単なる女面よりは技術的な行程・細工なども作業意欲の出そうな形だから、これはこれで自称能面士としては意欲がわいてくる・・と自己満足をするとこだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/99/b35c0a8ef15bf9038b7b5f17ff260e08.jpg)
上は13日。顔の表面である。型紙に合わせてすでに斜めに切り取ってあり、ここから本格的に切り込みが始まる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/98/884537c1ba361d25805bebccfe6ff44e.jpg)
顔の周囲を丸く切り取り、額(ひたい)の部分や口の部分などを切り取ってたところ。14日の写真だが最初の作業から1日後だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/72/f959b98dfed76207d129e769f2d79239.jpg)
更に作業を進めていくとこうなる。これは15日の結果だが、作業開始から3日後には大体の形が見えてきているだろう。実は、この時点でどうも両側の頬(ほほ)部分を切りすぎた感じがしていた。写真では見えにくいのだが、切り取ったほほ部分が急斜面になっており、見本の写真と比べてもほほの高さが低い気配。これはまずい。
で、実は2個目の「蛇」でも同様の失敗をしており、このときにはほほ部分に木片を継ぎ足して高さを確保しているのが写真に残っていた。今回の4個目でもその手法を使おうと考えて、上の写真の段階からほほ部分に接ぎ木をして、高さを確保したという具合。もっとも、3個目はうまい具合に彫っていたのだが、恐らくこの時は2個目の失敗を参考にして、修正していたのだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/15/941188a7669be1ce47f6d0a3de30a425.jpg)
上は17日だ。よく見ればほほ部分に継ぎ足した木片が見える。本来はほほの上から極端に出っ張っていたが、気合いを入れて整形を行った結果、上の写真まで修正が進んだところ。もちろん、この後も全体を見ながら、見本写真に近い形まで彫り上げることになるはず。ま、16日は第一回目の裏彫りもしているので、接ぎ木や乾燥を含めて2日間の作業結果である。
作業開始からまだ一週間にも満たないが、かなり作業が進んでいることがわかる。この調子でいけばあと2週間ほどで素彫りが完成するかも・・・いやいや、今回はきちんと気合いを入れて、丁寧に作業をするつもりだから、せめて11月の中頃までは持って欲しいところだ。