わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

腕時計をいじった その2

2016年06月30日 | 能面

その1の続きだ。これは遙かに難易度が高いものであり、原則として「メーカー修理」の部類に入る。従って、電池交換と言うよりは「修理」のカテゴリーになるから、「その1」比べて交換電池も工賃も遙かに高い金額がかかる。一説には交換費用は1.5~2万円とか。もちろん、素人には作業そのものが遙かに高度なので、一般的ではない。

で、それを承知で電池交換作業をすることにした。まず、今回の腕時計は次のとおり。「SEIKO AGS」だ。この時計は修理中の機械時計を買うまで使っていたから、こいつを買ったのはおよそ10年数年も前であろう。

これは、ケースが「ワンピースタイプ」と呼ばれるもので、一般的なスクリューバックタイプの裏蓋がない。このかわり、ガラス面の蓋部分を取り外す必要がある。これはやっかいだ。

ガラス蓋部分とケース本体に、わずかにある隙間に工具を差し込み、取り外すのだが、これも専用の工具があって、通常はそれを使う。ただ、私はこの工具を自作した。そのため、蓋を外すときに若干のキズを付けたが、専用工具も買わずにタダで作業をするのだから、その程度は覚悟の上だ。で、何とか苦心をしながらガラス蓋を取り除いたのが、下の写真。

蓋があった周囲に若干の汚れが見えるが、密閉されていたはずでも汚れが出来るのだな。で、電池を交換するためには、このムーブメントを取り出す必要がある。その第一段階として、リュウズを引き抜く作業が待っている。

写真をよく見ると、リュウズの棒とムーブメントの接合部分に「オシドリ」らしきパーツが見えた。これを押せば、リュウズが抜けるハズ。

抜けた!! 更にはムーブメントも取り出して観察しているところだ。

さて、よく見ると電池が見える。ただ、この電池を取り出すためには極めて面倒な作業が待っていた。回転するローターと、その下にある歯車を取り出す必要がある。更には、電池を押さえているカバー金具を取り外す必要もあって、それらを止めている「極小のねじ」をはずす作業が待っていた。

ねじに合う極小ドライバー、先の極めて細いピンセットなどを使って作業を行ったのだが、これが大変なのだ、とにかく高齢者であることから目が見えない、指先が震える・・・・しかも、今回のために買って用意した 精密ドライバー数種類が、全部ねじ山に合わない。それぐらい妙なねじ山だったために、幅の合う精密ドライバーの刃先を砥石でといて加工し、使った。

ローターを外すときは2.0mm、電池カバーを外すときは1.6mmを使い、いずれも先端を砥石で薄くした。これで何とか対応する。その結果、分解できたので、まずは一安心だ。これが下の写真。

外したパーツである。ローターや歯車が見える。もちろん電池押さえカバーや電池本体、微小なネジも見える。

上は外す前の電池部分。液漏れが見えた。もっとも、使わなくなってから10年以上も経っているので、やむを得ない。ただ、内部には影響がないようなので一安心だ。さて、ここまで来ればいよいよ電池の交換だ。

これが交換電池の正体。実はこの電池は品番が「30235MZ」という充電可能な二時電池であり、専用品という事もあって一般に市販されていない。ただ、時計パーツを扱っている一部のところで販売しているようだ。私はAMAZONを使って購入した。

すべてが揃ったところで交換作業を実施する。分解した手順の逆を慎重に行って、元に戻すのだが、このときの電池カバーの、わずか2個の極小ネジをはめ込むだけで、実に1時間以上もかかったのだ。これは「手先、指先が震えて、ねじを回すことが出来ない」ため。

震える指先なら精密ドライバーも震える。結果、ネジがぽろぽろはね飛んで、ねじ穴に収まらない。飛んだねじをピンセットでつまみ、ねじ穴に置くだけでも大変で、ねじを回すところまで行かないのだ。この動作を数10回繰り返したところで、何とかネジを締めることが出来た。いや、この時は本当に感動ものでしたね。もうやめようと諦めていました。

で、最後にガラス蓋をワンピースケースに載せて、裏表から圧力をかけ密閉した・・・と思ったところ、なんと隙間が出来ていた。ガラス部分の蓋とケースを密封するためのスペーサーが変形して、そのまま密閉されずに圧縮したようだ。その後、そのスペーサー部分をあれこれいじっていたら、スペーサーも切れてしまい、ケースとガラス蓋がカパカパ外れるようになった。

さあ大変。もちろんスペーサーの予備などない。メーカーならまだしも、近隣の時計店でも10数年前の腕時計の部品などない。電池交換はうまく行って、秒針を始めとする各種の針や曜日、日などもきちんと稼働しており、大成功したのだが、最後に注意を怠ってガラス蓋を密閉することが出来なかった。

 

結論は「失敗」だ。ガラス蓋がすぐに外れる腕時計は、日常的に使えない。従って、これはこのまま静かに観賞用として机に置いたまま動かし、苦労した余韻、感傷に浸って眺めていよう・・・・でした。

高齢者の趣味とは言え、他人から見れば馬鹿げた行動でしたが、大変お疲れ様でしたね。

 

 

 

 

 

 

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腕時計をいじった その1

2016年06月30日 | 能面

能面だけではつまらない・・・訳ではないが、たまには違った作業を紹介するが・・・

過去に使っていた腕時計がある。もちろんずいぶんと前のものであり、今では全く使っていない。

と言うのも、ここ10年ほどは西暦2000年記念のSEIKOの機械時計を使っており、古い腕時計はすでに役目を終えていたものだが、ケチな性分から後生大事に保管していたところだ。今回、この2000年記念の機械時計の具合が悪くなり、これを機会に「メーカー分解清掃・点検修理」を依頼しているために、修理完了までの間、古い時計を再生して活用する事にした。

1個は時計店で電池交換した。これは平成6年に買ったもの。すでに20年も前のシチズンの腕時計。それが、電池交換すると動きだし、ピンチヒッターとして十分活用できる事が分かった。これは良いことだ。で、これを今のところ常用している。

さて、古い時計があと2個ある。こいつも何とかならないか。で、行動開始。いじるのは下の写真の腕時計だ。

見た目はまだ使えそうな姿だが、電池が切れており、20年以上もそのまま放置していたもの。これの再生作業に入ることにする。

まずは裏蓋を外して中身の点検。スクリューバックの裏蓋で、工具さえあれば簡単にオープンができる。実はこの「オープナー」は、過去に自作したもの。それを使って簡単に開けた。これが下の写真だ。

裏蓋を外し、更には電池部分を覆っているカバーを取り去ったところだ。ボタン電池が見える。これを交換するのだが、まあ精密ドライバーでこじれば簡単に取れそうだ。ただ、せっっかく分解するのだから、内部を清掃しよう。そのためにはケースからムーブメントを取り出す必要がある。その第一段階としてリュウズを取りはずさなければならない。この作業はちょっとコツがあるようで、単に引き抜くのではなく「オシドリ」を押しながら慎重にリュウズを引き抜くことが必要。このオシドリを見つけて慎重に押し下げ、慎重にリュウズを取り出す(引き抜く)。

で、その作業を行って分解したのが下の写真だ。

これが、取りはずしたリュウズと取り出したムーブメントだ。電池も外したところ。この電池は「SR626SW」と呼ばれる、ホームセンターにも売っているもの。今回は511円で購入した。分解したケースは下の写真だ。

この状態まできたらクリーニングをすると良い。ただ、クリーニングをする機械(超音波洗浄機)などは、個人で持っている人はわずかであろう。もちろん私も持っていないから、他の手段を使う事になるのだが。

ま、一般的には洗剤で洗う・・・事になる。私も確か洗濯用粉石けんか台所用洗剤を使ったが、歯ブラシできれいに洗い、これまたきれいにゆすいで、要所にはCRC-556を吹きつけ、清掃完了。

分解した作業を逆に行って、正しくムーブメントをケースに収納して電池の交換作業は完了だ。で、電池を入れ替えた時点で秒針が稼働する。結果は「動いた」というあたり。ただ、リュウズの扱いで不具合が出た気配があり、曜日の更新が出来なくなったのだ。でも、かろうじて日の変更は可能。それでも、秒針を含む分針、時針はきちんと動くので、リュウズを使った時刻の調整は可能だ。更には夜中の12時には、曜日と日が翌日へ自動的に更新されている気配である。これをうまく活用すると、曜日も日も時刻も調整が出来る事になるから、まあ時計としての機能は残ったというあたりか。

結論としては、若干動作が不安定ながら、日常的な使用には十分耐えられる程度に回復したという具合。

70歳過ぎの暇な爺の作業としては、第一段階としてまずまずであろう。

 

 

 

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不動5その4

2016年06月25日 | 能面

前回の紹介から一週間以上も経っているのに、このあたりまでの作業だ。もっとも、よく見れば結構手間がかかっているようにも見える。もちろん細かいところはまだまだ未完成だが、だいたいの形が出来上がっているところ。

特に、大筋では形が出来ていると言っても良いぐらいだろう。そこまでかかるにの一週間も必要だと言うことだ。そのぐらいめんどくさい作業を、毎日のように少しずつ進めている。で、この後の作業は主に毛髪部分の整形になる。

ここは、束になっている毛髪に中に、更に5本程度のスジを入れて彫っていく。そうすることで細い毛髪を表現するのだが、実はこれも結構大変な作業だ。もっとも、それをすることで完成するから、めんどくさいなどと言ってはいられないところ。

今月中には素彫りが完成すると考えていたが、どうもこの進み具合では出来ないかも。従って、7月の能面塾あたりまで素彫りの完成を延ばしておこうかな?それは7月13日なのだが、ちょっと長いか・・・

 

 

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不動5 その3

2016年06月16日 | 能面

さて、作業は順調に進んでいる(らしい)。これは面倒な「毛髪」部分の作業を進めているところ。こうして正面から見れば、まあどんどん進んでいくようにも見えるが、実は横方向の形も考えつつ作業を進めている。これが難しいところだ。

1枚目の写真と比べても、頭頂部分に修正したところがみえる。これは何か?これは、前回彫った不動の同じ部分を眺めて、それに合わせて一気にのこぎりを使い、切り取った後、彫っていった結果である。実は失敗したのだ。

完成した実物を見ながら作業を進めていたはずだが、それでも「彫り過ぎ」「線引きの間違い」が起こったのだ。この頭頂部分の毛髪の形は、前例をまねしてのこぎりで一気に切るのではなく、今彫っているお面の全体の形を考えながら、しかも慎重に彫刻刀を入れる手段を選ぶ必要があったと言う事だろう。従って、「失敗した」のだ。

他の毛髪の形は概ね予想通りでもあり、まず一段落。で、この後は修正部分が乾燥して、きちんと固まったら「慎重に彫刻刀を入れる」事になる。うーん、実に残念だ。

この毛髪部分にはすでに1週間をかけている。それでもやっとここまで。これはさすがに時間がかかっているが、そのぐらいめんどくさい、難しい部分であるとの証拠でもあろう。

ここまで来れば全体的な完成度は6割ぐらいかな。今後は口の中の造作(これも歯や牙があって面倒)や裏彫りの第3段階に進める事になる。ただ、まだ作業開始から実質2週間程度でもあり、時間的な余裕は十分だ。今回は最低1ヶ月は作業をしなければ、せっかく「難しいお面」を選んだ意味はない。従って、最低は今月いっぱいの作業日程を予想している。

 

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不動5 その2

2016年06月12日 | 能面

上は8日の出来具合。

上は12日だ。1枚目の写真(8日)から12日までの間、余り進んでいないように見えるが、よく見ればまあまあの出来具合。それでも4日間もあったから、もっと進んでも良さそうなのだが、ちょっと理由がある。この間は町内の老人クラブの行事があって、そっちに労力を注いでいたから、能面の作業はちょっと手を抜いていた。ただ、最初の作業開始が4日だったことを考えると、まあ一週間ちょっとしか経っていないし、ここまで出来上がればこれでも十分に早いと言える。

さて、前にも書いていたとおり、毛髪の表現で苦労をしているところ。自分で彫った見本があるのだから、それを素直にまねをすればいとも簡単にできそうな気がするけど、実はそれほど単純な事ではない、確かに見本を眺めつつ、定規やデバイダーなどを使って寸法を測り、そのまま写し取ってその通りに彫っていけば同じ物が出来る・・・はず。

だがしかし、そう行かないから苦労しているのだ。もっとも、4個目を彫ったときにも「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を重ねてやっと出来上がった記憶もあるから、今回も始めからきちっと彫るのではなく、徐々に形を整えて作業を進める方が良いだろう。その過程が面白いと言えば面白い事も事実。

 

 

 

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