わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

観音2 その2

2018年06月23日 | 能面

観音様の彫刻は順調に進んでいる。前に彫っていた「童子」では、作業意欲が一時的に減退していたのだが、この観音様では極めて制作意欲が旺盛である。従って毎日あれこれ考えつつ、無理をしない程度に進めている。

上は21日の出来具合。前回の写真は17日だから、すでに4日ほど経っている。その間は毎日気合いを入れて、かつ慎重に作業を進めている。だいぶ表情が見えてきたところ。

今は毎日行っていたウオーキングを一時的に中止しており、朝の時間が余っていることで作業時間が長くなっている。7時頃から10時近くまで午前中の作業をやっているから、ちょっと長いのだ。ただ、もちろん無理をしないことを最重点に作業をやっていることには変わりはないが、これまで2時間程度だった作業時間が増えたことも事実。

長くなった作業時間の関係もあって、自作した1個目の観音様、あるいは見本の写真、さらには過去に集めた観音様の各種写真を綿密に見比べて、表情を作っている。実はこれが難しいのだ。もちろん見本写真の通りに彫れば、良い作品が出来るはず。ただ、それが出来れば苦労はしない。この写真だけでは耳の形を含めて横顔もないし、何よりも「高さ」がわからないから、あれこれ頭を使い寸法を予測・考えたりしてより良い表情を彫っていくことになる。

上は、もともと材料の厚さが足りなかった部分を継ぎ足しているところ。21日だ。本来は厚さが12cmは欲しいところだったが、残念ながら10cmしかなく鼻のてっぺんや髪飾り部分の厚みが足りなかった。それでも何とか10cmに納めようとして作業を続けてきたものの、どうも具合が悪く寸づまりの頭部になりそうな様相になってしまった。これでは具合が悪い。従って、今回は鼻のてっぺんに材料を継ぎ足すのではなく、耳の方に材料を継ぎ足して、全体的な厚さを補充する手法を使ったという具合。それが上の写真だ。

これは耳側に継ぎ足した材料。この部分に耳の位置を下側に移動することにより厚さが増した格好になり、顔の部分に余裕が出来る。さらには額の部分も下に彫り下げることが出来て、結果的には鼻の部分を残して顔全体を低くすることが出来て、バランスの取れた横顔になるハズ・・と勝手に考えている。

これは、耳部分を下の継ぎ足した材料部分に移動させたところ。結果、もみあげの位置も全体的に下がって顔の表面が広がって来たから、違和感のない顔の形、表情が出来上がる・・と思うが、さてどうかな。

この継ぎ足し作業は21日から行い、この2日間でいったん終了した。これからは更に写真を参考に、違和感のない頭部の形に仕上げていくことになる。

まずは顔の部分をきれいに仕上げなければ・・・ということかな。

 

 

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明星観音2 その1

2018年06月17日 | 能面

「童子」を彫っていたが、これはこれでそのまま作業が続いている。状態は下の写真の通りであり、完成度も8割ほどだろう。ここまで行けばあとわずか。細かいところの修正を2~3回ほど行えば、素彫りは完成だ。ただ、最近は自分の集中度が減少している気配もあって、どうも「がんばって・・」という気分になってこない。その原因はおそらく似たようなお面(小面)を2個続けて彫っていたから、この形に飽きてきたのかな?

そのため、解決策として新しく「難しいお面を彫ろう」ということにした。そのお面は「明星観音」だ。これは難しい・・というよりは細工が面倒くさいので、手間がかかるというあたりかな。それに備えて13日の能面塾では、あえて大きめの材料を入手したところ。

観音様に行くまでに、童子の進み具合を紹介する。

上は15日の結果である。表面はきれいに滑らかにしており、全体的にもほぼ完成時と同じ。あとは眼球部分と口の部分を彫り込めば素彫りの完成だ。もちろん裏彫りも最終段階まで行っている。ここで作業を中断したのは、20日にある能面教室での作業を残していたという理由もある。この時に残した作業を行えば、ほぼ完成だろう。

で、観音様である。3年前の2015年6月に1個目の明星観音を彫り、最初の作業を開始していた。完成は7月30日だから正味1ヶ月以上の作業期間でもある。今回もそれに習って、完成予定は7月いっぱいとしよう。

今回も見本写真は下の通り。有名な仏師の作品の写真だ。形と表情が好きで、1個目もこれに習ったという具合。もちろん、使う図面は自作のものだ。

これを見本に彫ったのが下の写真。完成は2015年7月30日だから3年前かな。

よく見るとずいぶん違うが、まあ最初の作品だから勘弁をして貰おう。見本写真と自分の作品との違いは次の通り。

1 見本は裏側もきちんと作られているが、自分の作品はお面の仕様なので、裏側は削り取られており、いわゆる「彫られている」のだ。

2 見本は髪型と飾りが高い位置まで作られているが、自分の作品は材料の関係から途中までしか表現できていない。

もちろん、本物の観音様は大きさも違うし、自作の観音様は1個目も含めてお面のサイズになっている。それを承知で今回は「頭部分の全体像」を彫ることにした。そのため、材料は通常のお面サイズよりは背の高いものを使用する。さらに、足りない部分もあるから、そこは他の材料を継ぎ足して、何とか間に合わせることにした。

これが材料だ。通常のお面の高さは頭のてっぺんあたり。22cmほどだ。今回の材料はそこからちょっと高いところまであり、約30cmである。本当は36cmは必要なのだが足りない。その部分は別の材料を継ぎ足して使う予定。それが上にちょっと移っている部分だ。また、図面は自作であり、前回使った顔部分のほかに、別途、頭部の髪飾り部分を新しく書いた。ただ、頭部の飾りの形状、文様が写真だけでははっきりしないために、ある程度の想像も含めて書き込んでいる。おそらくこの部分が最大の難点かな。

上は材料に概略図を書いてみたところ。16日だ。まあこんな具合で普段よりは大きめ、かつ重い材料を使って彫っていくことになる。これは大変だぞ。

上は17日だ。この日の作業はここまででおしまい。なんと言っても無理をしないことだから、1個目を彫った時の進み具合をパソコン画面で表示させて、作業をコントロールしているところだ。

何やら気分が盛り上がってきたぞ・・・と感じれば、今回の目的は達成されたと思うことにしよう。先は長いのだ・・・

 

 

 

 

  

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童子2 その1

2018年06月13日 | 能面

作業も中断しているのかと思いきや、すでに再開、進んでいた。それが次の通り。

手持ちの材料を使って、今度は「童子」を彫っている。女面ではなく少年のお面だ。実はこれに決めた理由は能面教室で手に入れたパンフレットのおかげ。これは「現代能面美術展」のパンフレットで、金沢能楽美術館が行っている「能面展」のもの。先輩が毎年応募して毎年「入賞」をしている美術展だ。

今年は第10回ということのようだが、この中で募集するお面のうち、「童子」「黒髭」「痩せ男」のお面で上位の賞に入ると、実際の能舞で使用するという特典があるという。だからというわけではないが、たまたま私も1個しか彫っていなかったので「これで行こう」という程度の、まあ単純な理由かな。

今回も作業がいくらか進んでいるので、写真をメインに紹介する。

下は見本の写真だ。1個目を彫ったときの見本でもある。

上の写真を参考に自分で彫ったのが、下の写真。去年の9月22日の写真だ。こうしてみると表情も似ているし、まずまずの出来具合なのかな。

さて、材料に型紙を乗せたところ。この型紙は自作ではなく、3次元の立体型を含めた細かい市販の型紙である。この作業開始が7日。能面教室があった6日の、次の日だ。

下も7日なので面取りから一気に進んでいる様子。

さすがにここまで行くには数日かかる。下の写真は10日の作業終了時である。

上の後に下の状態まで行くのにも数日・・いやこれは11日の写真。

これを見る限りではずいぶんと出来上がっているようだ。見た目もその通りであろうが、よく見ればまだまだおおざっぱな経過でもある。それでもあえて言えば6割ほどの完成度かな。

ただ、この間にも2回程の裏彫りをしており、それにもおよそ1日程度の作業時間がかかっているから、表面を彫っている日数は5日程度だろう。いや、早い早い。

という具合で、ゆっくり休む間もなく次の作業工程に入っていたのだ。

ところで、肩や腕の痛みはどうした? 相変わらず痛いよ。しかも足も痛くなってきた。

毎日のウオーキングで足腰を鍛錬していたはずだが、何やら別の方向から痛みが出てきたのだ・・・うーん、これも秒な事でもあるぞ・・・

というあたりで、とりあえずは毎日のウオーキングと毎日の作業は続いています。

 

 

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般若7 その7

2018年06月04日 | 能面

ちょっと早かったが、彩色が終わったので紹介する。1日のアップロードで4個のお面の彩色が進んでいることはお知らせしていた。それが完成したというところ。

上は般若だが、まあこの程度の仕上がりである。これまで彫った数個の般若と比べても遜色はないと自己満足しているが、細かい部分をよく見れば「気合い」が足りないかも。もちろん、手にとって目をこらして見れば塗りのムラもあるし、細い筆使いも十分ではない。ただ、ちょっと離して眺めれば「まあこんなものか」であろう。もっとも、先輩が出品している金沢市の展示会レベルとは大きくかけ離れている出来具合には違いない。

もし、出品したとしても、この出来具合では佳作にも入らないかもね。単に「出品した」という事実だけかな。

上は「別当2」である。これは髭のたぐいは作っていない。さすがに1個目はまじめに髭を作って完成させているが、2個目は「暇が出来たら髭を作ろうか」程度。もちろん他にも髭が未完成の「黒式尉」が2個あるのだ。うーん。気合いが足りないぞ・・・

ちょっと色がきれいではないものの、2個彫った小面も彩色が終わっている。これらを含めて合計4個の彩色が今日、4日に終わった。

この彩色の作業はおおむね一週間ほどかかった。一般的には1個彫るたびに彩色まで終えるのが通例だ。この作業には3日ほどかかるのだが、今回は4個同時の彩色であったものの、作業量が単純に4倍かかるというわけでもないみたい。

3個を並べてみたところ。まあ、こんな具合で一応は今回の作業を終了する。今後はまた新たにお面を彫ることになるが、さて、いつから何を彫ろうかな?

 

実は「小面」の材料が1個残っている。またこれを使って「小面」を彫るのも良いが、すでに8個も彫っているし、似たような「孫次郎」も3個ほど彫っている。なので、別なものを彫っても良いと考えていたが、この材料であればせいぜい少年のお面か、年増のお面程度かな。

さて、来週には能面塾がある。その時に、新しい材料を手に入れることを考えているところだ。それは「明星観音」を彫ろうと・・・ただ、この材料は通常の2個分の大きさが必要であり、材料代も2個分だから、どうしようかな。

 

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般若7 その6

2018年06月01日 | 能面

6月に入ったので、その後の進み具合をお知らせします。

5月末には素彫りも終わったことから、彩色を始めた。予定通りに4個を同時に進めることにしていたから、それに沿って作業を進めることになる。はじめは裏側の彩色なので、2色の工芸漆を混ぜて黒っぽい茶色を作り、それを塗ったところだ。

上は小面2個と別当、そして般若の裏側に工芸漆を塗ったところ。裏は同じ色でも良いから、4個のお面に3回塗りが出来る程度の量を混ぜ合わせて作った。これは5月29日に行った。

般若は若干の色違いだ。表面は薄い黄土色。歯と角は若干薄い黄土色だ。これは下地塗りであり、小面の表面に使った色で、本来なら新しく作った真っ白の胡粉をそのまま塗っても良い。が、以前に彫ったお面に使っていた、余りの色があったことからそれを使った。いわば前に作った色を再利用しているという話。30日の作業だ。さらには「別当」の色も、前に彫った別当に使った色で、これも余っていたもので、再利用した。

一度作った色は、キチンと密閉していれば半年程度は保存が利き、都合が良い。私の場合は小さなガラス瓶に余った色を入れて、保存をしている。ただ、寒くなると膠(にかわ)が固まるから、再利用する場合は暖めてから使うと良い。

昨日の作業は朱色を使って口の中、唇などに彩色を行っている。で、今日の作業は金色を使って歯と角(つの)に色をつけた。これが上の写真。ただ、このほかにも小面に彩色をしているから、これらの作業には2~3日がかかる。

今後の予定は墨(真っ黒)を使った彩色部分だ。これは小面でも般若でも同じ。主に毛髪部分の色づけだから、簡単? いやいや実はこっちの方が大変な作業でもある。

特にこの毛髪部分では、乱れ髪を表現するために一番細い「面相筆」を使って作業を行う。なんと1mmの間隔に10本の線を引く気持ちで慎重に筆を使う必要があり、最近では「苦手の作業」になってしまった。なめらかな曲線を引けなくなってしまったのだ。手が震えたりぶれたりする。ま、年齢を考えれば当然の動作だろうが、自分としては過去に出来ていた動作が出来なくなってきた事実に困惑しているところ。

まあ、他の複数の生徒は私よりも上の年齢でもあるものの、意外と上手に描いているのを見るにつけ、なにやら自己嫌悪に陥ることもある・・・かな?

というあたりで6月の第一報である。

 

 

 

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