わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

不動 その6

2012年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム

Img_8686aasmall


素彫りが終わったあとは、細かい部分を見直していたりしていたので、幾分時間がかかっていた。やっと彩色に入ったものの、なかなか難しい部分があり、思うようにいかないために、これも予想以上に時間がかかっていた。特に「色合い」が難しく見本の色が再現できないために、随分と見本の色とは違ったものになってしまった。

最初に見て貰った「見本」をもう一度良く見直したら分かるとおり、今回私が塗った色は見本とは随分と違うものになってしまった。どちらかと言えば、先生や先輩の見本よりも「三井記念美術館」所蔵の由緒ある「不動」の顔色に似てしまったのだ。彩色の途中には「求める色が出せないし、しょうがないからこの青色で行こう」と勝手に決めてしまい、結局そのまま進めてしまったというあたりである。

Img_8695aasmall


これは完成させたものだ。28日の出来具合である。1枚目の写真が26日のものだから、この時はまだ頭のてっぺんや口には色が付いていない。それを27日にかけて彩色をしたのだが、これも大変だった。とにかく頭の上は細い面相筆で細かく色づけをしていたものの、きれいに行かなかった部分である。細い隙間に色を付けていくときには地肌部分だけに塗りたいところだが、どうしても他の部分に色が付いてしまう。その部分をあとで修正しようとしても、そもそもが細い空間だからどうしても他の部分に不要な色が付いてしまうのだ。

ま、とにかく気合いを入れて彩色をしたつもりだが、結果的には「頭部の色」「顔の色」が見本とは違う色に仕上がったので、総合的には失敗作であろう。で、その原因を考えて見た。

1 当初から2種類の「不動」を見てしまった。

2 毛髪部分の細工に失敗した。

3 求める色が手持ちの材料で作り出せなかった。

などがその理由だが、結局は自分の技術がまだ未熟だったから、見本とは違う仕上がりになったと思う。今回は複数で同じ面を彫っていたわけではなく、一人だけの作業だったこともあり、相談する機会もないまま作業を進めてしまった。もっとも、能面製作10年選手であれば、自分の技術や能力を生かして見本に劣らない面を作り出す時期でもあるはずだ。

で、総括すれば見本にそっくりのものを造るのではなく、自分の考えを生かした「創作面」なのだ・・・という言い訳をして。今回の不動の製作過程は終了するのだ。(負け惜しみか)

うーんちょっと残念だがね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動 その5

2012年04月19日 | 日記・エッセイ・コラム

Img_8667small


19日。頭の毛髪を表す渦巻き状の彫り物は、一応完成した。ここだけでもかなりの時間を使ったが、「これがなければ不動じゃない」と言う気持でじっくりと彫り上げたつもり。だが、見本にしていた先輩の不動(先生の不動ではない)を見ながらやったものの、それとは違って、うまくいかなかった。これは技術の差と言うよりも気合いの入れ方に、その原因がありそうだ。

自分では技術的には大きな差はないと思いつつ、実際に彫ってみればだいぶその差が見える。細かい作業では、使う道具にも気をつけなけれならない。私も20数本の彫刻刀を使い分けて作業をしているが、今回のように細い線を彫り込む作業は大変難しい。

普通のヒバ材に1mmにも満たない渦巻き状の線を表すには、細い彫刻刀を使った方が良いのだが、それを持っていなかった。少なくとも2~3mm程度の丸刀や印刀が必要だ。その付近の平刀は持っていたが、さすがに丸刀や印刀は持っていなかったから、10mmほどの印刀を使ったことできれいな渦巻きが出来なかったし、見た目も悪い仕上がりになった。

もっとも、腕が悪いことを道具のせいにすることは良くあるから、私もこのたぐいかな?

Img_8670aasmall


ということで、とリあえずは「素彫り」が終わったところである。これが不動に見えるか見えないかは彩色結果にもよるから、今後の彩色作業には気をつける必要がありそうだ。また、眼には真鍮を使った眼球を入れるつもりである。したがって、今後の作業は「真鍮製眼球」を造ることにして、一応19日をもって素彫りを終えることにしよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動 その4

2012年04月14日 | 日記・エッセイ・コラム

Img_8651small

すでに一週間以上も経ったが、その間は少しづつだけど作業は進んでいる。

上の写真は9日に撮ったものだ。耳の部分をきれいに作り上げている。こんなあたりで完成した事にしているが、まあ自分の技術ではこの程度だろう。それでも十分耳らしく見えるから、まあいいか。

Img_8656small

これは今進行中の部分。大変に細かい作業で、ここまで二日かかっている。頭の向こう側は見えない部分だが、まだ彫っていないのだ。この渦巻き状は髪の毛を表している部分だが、初めは鉛筆でバランス良く形を描いていき、その後に細めのフエルトペンで書き込んでいった。その線を残して他の部分を彫っていくことになるのだが、これがまた大変。とにかく細い部分を彫刻刀で切り取っていくことになり、もちろん失敗は許されない。しかも、ここはちょうど材料の切り口部分にあたり、この部分にはヒビ割れが来ないために木工用ボンドを塗り込んでいる。それがすっかり乾燥しているから、とにかく堅い。この部分に1mmに満たない線が引いてあり、それを残して彫っていく。ましてや直線より円形が多い部分なのだ。

買ったばかりの彫刻刀研ぎ機を使いながら、切れる状態にした彫刻刀ですら刃が立たないほど堅い部分に、思いっきり力を入れて、しかも最高度に慎重に彫る作業は苦痛の極みだ。しかし、これをやらなければ不動は完成しないから、やるしかない。で、あと二日ほどかけて、髪の毛の部分を完成させる予定だ。

Img_8657small

これは口の部分。と言うよりも歯(牙)を上手に作り上げようとして努力をしているの図だ。参考にした不動の面よりも随分と長い牙だが、これはこれで面白いのでは・・と思いながら彫っているところ。

参考の不動に忠実に似せるのであれば、もっと短い牙でも良いが、やっぱり個性を生かした「自分の不動」でも良いかな・・と考えているところだ。だから、もう少しこのまま全体を彫っていったあとに、牙をどうするかを考えても大丈夫だろう。真似をするだけが良いとは限らないと自分は思っているので、いくらかのアレンジ(と言うより同じに作れないと言った方が良いかも)があった方が面白いのでは。。。。なーんて。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不動 その3

2012年04月03日 | 日記・エッセイ・コラム

Img_8639small

前回からあまり進んでいない。これは先週の一週間、孫が3人遊びに来て仕事にならなかったというあたり。もっとも、朝から晩まで張り付いてお守りをしていたわけではないが、いるだけで気が散ってしまうから、じっくりと作業が出来ないのだ。たまに階段もまともに上り下りが出来ない4歳児が、一人で家の外にある2階の作業場に顔を出したりする。

ということで、帰った翌日の2日から作業開始になり、今日はそれから二日目。だからこの程度の進み具合である。主に口の部分を彫り込んだの図だ。前にも書いたように歯や牙などの位置関係が難しくて何度もシルエットを書き込み、やっと位置を決めて彫り進んでいるが、やっぱり難しい。まだまだおおよその位置関係のまま進めている状態である。

いかにも「般若」の面相だが、恐らく仕上げの段階まで般若だと言えるほどに同じ顔つきであろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする