いよいよ本格的に彫り始めている。今のところは余計な活動もないので、ここ一週間以上は集中して作業が出来るだろう。
材料の表面に表情を描いたところ。今回はこれまでの能面と違って、目の部分が細く、長く彫られている。これが特徴だから、この部分をうまく表現して、穏やかな表情に仕上げる必要があるのだ。
髪飾りの部分を残して、顔の部分を彫ってみたところ。前に書き込んだ線画は消えているから、その都度書き直している。きちんと写真や図面を見ながら書いているつもりだから、同じ絵が描かれているはずだ、しかし、若干の違いも出るのはやむを得ない。
ここで、失敗を発見した。髪の形や髪飾りの部分を、きちんと余裕を持って残したつもりだったものの、他の写真を見てみると、前髪から耳方向の、脇へ伸びる髪の部分が、角張っていないのだ。いわゆる、前髪から脇の髪には緩やかなカーブを描いて繋がっていた。それを、がくっと角度を持って切り込んでしまったのだ。うーん大失敗だ。
で、失敗したものはしょうがない。本来なら、失敗した部分に補修材を埋め込んだり、その部分に合わせて余りの材料を張り付けるなどをする必要がある。ところが、今回は白木のままで完成するかも知れない。その場合、補修すればその部分が、いかにも「補修した」姿でそのまま残ってしまう。これはまずい。
そこで寝ながら思いついたことは、もし、その部分の形が全体から見ておかしくなったのなら、別な材料で花飾りなどを作って、その部分に張り付けて、いわばごまかしてしまおうと言うアイデアだ。
ということで、失敗した部分のリカバリーを思いついたことから、今後は安心して髪の部分や髪飾りを彫る作業が続けられる・・・と言う具合。
一番下の写真は28日の午前中あたり。今のところは写真に似ているから、この表情を維持しながら、少しずつ、更に写真に似せていくことになる。実は、毛髪や髪飾りなどは細工は細かいものの、形が崩れても気がつかないが、この表情だけは一番目につくところ。ここが似ていなければ優しい観音様にはならないから、ここが一番難しいのだが・・・