上は17日の姿。毛髪の部分を幾らか彫ってみた。ここは一番面倒なところで、線書きをしたところをなぞって彫ったというあたりかな。今のところは単に平面的な彫り方で良いので、取りあえずはそのまま彫り進めている。
本当は、ここは曲面を生かして彫らなければならないところ。まあ、そのあたりは今後、修正をしていくことになるし、その時にうまく曲線になるようにする必要があろう。ただ、その部分がこの能面で一番面倒な場所には違いないことも事実。
上は20日だ。目の形を整えているところ。この部分は過去に失敗をしている。正面から見た線引きに忠実に彫り込んだところ、実は横に伸びている目尻がおかしなところに出現したのだ。従って、その部分に補修材を埋め込んで、彫り直したという過去がある。
今回も含めてその失敗を再現しないように、慎重に目尻を彫った。上の通りでOKである。
さて、頬の部分に穴がある。これは「節穴」だ。材料が安いから、どうしてもひび割れや節穴がある材料を使うことになる。それは承知で材料を入手するので、これはやむを得ない。前にも書いたが、いわゆる「良い材料」は入手が大変なのだ。また、高価だ。良質の檜などは能面材で一個8000円もするので、とても手が出ない。従って安い材料を効率的に、しかも修理しながら使っていくことが必須だ。
売り物ならいざ知らず、単なる趣味で彫るのなら、安い材料で十分。完成しても自宅に飾っているだけだし、人に見せるのは市の文化祭ぐらいか。その程度なら安い材料でも「自己満足」するので良しとしようかな。
そうそう市の文化祭は今週末から始まる。もちろん私も能面を展示するけど、今回はこれまでに彫った「不動」「聖観音」「獅子口」を出そうかな。
上は22日の写真。節穴はきちんと埋め込まれており、口のあたりも幾らか彫りが進んでいる。だいぶ姿も見えており、このあたりまで来ると一安心。今後は本格的に毛髪部分を「曲線を生かして」彫っていく事になる。もちろん裏彫りも2回ほど行っているから、ある程度は材料も軽くなっているところだ。
さて、9日から作業を進めているので、今日までの作業期間は概ね2週間。完成予定は12月末だからまだまだ2ヶ月も先の話。こんな調子でいくと、11月には出来上がってしまいそうだ。これはまずい。もっとのんびりと作業を進めてもいいのだけれど、どうしてもある程度の進む割合が決まっているから、ここまで来ると残り一ヶ月もしないうちに完成してしまう・・・事になる。
と言う具合で、一応は順調に作業が進んでいるという証拠でもあるところ。