さて、黒式尉を作り始めてから2週間。すでに「仕上げ彫り」に近い段階まで進んでいる。これはちょっと早すぎるぐらいだ。過去には般若を1ヶ月で完成させた経験もあり、作業が早いのは承知していたものの、今は3個の能面を同時に作っているのだ。その環境でもう仕上げの段階に突入していると言うことは、いかに暇をもてあまし、作業に集中していることが分かる。
ただ、実は他の能面2個は彩色の段階で、上塗りをしたまま放置している。だから、まだ完成していない。それらをほったらかしにしたまま、黒式尉だけを作っているという話が本当だ。
上は26日の段階。前回紹介したところから表面を紙ヤスリできれいにしてみたところ。表面が滑らかになったことで、顔の表情がよく見えるようになったり凹凸の具合も良くわかり、修正に都合がよい。鼻の穴もあけたし。
これは昨日29日の段階だ。目を彫ったり唇の部分を削ったりしている。特に目の部分は作業が細かいので気を遣うのだ。力が入るとついつい割れてしまうから、使う彫刻刀の種類を頻繁に変えながら割れない程度に彫っていく。これが大変で肩や腕がしびれてしまう。
この後は、書き込んだ線に沿って「ひだ」というか皺と言おうか、その部分を彫っていくことになる。そうすれば全体的な彫りが終わる。さらにあご部分を鋸で切り取る作業もあり、そうして出来上がるのだ。
黒式尉は10月26日までに完成すればいい。まだ一ヶ月もあるから、作業期間は余裕である。あわてずにじっくり作業時間を掛けて、きちんと作ることにしたい。