わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

彫刻刀研ぎ機

2012年03月30日 | インポート

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「彫刻刀の研ぎ機」である。彫刻刀の研ぎ機は種類はそれほど多くはなく、数種類程度だ。従ってその中から選んで使うことになる。いま、私が通っている能面教室にも研ぎ機があって、普段はそれを使っていた。ただ、これは教室が開かれる時だけ利用可能であり、自宅での作業には一般的に金物店やDIY店で売られている彫刻刀用の溝のある砥石を使っていた。

教室で使っている彫刻刀研ぎ機は下の種類。

http://www.dougu.info/togiki/togikib.html

これは個人で使うのには良いのだがちょっと高い。また、一人で使うのがもったいないほどの性能だから、数人で使うあたりがちょうど良いと思う。だから、数人が学ぶ教室などにはうってつけであろう。で、今回私が購入した研ぎ機は下の種類だ。

http://www.michihamono.co.jp/product/togiki/mini.html#mini

値段も手頃だし、大きさも手頃だった。インターネットで買うと1割引というあたりが気に入って買ったものだが、本体の他にもあった方が良いオプションもあるようだ。砥石(ダイヤケアー)もそうだしボックスもあった方が良いみたい。特にグラインダーのようにパフが回転するので、周囲に粉塵が飛び散ってひどい状態になった。これを押さえるのが研ぎ機をすっぽりと覆う「BOX」。これに本体を入れて作業をすれば、粉塵がBOXの中に収まり、周囲も汚れない・・・という。

ま、今回は本体だけを買ったので、使いながら対策を考えてみようと思う。

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上の写真はこれまで10年ほども使っていた「彫刻刀用砥石」だ。ただの砥石だが、木の台を作ってはめ込み、使っていた。これを手元に置いて彫刻刀を研ぎながら使っており、その使い方には別に不自由はしていなかったものの、自称「能面師」が10年以上も小さな砥石で切れなくなった彫刻刀をチマチマ研いでいる姿は、なんとなく惨め。

と言うことで、今回は趣味の段階の人でも容易に手に入れることの出来る「彫刻刀研ぎ機」を買ったと言う話。ただ、すでに10年以上もランクが上の研ぎ機を使っており、それと比べてしまえば「使い勝手」が劣っているという評価になるかも知れない。が、「お値段以上ニトリ」ではないが、上手に使いこなせばそれはそれ、これはこれだろう。


不動 その2

2012年03月24日 | 日記・エッセイ・コラム

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21日までの状態。その1から比べたらいくらかは姿が見えているものの、まだ何かは不明。

一応、基準となる(と言うよりは自分で決めた基準だが)目の部分を先に彫ってみたところだ。もちろん、鼻の下の部分も大きな基準となり、ここから定規を当てて寸法を決めたりしている。こうすることでその後の進み具合の目安になっているから、彫り初めでは重要な基準点になるのだ。

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さて、その後目の部分をいくらか深く彫ったりしながら口の部分に手を入れる。これがまた大変な作業で、縦横深さをきちんと計測して少しずつ彫っていくことになる。しかしこれがまたうまくいかず、過去にはたくさん失敗しているところなのだ。「しかみ」もそうだし「般若」もそうだ。「黒髭」もその通りで男面の大部分は口元が深く彫られている。ここには歯というより牙が生えている能面があってそれを一緒に彫っていくのだが、形や位置が上手く決まらない事が多い。この写真は24日に撮ったもの。この段階では「般若」だと言ってもいいぐらい似ている。

いずれにしてもこれらは大変な作業であることには違いないが、これをやらないわけには行かないので進めるしかない。まあ、急ぐことでもないからゆっくり作業をしようか・・・。


お地蔵さんはどっち向き?

2012年03月21日 | 日記・エッセイ・コラム

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3月20日の朝。家の向かいにあるお寺に行って墓参りをしていたときに見た姿。

一瞬お地蔵さんが吹雪に負けて後ろを向いているのかなとびっくりした。夕べは吹雪模様で、ちょうどお地蔵さんの正面側から雪が吹き付けていたようだ。さすがの石仏も吹雪に耐えかねて背中を向けたくなってしまったのか・・・そう思える彼岸の中日のひとこま。

今年は全国的に異常気象で、彼岸というのにまだ墓地は大雪のまま。墓の周囲を除雪するのも一苦労だった。やれやれ。



不動 1

2012年03月18日 | 日記・エッセイ・コラム

いよいよ「不動」の製作に取りかかった。材料は14日に手に入れていたが、実際の作業は15日から行っている。翌日からの作業開始だから遅いわけではないが、「鬼」同様に今回も初めての種類の面(能面とは違う種類)になるために、若干手間がかかる気もする。もっとも、よく見れば前に作った「しかみ」と似ているから、それを参考に彫っていけば良いようだ。

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材料に型紙を乗せてみたところ。ひば材のブロックで縦210mmほど、横170mmほど、厚さ100mmほどあり、ちょっと大きめというところか。15日の段階だ。

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表面をおおざっぱに削ってみたところ。もともと材料にひび割れがあって、それをいくらかでも影響が出ないように面取りをしたつもりだが、やはりそこからひび割れが広がって来た。これはずっと続くので、とリあえずはその部分に木工用ボンドを注入し、ヒビが広がるのを防いでいる。暖房を入れた室内での作業だから元々湿気は少ない。これも時期としてはやむを得ないのかなと思う。

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更に顔の輪郭を削っていけばこうなる。実はこの作業も結構大変で、ノコギリで周囲を切った後をきれいにするのが大変なのだ。この部分は良く切れる切り出しナイフが使いやすい。17日までの作業だ。

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18日の姿だ。結局はまだその全体像は見えていないが、どの能面でもここまでは同じ。特にに変わったやり方はしていないので、この段階では何が出来るのかは分からない。いやもっと進んでもよく分からないぐらい、他の能面と同じ作業が続く事になる。

今回はひび割れが進んできたので早くも裏彫りを行い、割れの進行を防ごうとしているが、さて今後はどの程度までそれが進むのかを見ながら、きちんと対応をしていかなければ・・・


次の課題は「不動」だ

2012年03月03日 | 日記・エッセイ・コラム

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「不動」である。あの「不動明王」の顔の部分だ。本来は仏像の仲間であり、大日如来など本尊を守るために脇にある像なのだが、顔の部分だけを模写して面にしたものらしい。だから、能面とは種類が違うが、面を作ると言う作業には特に不都合はないみたい。

不動明王は元々密教の本山である「東寺」や「成田山新勝寺」あたりが有名であろう。それ以外にも有名な古寺には仏像があり、それらを守るために脇侍として多聞天、増長天などと一緒に不動明王が安置されている場合が多い。その顔の部分を取り出したものが、今回の「不動」と言うことになる。

さて、次の写真も不動だ。ただ、写真は能面師寺井一佑氏が作成した不動を借用させて頂いた。これは前にも紹介した黒式尉と同じ「三井記念美術館」所蔵の面の模写と思われる。本物に見られる彩色のはがれ、傷の部分などがほぼ正確に再現されており、その技術の高さがうかがわれる。名称も「不動」。

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さて、この2種類の不動だが、私の能面の先生が作ったのは1枚目の写真だから、おそらく私もその不動を作ることになろう。ただ、どうもこっちの不動は誰かの創作のようで、実物を模写した面ではない気がする。第一、図面があるのかもまだ分からないし、いずれにしても14日になってみないとよく分からない。

黒式尉の素彫りが終わって、今の期間は一時的に暇になっている。ここしばらくは続けて作業をしていたから、ちょっと休んで次への英気を養っておこうと思っている。