わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

深井2 その1

2017年06月12日 | 能面

祖父を彫り終え一段落したところ。

さて、次は何を彫ろうかと考えて、幾らかの候補を探していた。手持ちの材料は、深井を彫った時の余り材料なので、彫るとしても女面か子供、少年の面だ。で、孫次郎、童子などの図面を取り出してあれこれ考えていたのだが、結局は2個目の「深井」を彫ることになったという話。

もともとから彫るのは1個で終わるのではなく、2個以上を彫れば「うん、彫ったかな」と感じているから、出来れば複数個の同じ能面を彫った方が充実感もある・・・と思う。過去にもそうして彫った複数個の同じ能面が多く飾ってある。で、今回も同じ材料だし、まあ手順も覚えていたから、もっと言えば能面教室の同僚は、まだ深井の粗彫りや中彫り段階でもある事考えると、自分も同じ課題で行くほうが何かと都合もよろしいだろう。

そんなわけで、6日から作業を開始した。今回参考にした写真と能面は、先生が彫ったもの。下の写真だ。

で、材料に型紙を乗せてみたのが下の写真。まあ、いつもの通りであり、特に「普通」だ。ただ、今回はきちんとした詳細な「型紙」が手に入り、それを元に彫ることにした。前回は先生が手書きをした「型紙」しかも正面図だけの一枚だったが、今回は立体的な型紙を含めて9枚ある。これは、能面教室の同僚が個人で購入した「型紙集」(かなり高価な書籍)からコピーしたものを頂いた。有り難いことである。

作業開始は6日だったが、さて、これからが苦労の始まりである。

上の写真から正面の型紙を取り外したところだ。額(ひたい)部分と目尻方向に「節」があった。これを取り除く必要があり、いろいろと工夫をしてみることになる。

上は9日の段階。顔の輪郭に沿って周囲を切り取ってみたのだが、「節」が残ってしまう。そのため、第一段階として節を削り取ってみたものの、単に大きめの穴が開いてしまった。しかも額部分の節穴は直径30mm近くもあり、かつ深く、単に補修材で埋めるだけでは具合が悪い事が判明したほど。そのため、ずいぶんと考えた結果、大々的な手術をすることにした。それが下の写真。

額部分を大胆に切り取り、そこに似たような木片を埋め込んで何とかしようと考えたところ。ただ、下の節穴部分は何とか補修材で補修できそうだったから、鋸屑とボンドを混ぜた補修材で埋めてみた。それでも、この大きさの補修作業は初めてだ。内部の乾燥まで数日はかかるだろう。

これは裏側の様子だが、こんな具合に何とか切り口を合わせてボンドで貼り付けたところ。ここまでは9日の作業結果だ。

さて、一晩おいて乾燥させたら、こうなった。いや大変な姿だ。「たんこぶ」なんてものじゃない。全くの異物をはめ込んだようなものだが、今回はやむを得ない事だろう。なんと言っても安い材料だし、先生に言わせれば「補修しながら彫るのも楽しいよ」・・らしい。

さてさて、そこは能面彫り15年以上のベテランだから、この程度の修正は簡単・簡単!!

と言う事で作業を始めたのが上の写真。あのひどい姿もこの通りだ。12日には目尻部分の補修も何とか乾いてきたから、幾らかの作業を進めている。よく見ればかなりの部分で裏彫りも進んでいるようだから、ここまで来ればもう心配はいらないだろう。

で、これが今日12日の結果だ。ちょうど作業開始から1週間目だが、頭部の大手術をやったとは思えない程度に仕上がっている。もちろん、継ぎ足した木材の接合部分は、そのまま直線的に残ってはいるが、これもいずれはきちんと補修作業を行っておくから心配はない。

今後は、この段階から毎日約2時間の作業を行えば、来週21日の能面教室までに出来上がるかも知れない。これはこれで、余りにも早く2個目を完成させたら、さて、同僚になんと言われるか?

まっ、あまり気にしないようにしなければ・・・・

 

 

 

 

 

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祖父2 その3

2017年06月06日 | 能面

いよいよ素彫りが終わった模様。その様子は次の通りだが、目の前に完成品を置きながら作業を進めることは、実に具合がよろしい。そのためもあって予想以上に早く出来上がった。

上は6月2日の姿だ。前回からヤリス掛けを行い、表面をきれいにして、彫り残しや不揃いな場所をよく見えるようにしている。こうすることで次の作業がやりやすい。

次の日の出来具合。額のしわ部分、頬のたるみなどを表現しているところだ。特に頬部分のたるみは、高齢者の表情を表す大切な部分。これは顔をゆがめているところを表現しているから左右が同じではなく、これまでの能面とはいささか違っているところ。

で、いよいよ6日の出来具合が上の写真だ。残っていたあごのしわや、頬部分に追加をしたしわ部分あるいは鼻筋に寄ったしわなどを彫って、これで素彫りが完成したのだが、実は裏彫りの時点で時間を食っていた。というのも、裏側に「節(ふし)」の部分があって、これが実に「堅い」のだ。彫刻刀を思いっきり使う必要もあり、この部分で「肩を痛めた、腕が痛い」などの症状もあって、慎重に作業を進めていたという具合でもある。

それらも何とか乗り越えて、5月20日から始めた「祖父その2」はおおむね3週間ほどで素彫りがおわったところ。

最後に、前回彫った「祖父その1(左側)」と並べてみたが、同じ人物が彫ったこともあり、まあほとんど同じ表情で完成したというあたりかな。ただ、彩色をした場合も同じ表情になってしまうのかは、その時の気分次第だから何とも言えない・・・のだ。

それにしても、どうも最近は作業が早く進む傾向にある。これはこれで「良い方向」なのか、あるいは「単に毎日の作業に集中し過ぎて体調を壊す恐れがある」のかは微妙なところでもある。従って元々は暇つぶしで行っているハズの能面製作だから、このために体調をくずしたとなれば本末転倒でもあろう。

と言う言い訳を書いて、今回の能面製作は一段落をしたところでした。

 

 

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