わいはまいね 能面三昧

写真付きで趣味の能面製作を紹介するブログ

獅子口8 その3

2020年12月25日 | 能面

13日には、獅子口の素彫りの大まかな部分は出来上がっていた。ただ、髭の部分が「浮き彫り」仕様のために、この部分だけでもかなりの時間を要するという話は、前回にも書いたところだ。それを仕上げるために、すでに2週間が過ぎようとしている。

で、その後にどうなったのかと言えば、以下の通り。

上は眉毛の部分だ。この部分はほぼ1mm程度の幅の線を書いて、それを残して周囲を彫る。その作業の繰り返しだ。このとき、円形の渦巻き部分があり、この大きさが5mmから10mm程度の円を、欠損なしに仕上げることは大変難しい。もちろん、線の部分もきれいに残すことも、これまた極めて難しいのだが、各種の彫刻刀を使いこなして仕上げている。

ただ、作業が細かいし、お面の材質(ひび割れしやすい)なども考慮した場合、見本の写真と同じ形状にする事は大変厳しいので、部分的には違う形になっていることもあるが・・・

上は頬部分や側面の一部だ。右側にちょっと見えるが、模様は側頭部にもあって、これまた作業は大変。また、当初心配していた頬の補修した部分も、なんとか彫り込んだつもり。ここは硬いのだ。

上はあごの部分。この部分はちょうど材料の切り口なので、彫刻刀で彫るには最悪の部分。それでも慎重に、かつ無理をしないで彫っていったところだ。もちろん、線の幅は1mm程度なので、これを浮き彫りにすること自体が難作業なのだ。

上は全体像だが、黒い線の部分はすべて「浮き彫り」を施した場所。これだけで2週間もかかったとすれば、いかに手間のかかる作業だったことが分かる。

今日は25日だが、全体の作業は数日ほど前には終わっている。ただ、その後はこのお面を手にとって眺め、仕上げに不具合がないかを細かく点検し、修正を行っている。このように、ある程度の時間を経て出来具合を見直すことで、細かい部分の不具合が良く見える場合が多いのだ。

ということで、クリスマスも終わり、年末も迫り、新年を迎えるこの時期に、素彫りの完成を宣言して、今年の能面製作の作業は終了することにしたい。

いや、今年もなんだかんだ言いながら、10個以上のお面を彫ったようです。本当にお疲れ様でしたね。ま、来年もこのブログが更新されていれば、元気(かどうかは不明だが)に生活をしている証拠になるでしょう。

 

では皆さん「良いお年をお迎えください」

 

 

 

 

 

 

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獅子口8 その2

2020年12月13日 | 能面

さて、ずいぶん時間も経ったが、さすがにめんどくさいお面の現実が出ている。

前回までに大まかな造作が出来ているものの、この後の細かい作業は、それなりに時間がかかり、ちまちまと進めている毎日だ。これも最初から織り込み済みだから、特に気にしてはいないものの、気力も衰えている最近では、ちょっとした手直しにも時間がかかっており、それに従って進み具合も怪しくなってきた。

上は4日の段階だ。目に穴を空けたところ。もちろん、このあたりなら裏彫りも最終段階になっているから、その分も含めて作業時間はそれなりにかかっている。また、耳もきれいに出来ているように見えるし、表面のやすりがけもきちんと進んでいるようだ。ただ、この後は口の中の、特に舌や歯(牙)などをきちんと彫り込んでいくことになり、更には全体的な修正もあるから、完成はまだまだ先の話。

で、上は7日の結果。口の中の牙や歯の部分は出来上がっている。また、舌の細工も、奥の部分で裏側に貫通しており、一番面倒な作業内容も何とかこなしている気配。となれば、いわゆる「素彫りの完成」でもあり、そう宣言したいところだが、実はこの後に、このお面の最大の難所が待っているのだ。それが下の写真。

上は素彫りが完成(?)したお面の表面に、毛の部分を彫り込むための目安の模様を書き込んだところ。この、鉛筆で書いた黒い部分を「浮き彫り」にする必要がある。そのためには黒い部分を残して、その周囲を彫る必要があるのだ。

この黒い線は、実はなんと1~2mmほどの線だ。これを残して周囲を彫っていくことになるのだが、これが大変。彫る作業をしている途中に、この黒い部分が欠けてしまうのだ。もっとも、この高度の作業技術を持ち合わせていないと言われれば、その通りだし、反論も出来ない。また、お面の材質によっては「ちょっとの力で簡単に欠けてしまう」ことも多く、もともと良質の材料が手に入らない我が能面塾では「欠けてしまうのが当然」でもある。

結局は、最大限の注意をしても「欠けてしまうことは当然である」という原則で、作業を進めるしかないから、ま、余計な心配はしないで「欠けたらその時は補修をしつつ、前進するのみ」かな。このため、今週で作業開始一ヶ月ではあるものの、どうもまだかなりの作業時間が必要になる気配である。

 

 

 

 

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